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身もふたもない酷い言い方ですが、ブラジル大統領は事実を言っていると思います。 ●「国民7割新型コロナ感染、どうしようもない」 ブラジル大統領、経済再開呼び掛け

経済再開を唱えるボルソナロ大統領を支持するデモ隊=18日、ブラジル・サンパウロ
 【サンパウロ時事】ブラジルのボルソナロ大統領は18日、首都ブラジリアで支持者らを前に「新型コロナウイルスには(国民の)70%が感染する。どうすることもできない」と発言した。その上で社会の崩壊を防ぐため、各州が独自に実施している商業規制などの隔離措置を緩和するよう求めた。
 隔離措置による失業者増大を最も懸念するボルソナロ氏は「(感染は)きょうでなければ来週、来月だ。これが現実だ」と強調。「高齢者や健康に問題のある人はケアするべきだ。ただ、われわれは働かなければならない」と経済活動再開を訴えた。
大統領の発言を受け、最大都市サンパウロでは大統領支持者らが車やトラック、バイクを連ねてデモ行進。ボルソナロ氏と対立して隔離措置を進めるサンパウロ州のドリア知事の辞任を求めた。
ブラジルでは18日までに3万6599人の感染が確認され、2347人が死亡している。
●米各地でロックダウンへの抗議デモ、「対人距離の確保」守らず 4/19(日) 12:24配信
【4月19日 AFP】米国各地で18日、新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)に対する抗議デモが行われ、大勢が参加した。市民の間ではロックダウンによる経済への大打撃への怒りが高まっており、ドナルド・トランプ大統領もこうした抗議デモを支持している。
ニューハンプシャー州コンコードでは冷たい雨の中、推定400人が参加。同州は新型ウイルスの感染者が比較的少ないのでロックダウンの延長は不要だと訴えた。多くは徒歩だったが、車に乗ったまま参加する人もいた。また、軍服風の格好をして武装し、顔を隠した参加者もいた。
デモ隊は、「数字はうそだ」「ニューハンプシャー州を解放せよ」といったスローガンが書かれたプラカードを手にしていた。
テキサス州の州都オースティンでは、250人超が参加。極右の陰謀論者で、ウェブサイト「インフォウォーズ」の設立者でもあるアレックス・ジョーンズ氏も、戦車風のトラックで参加した。
しかし、推奨されているソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)を守る人は、ほとんどいなかった。
メリーランド州アナポリスにある植民地時代の州会議事堂前では、デモ隊は車内にとどまったまま「貧困も人を殺す」というメッセージが書かれたプラカードを掲げた。
ニューハンプシャー州やテキサス州といった共和党優位の州でも抗議デモは行われたが、トランプ氏はいくつかの民主党優位の州で行われた抗議デモをツイッターで激励した。
米国の新型ウイルスの感染者は18日時点で73万2000人超、死者は3万8600人超となっており、いずれも世界最多。米国人の大半がロックダウンの対象で、住民運動は制限され、不要不急の事業者は休業を命じられている。
【引用終わり】
ブラジルのボルソナロ大統領が「新型コロナウイルスには(国民の)70%が感染する。どうすることもできない」とおっしゃったのは、一面の真理です。
アメリカのデモ隊が「貧困も人を殺す」とプラカードをあげたのも当然であると思います。

現在日本では、政府が「感染防止の為に外出しないで欲しい。三密になるから飲み会もやめて、夜も遊びに行かないで。仕事も人に会わない仕事だけ」と、呼び掛けています。

この政府の呼びかけに応じて休業すると、当然収入がはいってこなくなりますので、食べていけなくなります。そうすると、国民は政府に休業補償を要求します。これが今の日本の状況です。確かに、毎月政府が生活できるお金をくれれば働かなくてもよいですから、これも一つの解決策です。

