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7、島旅日記 -雪国とダウンー

〈雪国とダウン〉

 家が決まってからしばらくは、後ろ向きだった気持ちにも、二週間もすぎた頃、だんだんと変化が出始めていた。

「帰りたくないな」
そればかりが、心に浮かぶようになっていた。

 何をしていたわけではないけれど、この温暖な気候に慣れていったのかもしれない。
猛吹雪の雪国からやってきた反動でか、三人それぞれにさまざまな変化が訪れていた。
二月といえば、宮古島も冬真っ只中で、一番寒い時期。
 初めてきたときに、スーパーでダウンジャケットを着ている女性を見て、噴出したことがあった。
「いやいや、それはないでしょう。冬っていっても、宮古島だし」

と、笑った。
ダウンジャケットは行き過ぎでしょう。

 あれはきっと通年通してダウンなんて着る機会がないから、無理してでも冬仕度をしている、寒さと四季に憧れをもった人なのかな、と映った。

 言うならば、私ら三人はこの島で一番くらいの冬のプロ。
だって、雪国から来たんだもの。
冬のプロは、プロらしく寒さを公平に判断して、そのとき必要な衣を纏うことにしようと、三人の中で暗黙の協定と相成り、それぞれがしていた格好というのは、

 わたしは、昼間の日差しがあるときは半そで、もしくはタンクトップ。
 デッテは、半そでになぜか、西部警察の大門さんを匂わせるサングラスを購入。
 ココにいたっては、街中のスーパーに行く際は、上半身裸。近所では、パンツ一丁という出で立ち。

 雪にあこがれて、冬にあこがれるダウンジャケット人を通りこして、南国に来た反動で、どうかしちゃっている人達になっていた。

 ちなみに、次の年の冬は宮古島の夏を経験するからか冬は寒いことを肌で知り、ダウンジャケットの購入を検討しているわたしがいた。

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