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くだらないこと…

 娘が口笛を吹いていた。褒めると、「めちゃくちゃ練習したもん」と言う。ふと自分のことを思い出した。昭和の小学生。やたら時間があった。
その時間の限り、私は何かを練習していた気がする。
 例えば学校でペン回しが流行ったら、ひたすら家でペン回しの練習。練習している間に尖った部分が目に当たったら危ないから、とペンの先にテープを巻いたりして危なく無い工夫なんかもしながら。投げ食いもあの時映画か何かでポップコーンを投げて食べているのを見て、その格好良さに魅了された。ものすごく練習した。好きな人に引かれるのが嫌なので、人前ではしないようにしているが、かなりの腕前だ。投げ食いの検定が出来たら、きっと師範レベル。そして口笛。父が羨ましくて、コツを習ってひたすら練習した。これも出来る。
 ある時、大好きだった漫画で壁にトランプ状の予告状を投げて刺すシーンがあって、それは本当に練習した。バレーボールが好きで、一人で壁相手にパスの練習をしたり、サッカーもハマったら壁に向かって何度もボールを蹴っていた。

 バレーやサッカーでレギュラーになることはなかったし、壁にカードが刺さることはなかったけれど。それでも、口笛は吹けるし投げ食いは師範級。ペン回しも今でも出来る。そんな小さなチャレンジと小さな成功体験を積みながら、大人になった。

 今の私は。

 やっぱりいろいろなチャレンジをしては、成功したりしなかったり。でも決して諦めない。これがダメならもっと良い方法を探す。

 もし、あの頃の私を今の私が見たら、吹き出すだろうか。否、きっとその一生懸命な姿にエールを送るだろう。そして、そんなくだらないとも見えるチャレンジをいつも微笑ましく見守ってくれた両親に感謝するだろう。
 チャレンジ精神は、欲しがってもいくらお金を払っても手に入らないものだと、今わかるから。

 今、新型コロナウイルスの緊急事態宣言でこうして長い時間家で過ごしていると、当時の自分を思い出す。子どもたちには、どうかめいっぱい、自分の興味のあることをやってみてほしい。大人たちは、どうかそれを見守ってあげてほしい。
 
 今まで急ぎすぎた私たち。
 競い過ぎた私たち。

 自分のために、つまらないことのために時間を使ってもいいんだよ、って大人も子どもも思い出せたらいい。何もしない、何も産み出さない一日があってもいいんだよ、って気付けたらいい。

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