 しかし、私は「感染を抑える為に国民がなるべく働かずに外出しないで、生活資金は政府がくれる」という体制では乗り切れないと思います。

 新型コロナウイルス騒動は、(国民の)70%が感染して集団免疫ができるか、ワクチンが開発されて国民全員が接種するかしないと、収束しません。

とすると、このように感染を抑えていると集団免疫ができるには30年以上かかりますから、ワクチンの方が早いでしょうが最短でも2年はかかります。3年かもしれないし5年かもしれません。

ですから「感染を抑える為に国民がなるべく働かずに外出しないで、生活資金は政府がくれる」という体制で2年も5年もワクチンを待っている事が出来るのかという事を考慮して、国家としての対策を打っていかなければならないのだと思います。

ボルソナロ大統領はブラジルではそんなことはとてもできないと判断して「高齢者や健康に問題のある人はケアするべきだ。ただ、われわれは働かなければならない」と経済活動再開を訴えたのだろうと思います。
けれど私は、今の日本であれこれと言っていらっしゃる方には、「ことによったら5年続けなくてはならない」という視点がすっぽりと抜け落ちているのではないかと思います。
あの経済学者の高橋洋一さんですら「10万円だけでは弱い…安倍政権はなぜ「休業補償」をしないのか━現代ビニネス」というご意見ですから…。
ですから私は4月10日に「傷つきながらでも、5年付けられるコロナ対策とは何か」を考えて、ブログに「コロナウィルス、経済活動を破綻させずに感染を収束させる方法・これまでのブログのまとめ。●外出制限1ヵ月、ドイツに迫る「コロナ不況」と「EU崩壊」の足音 ━現代ビニネス」をアップしました。
しかし国連もWHOも、何を勘違いしているのか「外出しないで失業しろ」、そして「(検査したって命が助かるわけでもないのに)できない検査をしろ」を呼びかけています。
 ですから、国連やWHOに幻惑された途上国の各国政府が「外出するな」と命じる為に食べられなくなる人達は、これから世界中にあふれかえっていくでしょう。
 そうなると、もはや医療の問題でも経済の問題でもなくなっていきます。世界中の人々の心の中に怒りと憎悪が燃え上がる、そんな政治の問題になっていくような気がします。
 その中で、日本人だけはあいかわらずの脳天気ぶりを発揮しているように思います。
(追伸1)
七重コメント「これはできるから、こうしよう」は一切いわず、こぎれいな言葉で「先進国が金出して、国年に花をもたせてくれたらいいな」という「内容のない国連事務総長の願望」で、途上国に「先進国が助けてくれないからだ」と勘違いさせる寄稿
●新型コロナに打ち克つために、人類ができる3つのこと【グテーレス国連事務総長 寄稿】
4/19(日) 11:16配信 【HUFFPOST】

