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what appeals to you about her ideas 2

2011年からジョアンナ・メイシーにつながったもう一つの線。
それは友人からの「末期ガンが見つかった」というメールだった。彼女には幼い子どもがいた。自分が亡くなるということについては納得したけれど、残される子どもについてのサポートが欲しい。どこか無いだろうか、というものだった。

娘の学校が夏休みになり、日本に戻ってお見舞いに行くと、病床からもパワフルに彼女は自分で親を亡くした子どものためのNPOの設立に動き始めようとしていた。私もあれこれ探して、夏前にはオレゴンにダギーセンターというところがあるところまでこぎつけた。

覚束ない英語力だが、「ダギーセンターに行ってくるべきかもしれない…」と思っているころに、ハワイから東北の震災支援をするオーガニゼーションが設立されるという話を聞いた。その設立総会に誘ってもらったのだ。東北に支援に行ったヒロさんという人の報告もあるという。後ろ髪引かれる思いで後にした東北の惨事に、ハワイから関わっている人たちがいるということに引かれて、その会に出かけてみた。

するとなんと! ヒロさんはKids Hurt Tooというハワイで親を亡くした子どもたちの支援をする団体の創設者だった。しかも妻であるシンシアは長くダギーセンターでプログラムディレクターをしていた人物だ。偶然とはいえ、すごいことが起こった。探していたものが「すぐそこ」にあった。

さっそく、友人に喜びのメールをし、弟さんがKids Hurt Tooを訪ねに来てくれた。大きな宿題の一部を提出した思いだった。

子どもたちと接するにはトレーニングを受ける必要があったので、次の年の初めに4日間のボランティアのトレーニングを受け、その後、ホノルルでのグループでファシリテーターをした。一方で、東北に帯同して震災支援にも関わった。

Kids Hurt Tooでのトレーニングはとても興味深いものだった。カウンセリングでは共感をかなり使うのだが、グリーフ、トラウマを体験した子どもたちへのサポートでは、子どもたちの行動にフォーカスし、今、その子どもがやっていることを言語化してレポーターのようにフィードバックしていくというスキルを使う。この方法で関わると、ジャッジや解釈が起こりにくい。

大きなグリーフを抱えた子どもたちは大人たちの反応に敏感になっていたり、逆に何も感じないかのような状態になっていたり、自分の感じていることややっていることが不確実な感じで思えたりする。行動へのフィードバックは同情や解釈やジャッジにはならない。子どもたちが「ああ、確かに今、自分はそれをやってるよな」と思えることで、安全な地平に一緒にいる感覚を確かめることができる。

友人はその年の9月に亡くなり、しかし、NPOを残した。シンシアの研修会など、今もつながりは続いている。(つづく)


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