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1873 『図解・ひとめでわかる内部統制(第3版)』

◇1873 『図解・ひとめでわかる内部統制(第3版)』 >久保恵一/東洋経済新報社

会計や財務に関する本については、一通りのジャンルを読んできたつもりだが、改めて振り返ってみると、「内部統制」と「IR」については、あまりしっかりと学習したことがないことに気がついた。知識の欠損箇所は早めに埋めておいた方がよい。内部統制については、実務ベースで対応しているので、まったく知識がゼロという訳ではないが、一度体系的に学習しておくに越したことはないだろう。

そんな思いで手にしたのが本書ともう1冊『内部統制の仕組みと実務がわかる本』。図が多くて読み易そうだったので、本書から手を付けたのだが、内部統制の全体像がよく理解できた。

一般的によく見かけるのが、次のマトリックスをキューブ型にして図示したもの。

<内部統制の目的>
・業務
・財務報告
・法令順守
・資産保全

<基本的要素>
・統制環境
・リスク評価と対応
・統制活動
・情報と伝達
・モニタリング
・ITへの対応

本書では、これらの1つ1つがきちんと説明されている。しかしながら、J-SOXと呼ばれる内部統制報告制度では「財務報告」のみが求められている。そもそもJ-SOXとは金融商品取引法の中で定められたものであり、上場企業に義務付けられたもの。つまり、上場企業の開示義務に強く関係しているのだ。

一方で、本書で書かれている内部統制全般には、業務や法令順守といった他の目的も含まれている。これらは、会社法で要求されているものであり、上場していなくともすべての大企業に適用される。

上場企業であれば、大企業に相当することが多いであろうから、結局は両者に対応する必要があるのだが、それぞれの法律が求めるものが違うという点を、しっかりと理解した上で、両者の法令に対応していくことが、効率的であろう。

これ以外にも、基本的なことがほぼ網羅されていると感じた。非常に分かりやすい実務書である。



【目次】

序章 内部統制とは
第1章 内部統制の基本的枠組み
第2章 日常業務に見る内部統制
第3章 内部統制と会社法
第4章 内部統制報告制度(J‐SOX)
第5章 内部統制と関連トピック


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