ニューヨークの国連本部で、新型コロナウイルスについての記者会見を開いたグテーレス氏(2020年2月28日)
新型コロナウイルスに感染した人が、世界で230万人以上(米ジョンズ・ホプキンズ大学集計)に達した。死者も15万人以上に上る。 
今後、世界はどうなるのか。仮に、ある国がこれから感染を抑え込めたとしても、別の国で感染者が増えれば、そこから再びウイルスは流行し、経済も止まり、めぐりめぐって、自国の国民も打撃を受ける。
もはや途上国も先進国も、国内も海外も、あなたも私も、区別はなく、ありとあらゆる国・地域と個人が「当事者」になった。
こうしたグローバル危機の中、国連のアントニオ グテーレス事務総長がハフポスト日本版に「未曾有のパンデミックと闘うために全員の力が必要 」という題名で寄稿し、人類が危機に立ち向かうための「3つのポイント」を示した。 
以下に紹介する(寄稿は4月2日時点のデータや情勢などを元にしている)。
未曾有のパンデミックと闘うために 全員の力が必要
COVID-19のパンデミックと、パンデミックがもたらす破壊的な結果を封じ込めるための唯一の方法、それは私たちによる連帯です。
3月26日に開かれた緊急オンライン会議で、G20の首脳たちは正しい方向へと歩み始めました。しかしながら、私たちが直面している「経験したことのない巨大な危機」に立ち向かうためには、調和のとれた明確なグローバル対応が必要であり、それは依然として不十分なのです。
感染者の数を示すグラフの上昇曲線が平坦になる見通しは立っておらず、私たちの道のりはまだ長いと言えます。この感染症は、当初、10万人が感染するのに67日間を要していました。しかし、今後は10万人、もしくはそれ以上の人たちが、1日で感染することになるでしょう。
一致団結して、思い切った行動をとらない限り、新規感染者数は何百万人にも達する可能性があります。こうした状況によって、医療システムが崩壊し、経済は急激に悪化し、人々は困窮し、特に貧困層が最も大きな打撃を受けることになります
世界が取り組むべき「3つのアクション」
最悪の事態に備え、それを避けるためにあらゆる手段をとることが肝要です。そのために、科学的な根拠、連帯、賢明な政策に基づいた3つのことに取り組むべきです。
まず1つ目は、COVID-19あるいは新型コロナウイルス感染症の感染を抑え込むこと。
感染を抑制するためには、積極的な早期検査や感染経路の追跡に加えて、隔離や治療、初期対応を行う方々の安全の確保、さらに人の移動や接触を制限するための措置が求められます。
こうした措置は(社会に)混乱を引き起こすかもしれませんが、治療法とワクチンが見つかるまで継続する必要があります。
重要なのは、この徹底した取り組みと協力が、国連システム内の機関である「世界保健機関(WHO)」主導の元で行われるということです。独自の行動をとる国(当然、自国民のためには尽くすべきですが)では、全ての人のための成果を得られません。
2つ目は、COVID-19あるいは新型コロナウイルス感染症がもたらす、社会的および経済的な打撃に対処することです。
ウイルスの感染は、山火事のような速さで広がっています。今後は開発途上国の国々にも、あっという間に感染が拡大するでしょう。
こうした国々では、医療システムに限界があり、人々はより脆弱な立場に置かれているうえ、何百万もの人たちが、人口が密集したスラム地域や、難民や国内避難民がひしめき合う居住地で暮らしています。こうした環境では、ウイルスが開発途上国を壊滅させ、一度感染を抑えた地域での再流行を招く可能性があります。
相互につながり合う私たちの世界においては、私たち全体の強さは、最も弱い医療制度の水準で、決まってしまうことを意味します。
