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ななくまエッセイ

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#言葉

我慢なんてしなければよかったの?

我慢なんてしなければよかったの?

ぐっと堪えて我慢しないといけないことがある。

傷ついてもあははと笑って流さなけらばならない時もあるし、
嫌だなと思いながらもやらなければならないことはあるし
一番偉い人が右だと言ったら右を向かねばならない時もある。

「辛くなるなら我慢なんてしなければよかったんだよ」そうやって、正論を振りかざせば、ひと吹きで倒れる。
本当に気持ちを押さえ込んで我慢しなければならないことだったのかと考えてみると、

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「頑張る」という言葉

「頑張る」という言葉

頑張るという言葉が苦手だった。

音からして無理してる。文字をみても無理してる。そうしてやっぱり言ってるあなたの顔も無理してるよ。

本当に無理しないと越えられない壁もあるのかもしれない。でもそんなの、人生ではきっと数える程。毎日使っている言葉にその無理が滲み出ていることに気づかないくらい、無理することが当たり前になっているの?

あぁでも。
意味のない会話って多いと思う。これももしかしたらその、

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「書くこと」と「書く場所」と。

「書くこと」と「書く場所」と。

「日記に書くこと、友達と話すこと、公に発表する文章、そのどれもが違うもので、どれもがかけがえのないものだから、どうかその全部を続けていってほしい」

人が意見を発表する場は多くある。noteを含めて、どんどん新しい場も増えている。世間を賑わせている話題に、恩師からもらったこの言葉を思い返す。

「そのどれもが違うもの。」

書くということは、自分がいて、「そこ」に書いたものがあって、相手がいる。相

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心の中に住む小人のお話。

心の中に住む小人のお話。

感情がかき乱される。涙が勝手に溢れ出てくる。心の不穏を怒りでしか表現できない。ただただ、どこまでも気分が落ち込んでいく。

あのできごとのせいかな、というくらいには、原因はわかっていた。でも言葉にして認めるのが怖くて、それを端的に人に伝える良い言葉も知らなかった。でも、心を落ち着かせないとどうにもお勉強は進まないし、仕方がなかった。ボロボロの心でペンを握って手帳に書いた。

思いつく限りに書いた。

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足りないところがあること

足りないところがあること

こころの中に刻み込まれた大切な「ことば」がある。

ぼやっと過ごしてきたこの24年間だけれど、いまも忘れない素敵な言葉に出会ってきた。その言葉は、家族、親友、先生、我が家のわんこ、小説、エッセイ、いろんなところから集められて、私の頭のどこかに収まっている。

そして、ふとしたときにひょっと現れて、たいていの言葉は映像付きで感情付きだから、それはもう大きな力に支配されたようにこころがぐわんとなる。

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「かぎかっこ」に入った言葉

「かぎかっこ」に入った言葉

かぎかっこに入れられた言葉は、ただのそのままの単語の意味とは違って、なにか特別な意味をもっている。どんなことを言いたくてかぎかっこをつけたのか、考えながら読むといい。
ー文章を読むとき、覚えておきたいポイントを先生に教わった。

そんな意識で見渡すと
私の周りには誰かがいて、そして「かぎかっこ」があった。

大切な誰かと共有できた特別な「かぎかっこ」は、
いまでも、私にとってのその言葉の意味として

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未来に依存する

未来に依存する

「未来に依存しすぎているように見えるよ、
もっと今の気持ちを大切に生きてもいいんじゃない。」

過去に依存する、過去にとらわれる…そんな言い方はよく耳にする。でもううん、過去じゃない、未来だ。

こんなんじゃだめ。私はまだまだ、もっと頑張らなきゃ将来何にもできない人になっちゃう。それじゃいけない。そうやって自分を追い込む方法しか知らなかった高校生の私は、この言葉をすっとそのまま受け入れられなかった

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傷つく人をみて心が晴れるとしたら

傷つく人をみて心が晴れるとしたら

小学校の「道徳の授業」で習ったようなこと。もう誰が考えても、こういうことはいけないよね、こういうことはいいことだね。とわかるようなこと。そういうほんの少しだけどみんなに共通のなにか大切な感覚があるのだと思っていた。

それが覆るようなことが目の前で起きた。

そこには悪意がたしかにあって、生み出された言葉は一貫して攻撃性をもっていた。本当はそういうことを一番憎んでいると思っていた人から発せられたも

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得たものと失ったもの

得たものと失ったもの

半身浴と暗記の親和性の高さよ。

覚えたいことを紙に書いて、それを完璧に覚えるまで、見て暗唱、見て暗唱を繰り返す。紙に書いたことが、そのまま頭の中に思い浮かぶようになったら、「ようし、これで完璧」とお風呂から上がる。
半身浴しながら暗記すると、閉塞空間でそれしかすることがないという逼迫感と、じわじわ流れる汗と戦うという如何にも頑張っている感が、大いに私を味方してくれた。

医学部の試験は基本的に暗

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頑張らないことのかっこよさ

頑張らないことのかっこよさ

長いこと、頑張らないことはかっこいいと思ってきた。
いつかはこうなりたいと憧れた大人たちは、いつも余裕で、笑顔で、凛とした姿勢でこの世界を生きていた。私の話す日常に、「私にもそんな時代があったわ。」と嬉しそうに微笑み、いろんな大切な言葉をかけてくれた。

頑張らないでできることを探し、いつも余裕なふり。最低限の努力で、最大の結果が得られることに価値を見出した。効率が良くないと思ったことは「“今”的

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