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世界の製薬業界のサプライチェーンに混乱が生じる恐れ 。つまり、あって当たり前の「お薬が、マスクのように無くなってしまう」かも ●インドが新型コロナ検査キット輸出を規制、感染拡大受け

[ニューデリー/ダッカ 5日 ロイター] - インドは大半の新型コロナウイルス検査キットの輸出を規制する指示を発動した。同国では3週間にわたる全土のロックダウン(封鎖)にもかかわらず、新型コロナウイルス感染者数が5日時点で3350人を上回った。
同国はここ数週間に、一部の医薬品のほか、人工呼吸器やマスクその他の防護用品の輸出を禁止している。
COVID-19の治療に有効かどうか治験が行われている抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」の輸出も禁じており、4日にはトランプ米大統領がモディ首相と電話会談して放出を要請した。
ホワイトハウスのディア報道官は4日、ツイッターで「両首脳は、重要医薬品の供給および供給網について、世界的な衛生危機下で可能な限り円滑に機能し続けるよう引き続き緊密に連絡を取り合うことで一致した」と投稿した。
一方インドは、会談の報告で、両首脳は「COVID-19と断固として、また効果的に戦うため、インドと米国のパートナーシップの力を充分に発揮していく」ことで合意したと説明した。
●米FDA、医薬品不足を警戒-インドが一部原薬の輸出制限で 2020年3月4日 9:15 JST【Bloomberg】

インドが医薬品の一部原薬で輸出制限を打ち出したことを受け、米食品医薬品局(FDA)は医薬品不足を警戒している。インドの措置によって、世界にまたがる製薬業界のサプライチェーンに混乱が生じる恐れがある。

 インドは3月3日に今回の措置を発表した。背景には医薬品有効成分(API)不足を巡る懸念が強まっていることがある。中国では新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、API製造企業の多くが生産停止または減産を余儀なくされている。
 インド政府の通知によると、輸出制限の対象には市販の解熱鎮痛剤に含まれるパラセタモールの他、抗菌薬に使われるメトロニダゾールやさまざまなビタミンB剤などが含まれる。
 FDAのハーン長官は3日、議会公聴会で「インドは26の医薬品有効成分で輸出を制限した。これは同国の輸出能力の約10%に相当する」と証言。「サプライチェーンへの影響を見極めるため、このリストの精査に尽力している」と述べた。
 FDAは医薬品メーカー180社と連絡を取ったが、新型ウイルスに絡むサプライチェーンの問題で供給不足に陥った医薬品として特定したのはこれまでに一つだけ。ハーン長官はこの医薬品を明らかにしなかったが、代替品が入手可能だと説明した。
 インドは世界のジェネリック(後発薬)供給の約20%を担っているが、その製造に必要なAPIの約66%を中国に頼っている。
【引用 おわり】
最初の記事の背景は、以下の通りです。
その一 抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンが、新型コロナに効きそうだという事で、トランプ米大統領は新型コロナウイルス感染症との闘いにおいて、この医薬品が「ゲームチェンジャー(状況を一変させるもの)」になると、繰り返し言及していた。
その二 その「ゲームチェンジャー」を、4月4日にインドが「一切の例外なく」即時禁止すると発表したところ、トランプ大統領がインドに電話して、話し合いをした。
その三 インドは、両首脳は「COVID-19と断固として、また効果的に戦うため、インドと米国のパートナーシップの力を充分に発揮していく」ことで合意したと説明した。
結局どういう事になったのかはよくわからないのですが、「抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンが効きそうだ」という事になっても、今までそんなに需要はなかったでしょうから沢山は作っていなかったと思われますので、インドが輸出を止めるとしても不思議はありません。
私は、このコロナ騒ぎの前まではちっとも知らなかったのですが世界の抗生物質をつくる原料APIは、ほぼすべて中国産だそうです。たぶん先進国の製薬会社が、中国で作れば安いので中国で作っていた訳です。ですから、米国でも中国がAPIの禁輸を出されると、どうしようもなくなってしまうそうです。ただ今までは、そんなことにはならなかった。なぜならば、おそらくは欧米企業のとの合弁会社が製造していたからだと思います。
しかし、事態は変わりつつあるような気がします。
嘘か真かわからぬ風の噂ですが、日系企業のマスクの事例があります。一部日系企業は昨年まで中国でマスクを造って日本で販売していました。そのマスク製造会社は、中国で感染爆発が起こると、中国政府の命令で輸出を禁じられました。この結果、日本では2月からマスク不足になりましたが、ここまでは当然のことと理解もできます。
しかし、中国で感染が終結してマスクが輸出できるようになっても、以前のように日本に輸出されることはありません。日系企業の合弁会社のはずですが、工場自体が接収された状態が続いていて日系企業の意向は全く無視されるようになっているそうです。早い話が、工場をただで乗っ取られてしまったという訳です。
以上は風の噂です。しかし、中国でマスク需要が減少しても、日本への輸出が(表向きでは)再開しない事の説明にはなっています。
ですから、国際情勢の転がり方によっては「抗生物質をつくる原料APIの工場が、中国政府によって接収されてしまう事もあり得る」モノとして、これからは国家のかじ取りをしてゆくべきなのだと思います。
つまり、国内の製薬会社に薬の国産化を促す事を 緊急の課題にすべきであるという事です。米国ですら、インドにイエスと言わせることができないのです。食料と医薬品は可能な限り自給しておく。もしくはサプライチェーンを組み替えて、日本の○○がなければ他国が作れないという状況にしておく必要があります。「日本の○○がなければ他国が作れない」のならば、物々交換が成立しますから…。
ただ、輸入しているだけでは、輸出を止められたら終わりです。「どこでもいいから安い所から買うという時代は、すでに過去のものとなった」のです。

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