人類のためにウイルスと闘わないといけないことは明らかです。人々、特に、最も影響を受けやすい女性、高齢者、若者、低所得者、中小企業、インフォーマル・セクター(非公式経済)、脆弱な立場に置かれている人々を中心として取り組む必要があります。
「2009年の世界」以上の景気後退?
国連は先日、急速に拡大する伝染病が経済に与える影響を記した報告書や、この危機に対応するために必要な資金に関する報告を発表しました。
国際通貨基金(IMF)は、世界が2009年(編集部注:リーマンショックを契機とした金融危機)と同じくらい、もしくはそれ以上の景気後退に入ったと宣言しました。
私たちには、世界のGDPの10%の割合にあたる規模の、広範囲で多国間的な対策が必要です。
先進国は、自国の力で対応できますし、既に実際にそうしている国もあります。しかしながら、開発途上国の支援策を圧倒的に増やす必要があります。SDR(特別引出権)の発行などによって、IMFやその他の国際金融機関の危機に対する能力を増強して、必要とする国に素早く援助を届けることができます。
各国の国内支出が記録的な規模で増大している時期に、このことが困難を伴うことであることは理解しています。しかし、ウイルスを抑制しない限り、その支出は無駄になってしまうのです。
各国の中央銀行が協調して行う通貨スワップも、新興経済国に資金の流動性をもたらすでしょう。2020年の利払い即時免除も含めた、債務の軽減も優先されるべきです。
「原状回復」だけでは足りない
そして3番目は、かつてより良い状態にまで、復興することです。COVID-19あるいは新型コロナウイルス感染症が襲ってくる前の、危機に対して脆弱な世界に単に戻るわけにはいきません。
医療システム、社会的保護あるいは社会保障、公共サービスが脆弱であれば、私たちが多くの代償を支払わなければならないことを、このパンデミックは極めて明確に示しています。
さらに、今回のパンデミックによって、世界の不平等、とりわけジェンダー間の不平等が浮き彫りになりました。(COVID-19あるいは新型コロナウイルス感染症以前の)かつてのフォーマル(公式)経済は、可視化されず、無給で育児や介護、看護をしてきた人たちに支えられてきたこともさらけ出しています。
女性に対する偏見や暴力を含めた今日の人権問題も同様に、あぶり出されました。パンデミック、気候変動およびその他のグローバルな課題に対してもより強靭な「包摂的」で「持続可能」な経済と社会を作るために、これまで以上の努力を私たちはいまこそ行う必要があります。
復興にむけた取り組みは、新しい経済システムの構築へと繋がらなくてはいけません。引き続き、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」と「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現を目指すことにも変わりありません。
異例の事態には、異なる手段が必要
国連システムは総動員体制で、各国の対応を支援し、国連が保有するサプライチェーンを世界が自由に使えるようにし、そして世界のあらゆる場所での停戦を呼びかけます。
世界各地でパンデミックを終わらせることは、道義的な義務であると同時に「良識のある自己利益」のためです。
この異例の事態に対して、いつもと同じ方法で立ち向かうわけにはいきません。異常事態には、通常の手段を使うことはそもそも不可能だからです。
私たちが直面しているのは巨大な試練ですーーその試練に立ち向かうためには、全ての人による全ての人のための、決定的、協調的、革新的な行動が必要なのです。
(英ガーディアン紙にも掲載された。翻訳:ハフポスト日本版)
(追伸2)
「10万円」だけでは弱い…安倍政権はなぜ「休業補償」をしないのか 4/20(月) 6:31配信 【現代ビニネス】

