新しい窓辺
我が子たちが家を出たので、部屋を模様替えしようと思い立つ。良いきっかけがあったので、思い切って三段ベッドや子どもたちが幼い頃使っていたデスクをリサイクル業者の方に頼んで持って行ってもらった。
断捨離は得意ではない。出来るだけ感傷的にならないように、自分の気持ちに蓋をしながら思い出深い家具たちを見送った。でももう行ってしまったから、感傷に浸ってみようか。
リビングを子ども部屋として使っていた時期がある。三人のデスクが並ぶ広さの壁がそこにしかなかったし、キッチンにいて子どもたちの様子が見えるのが楽しかったから。
3人がベッドから顔を出しているのも可愛かったな。たくさん話して、たくさん笑った。
戻らない日々を思ってあまりにも感傷的になりそうになったら、でも大満足じゃん、って自分に言う。子どもたちと100%で関わった。間違ってるんじゃないか、私が親で良かったのか、って苦しむことも多かったけど。今思うのは正解はなかったってこと。
正解ばかりを考えていたらきっとダメになってた。私は途中で正解を意識することをやめた。そこから楽になった。今目の前にいる愛おしく頼りない存在を支えよう、愛おしさを全力であらわそう、その気持ちは今も変わらない。
お陰で子どもたちとは楽に楽しく関われた。何を考え、何を想うのか、子どもたちの発想に気付かされることも多く、今でも彼らとのおしゃべりは楽しい。
これからは自分の人生第三幕。正解がないって嫌と言うほどわかったから、若い頃より生きやすい。
自分が何を考え、何を想うのか。味わいながらゆっくり歩みたい。
断捨離修行のため、私は今までの半分くらいの大きさの部屋に引越。窓辺に小さなデスクを置いた。
新しい部屋の窓からは、空がよく見えて気持ち良い。
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