性サバイバーとして生きる。

「性サバイバー」という言葉を知っているだろうか。

これは性被害者のことを指し、最近では自らを「性サバイバー」と名乗る人も増えてきており、マイノリティのひとつである。


実際に性被害に遭った人達に会ったことがあるが、自らを「性サバイバー」と呼ぶのは極小数である。

しかしながら、性被害を発信する人達の中にはこの「性サバイバー」と名乗ることが増えてきているように感じる。


軽んじられる性被害

わたしは、性被害者である。

これを発信するに至った背景に、ある勉強会への参加があった。

そこでは実際の性被害について経験者が参加者に語るというものであったが、わたしはそこでいくつかのモヤモヤした気持ちを感じた。


わたしはレイプをされていない。

わたしはレイプ未遂で終わった。

わたしは身体を触られただけだ。

わたしはセクハラされただけだ。

わたしは抱きつかれただけだ。


悲惨な話を聞く中で、わたしは自分と比較しながら「自分の被害は軽い」のだと何度も何度も言い聞かせていることに気づいたのだ。

そして、酷い経験を思い返してこう言い聞かせたのだ。

「大丈夫、辛いと思わなければこれは性被害ではない」と。


そんな思考に至るまで、いくつもの経験を積み重ねてきた。わたしの体験はわたしの周囲の人間に、いつだって軽んじられてきた。

「それを言うなら、わたしはこんな体験をした」と、いつもマウンティングをくらってきたのだ。


つらいと言葉にすることさえ叶わない経験が積み重なり、いつしかわたしはわたしが悪いのだと言い聞かせるようになった。


嫌だと言える自分

わたしは昔から自己主張をきちっとできる人間であった。


嫌なことは嫌だと言える。

面倒くさいことは面倒くさいと言える。

だからこれまでの被害経験は知人によるものであったため、わたしは襲われた際に「嫌だ」とハッキリ意思表示できたために未遂で終わった。


よく性被害の話を聞くと「断るのがこわくて受け入れるしかなかった」と言う。いや、わたしは違う。断れたのだから、わたしは被害にあっていないのだ。そう言い聞かせることでなんとか心の安寧を保っていた。


電車に乗れない日々

心に蓋をする毎日に、1度だけ崩壊が訪れた。

気がついたら、満員電車に乗れなくなったのだ。電車という密室空間で男性が近くにいることが恐怖で、何度も駅を降り家では嘔吐を繰り返した。

こわくて震え、涙が止まらないこともあった。目眩で気絶しそうになったこともある。


それでもわたしは電車に乗り、大学時代一生懸命平然を装って生きていたのだ。

電車に乗れない自分を認めることの恐怖と同じくらい、被害経験が自分を苦しめていることを認識することは怖かったため、何度も何度も自分を奮い立たせていた。


どこからが性サバイバーなのか

先日、とある勉強会でわたしはこんな質問をひた。

「性サバイバーと名乗るのはどこからですか?」

と。その時、ある人がわたしにこう言ってくれたのだ。


「サバイバーと名乗らなくてもいい。その境界線は何も無いよ。ただ、過酷な性被害を生き抜いた人たちに敬意を称して、サバイバーという言葉を使っているんだよ」

ああ、そういうことか。わたしは、あのつらい状況を生き抜いたのだ。

本当は、被害に遭うたび死んでしまいたかった。信じていた人達に襲われかけるたびに、何度も自分を呪った。

生きていることがつらくて仕方なかった。


でも1番つらいのは、わたしの経験を軽んじられることだった。わたしの感じた思いや苦しみが簡単に一蹴され消されていくその虚無感は、今でもわたしを苦しめている。


わたしは、性サバイバーである。


「わたしは、性サバイバーである」

そう言葉にした時、わたしは本当の意味で強くなれた。

生き抜いたわたしに贈る、最初のプレゼント。

頑張ったわたしに与えられた、大事な称賛。


「性サバイバー」

と名乗って、わたしは初めて強くなれた。

自分が何者であるか提示するのは簡単だ。しかし、それによりレッテルを貼られることもある。

性サバイバーと名乗ることは、性暴力被害者であるということを皆に明かすことになる。

しかし、その分わたしはこれまで逃げていた現実と向き合えるようになった。そして、性サバイバーである自分を愛せるようになった。


わたしは、性サバイバーである。

わたしは、性サバイバーである。

わたしは、性サバイバーである。


辛い状況を生き抜いたわたしにこそ、ふさわしい肩書きだ。


#性暴力
#性サバイバー
#セクハラ
#パワハラ
#女性差別

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94生。某職業を3月末に退職。4ヶ月のアパレル勤務を経て、建設業に女性施工管理技士として就職。現在資格取得に向けて男性社会で奮闘中!
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