写真:現代ビジネス

「1世帯30万円」は理解不能だった
 先週末の4月17日、安倍首相のちゃぶ台返しがあった。「所得制限つき、1世帯あたり30万円の現金給付」が覆り、「所得制限なし、1人一律10万円の現金給付」となった。これまでの本コラムの読者であれば、この政策変更は正しいと考えるはずだ。筆者は評価する。
 4月7日に閣議決定された緊急経済対策で、1世帯に30万円を所得制限つきで現金給付すると決定したが、あまりに不評だった。本コラムでも指摘したが、国民の所得が行政当局にわかるのはあと1年先である。そうした状況で、個人の所得が低下したことを申告により客観的に判断するのは、まず無理だ。
総務省による実施要領をみても、「世帯主の月間収入(本年2月~6月の任意の月)が新型コロナウイルス感染症発生前に比べて減少し、かつ年間ベースに引き直すと住民税非課税水準となる低所得世帯を対象とする」など、元役人の筆者からみても理解不能だった。
世帯主の収入だけを見ればいいのか、「任意の月」とは2月~6月の5つのうち好きなものを選ぶという意味でいいのか、「年間ベースに引き直す」とはどのような作業なのか、など疑問は尽きない。こうなると、「言い値」で申請してくれ、ということになり、不正申請も多くなるだろうし、誰にも正確にチェックできなくなるだろう。
つまり、「1世帯に30万円を所得制限つきで給付」というのは、こうした非常時には不適切な制度だ。それが撤回されたのは、末端の事務的混乱を避ける意味でも必然だったと筆者は思っている。
「これで終わり」ではない
 報道では、公明党の山口那津男代表が安倍首相に強く働きかけたという。その結果、4月7日、緊急経済対策の発表と同日に閣議決定された令和2年度補正予算案は、組み換えられることとなった。
新聞では、「異例」とか「安倍首相の面子丸つぶれ」とか書かれているが、制度的に欠陥のあるものをストップしたことは、国民にとっていい選択だった。もっとも、こうした非常事態では簡素でスピーディな制度のほうが望ましいので、はじめから「所得制限なし、一律10万円」にしたほうがよかった。
もともと、安倍首相や山口代表は「一律10万円」派であったが、麻生財務相、岸田政調会長と財務省の「所得制限つき一世帯30万円」案に押されてしまった。いずれにせよ、正されてよかった。
財務省が「所得制限つき」を主張したのは、表向きは生活に困っている世帯への支援という名目であるが、実際の理由は所得制限をすることで予算総額を抑えられるからだ。所得制限つき一世帯30万円では4兆円の国費が必要だが、所得制限なし一律10万円なら12兆円に増える。
なにはともあれ、この安倍首相のちゃぶ台返しにより、いわゆる「真水」が25兆円程度になった。マクロ経済効果としてはこのほうが大きい。コロナショックは、最近のIMFの経済見通しによれば「大恐慌以来」といわれるほどだから、対策としてはこちらが望ましい。
ただし、これで終わりというわけにもいかない。次の経済対策の手を打つ必要がある。何が考えられるのか。
まずは「休業補償」を急げ
 まず第一には、休業補償だ。前提となるのは、これまでの7都府県だけでなく全国の都道府県に拡大された緊急事態宣言である。これも4月17日に発表された。
安倍首相は、人との接触率を7~8割減少するように国民に訴えかけている。これは、複雑な数理モデルから導き出される答えであるが、筆者は諸々の現状を考えると、国民への訴えとして妥当な内容と考えている。これについては、筆者に評論家の須田慎一郎氏が質問をしているので、それに答えることとしている。20日以降に、「ニューソク通信社」(https://www.youtube.com/channel/UCf12PYOjXPjX38TFvPNm37g)にアップされるはずだ。
ただし、これを実行するためには、現在の自粛要請の法的根拠である改正された新型インフルエンザ等対策特別措置法では心許ない。
そもそも諸外国と異なり、日本では外出禁止を要請しても罰則がない。民主党政権時代に作られた法律なので、私権制限の側面はほとんどない。それなのに、あたかも政府が十分な私権制限ができるかように改正法を批判していた人もいたが、今はだんまりだ。緊急事態宣言を出すと、憲法での非常事態条項まで議論が及ぶから、緊急事態宣言をすべきでないといった本末転倒な議論すらあった。そうした人々はどこに消えたのだろうか。
そうした議論は、現在のような非常事態ではできない。となると、国民全員に給付金をバラまき、協力してもらうしかない。その意味で、全国への緊急事態宣言と、全国民へ一律10万円給付は時宜を得た政策だ。
まだ「緊縮病」は根強い
 一方、企業や事業者は休業自粛で、もはや倒産寸前のところも増えている。先週の本コラムで、筆者は磯崎陽輔元参院議員の「休業補償したら財政破綻する」とのツイートを批判した。
一般論だが、事業が厳しくなると、事業主は経費を減らそうとする。このとき、人件費まで削減すると、休業や解雇につながる。解雇の場合、労働者には失業保険が手当され、休業の場合には事業主に手当に要した費用が雇用調整助成金として支給される。
ともに、原資は事業主と労働者が雇用保険としてこれまで毎月支払ってきたカネで、雇用を守るためのセーフティネットだ。どちらも不正受給はいけないが、これまで労使が雇用保険料を支払いしっかりと積み上げてきたものであるので、法律に基づくものは大いに活用していい。
なお、雇用調整助成金は、なかなか審査が通らないという話もあるが、それではこれまで何のために雇用保険料を支払ってきたのか。官僚は自らの天下り先には潤沢に資金を使ってきたではないか。国民は、そうしたことをよく覚えているものだ。
国はまだ休業補償に及び腰であるが、雇用調整助成金の枠組みの中では、ある程度の対応をしようとしている。これは、経費のうち人件費以外の固定費などについては補償したくない、人件費の部分はこれまで労使が支払ってきた雇用保険料で賄う、という意思表示だ。
結局のところ、雇用調整助成金は事業主が払ってきたにもかかわらず、いざとなると「恵んでやる」というお上目線で、緊縮病のケチケチ根性丸出しなのだ。

