
朝起きてパンとコーヒーを用意するのは贅沢かもしれない
一人暮らしをするようになって、私は朝早く起きなければいけない仕事に就いた。
夜が明ける前。
朝4時半に起きて、シャワーを浴びて髪をかわかし、化粧をする。
朝ごはんは食べたり食べなかったり。ごはんを食べることより、とにかく身支度でいっぱいいっぱいの朝。
ゆっくりコーヒーを淹れる時間など、私の朝には存在しなかった。
5時25分の始発に乗り、私は毎日仕事に向かう。6時前にはタイムカードを切り、オープンの準備をする。
私はカフェで働いていた。
朝6時50分には、カフェに来るお客様をあたたかいコーヒーで迎えるのが仕事である。
たくさんのお客様が行き交うカフェで、最高の一杯のコーヒーを毎日出しているのに、私は自分の朝ごはんを軽率にあつかっていたように思う。
せっかく美味しいコーヒーが飲める環境なのに、自分のために美味しいコーヒーを淹れる時間がないのだ。朝に、チーズとベーコンをのせてパンを焼く時間さえ惜しいと思っていた。
私の朝ごはんは、2時間ほど働いて9時すぎにくる15分の休憩時間にとっている。
このたった15分の休憩でさえ、美味しいコーヒーが飲めなかったりする。しょうがないから水で我慢していたのだけど、なんだかさみしくなってしまった。
せめてパンだけは、となりのパン屋に焼きたてを買いに行こう。そう思うと、少しだけうれしくなった。
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私の朝は、毎日めまぐるしく過ぎていって、ある時焼きたてのパンを食べる幸せさえも辛く感じた。
仕事が忙しい。
朝早く起きなければいけない。
ねむたい。
どうしても朝早く起きなければいけない仕事に就いてしまう。これが喫茶店やカフェ、書店などのサービス業ばかりしてきた宿命なのか。
私はねむるのがとても好きだ。
できれば朝8時くらいに起きて、ゆっくりフレンチプレスでコーヒーを淹れてる間に、パンを焼く。パンが焼きあがる時間と、淹れたてのコーヒーができる時間が同じくらいになるように。
フレンチプレスに残った豆カスをきれいに洗いたいのに、慌てて仕事に向かわなければいけない、そんな生活はしたくないのだ。
朝、ゆっくり起きてパンとコーヒーを用意するのは、まだ私にとっては贅沢な時間の使い方である。
贅沢かもしれないけど、自分の好きな時間の使い方をしよう。
そう、決めたんだ。
Photo&Text. nanamedori
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ご挨拶がおくれました。ナナメドリと申します。紅茶専門店、喫茶店、スタバなどカフェでよく働いていました。
朝、カフェに行くまでの通勤時間に本を読んだり。
音楽(照明)の仕事をしていたときは、ひたすら音源聴いて色を考えたり。
英語の勉強にハマってるときは、接客英語のPodcastを聞いたり。
ただ、ただ眠いときは立ちながら眠っています。
今回、しみさんのゆるツイートとイラストを見て、「パンとコーヒー」のライターになりました。
ちょうど、自分のブログで私はエッセイを書く人になりたかったことを思い出した頃だったんです。
これは書くしかないと思い、今こうして書くことができて幸せです。
これからよろしくお願いしますね。
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ゆったりとした朝にほっとする文章を。
そんなテーマで書いている朝の読み物がこの「パンとコーヒー」です。複数のメンバーで運営しています。
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