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10兆円は捻出できる 
 では休業補償には、一体どれくらいの金額が必要なのか。大雑把ではあるが考えてみよう。緊急事態宣言の対象は全都道府県に拡大されたが、全国のGDP合計は500兆円。休業要請するのは、経済活動別分類でいえば、宿泊・飲食サービス業、教育、その他のサービスが中心だ。
それらの付加価値額が全体の10%程度として、経費と利益をすべて補償したとすれば年間ベース50兆円。仮に補償期間を3ヵ月として経費率8割とすれば、経費すべてを補償する場合、50×0.25×0.8=10兆円。全額でなく8割補償とすれば、必要金額は8兆円程度にしかならない。
この程度であれば、国債を発行し日銀が買いオペ対象にするだけで、インフレを起こすこともなく簡単に捻出できる。そもそも、本コラムで何度も指摘してきたことだが、筆者は「100兆円基金」であってもインフレなしで用意できるという立場なので、非常時においては、この程度のカネを用意して政策に使うことは当然だと思っている。
一方、地方公共団体には、日銀の通貨発行益という奥の手はない。財政余裕度を示す財政調整基金(2018年度末)についてベスト5を書けば、東京都は8428億円だが、大阪府1489億円、愛知県1102億円、神奈川591億円、千葉465億円という状況で、1兆円を超す支出を地方公共団体に求めることは到底できない。
財政に余力のある東京都は、1店舗50万円、2点店舗以上の事業者に100万円と休業要請に応じた事業者に給付金を出せる。大阪府は個人事業者に50万円、中小企業に100万円と頑張っている。となりの兵庫県は、大阪府にならったようにみえる。しかし、個人事業者に最大50万円、中小企業に最大100万円と、いずれも「最大」がついている。財政調整基金29億円(全国44位)の兵庫県では、最大で対応するのは難しいだろう。
地方自治体はそれぞれ頑張っているが、ここは国の出番だ。政府は緊急経済対策において、地方創生臨時交付金1兆円としているが、それを10兆円くらいに増額し、地方自治体の休業補償を支援したらいい。

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奥の手もある
 次の一手としては、消費減税もまだある。
コロナショックが収まるまで経済活動は縮小するだろうから、「10万円給付」は今回だけではなく、次も有効な対策である。中小企業向けの持続化給付金、一般企業向けの雇用調整助成金、失業者向けの雇用保険給付などもあるが、筆者としては、消費を戻すために、その前に消費減税を主張したい。
そもそも、消費増税を昨年10月にやらなければ、ここまで経済は低迷しなかった。それに安倍首相は「リーマンショック級のことが起こらなければ消費増税」するといったが、実際にリーマンショック級、それ以上のことがコロナショックで起こったのだ。であれば、消費減税をする大義名分がある。
安倍首相には思い切った休業補償と消費減税を、次の「ちゃぶ台返し」で打ち出してほしい。
最後に、感染拡大の状況を見ておこう。4月7日の緊急事態宣言の効果が、今後1週間以内に出てくるだろう。その効果を見極めるには、その後さらに1週間を要する。そして5月6日以降、宣言が再延長されるかどうかという判断になる。来週の本コラムではどのようなことが言えるのか、いまはまだわからない。
髙橋 洋一(経済学者)

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