新規事業創出というもの

新規事業創出というもの。
これは自身のエンジニアとして組織開発者としての経験を一旦ゼロベースで見直す必要があるミッションかもしれない。

私がこれまで培ってきた(技術)マネジメントは、顧客と共に課題を見極め、技術バラシをし、必要な知見を持つものを集めて、人とモノと金をアサインし、対話を行いながらメンバーの能力を120%引き出すことを意識していた。それはそれでムーブメントは生じる。実際に、私はこれで結果を出してきた。

しかし、やはり新規事業は何かが違う。
まず第一に課題がはっきりしていない。生産技術職とは異なり、顧客が会社の外に居る。より外に目を向けて、潜在顧客と対話を重ねながらマーケットインの視点でとり進めるべき性質のものである。

第二にビジネスの視点がいる。
仮に社外の顧客の課題/ニーズを掘り起こし、解決できたとしても、そこで自社の利益にならなければ面白くない。同業他社あるいは全く違う業界であっても簡単に真似できる内容であるならば、すぐさま価格競争の世界に陥る。敵に塩を送るような動きをしては、後で首を締めることになる。
特に素材メーカーである我々は、素材が売れてこそ企業活動が成り立つ。投資した巨額の初期投資(製造設備)に見合うリターンや製造に関わる従業員のサラリーが賄える。

第三に固有技術がいる。
他者が観点に真似できない内容とは、すなわち”固有”技術を用いた事業展開である。それは特許戦略で守られていたり、あるいは暗黙知としてノウハウが外に一切公表されることなく内部に蓄積されてきたものであったり。この理解なしには、勝てるビジネスモデルは描けない。

第四に社内技術だけでは勝てない。
固有技術はあくまでも、勝てるビジネスとしての必要条件であり十分条件ではない。世の中で使われる形になるには、社内で持っている技術だけでは足りないことの方がほとんどである。そこで、必要な技術を補うために社外の誰と手を組むか?が重要になってくる。なるべくは主従関係ではなく、どちらもメリットのある形でどう絵を描くか。

このようにしてみると、社内の内側外側、いやもっと全方位型の視野が必要なポジションであることに気づく。
社内には全てを繋ぎ合わせて夢を語る力。
社外には一部情報を伏せながらも、夢を語り協力を求める力。

どこまでオープンマインドで対応すれば良いのだろう?
ビジネスでは正直すぎると成功しないという通説がある。
正直ベースのコミュニケーションはノウハウ開示に繋がり、先方に裏で準備され最後にハシゴを外されるという話だ。

ビジネス環境が勝ち負けの世界では、そのような結末を迎えるのはある意味正しいだろう。”共生”という意識が強ければ、そのような裏切りは起きにくいかもしれないが。

私は共生型コミュニティーを作りたい。
地球規模の社会課題に対し、ソリューションを提供する力を共生型コミュニティーのメンバー(企業)全ての力を結集して高め、解決する。

だから、まだ世の中で主流である”勝ち負けの世界”で気をつけなければいけない戦い方の作法は頭に入れつつも、共生型への道を探る。
そのほうが、正直ベースで対話ができて同志も増えて人生が豊かな気がする。すると過去に培ったマネジメントの良いところがもっとたくさん活用できる。

まだただの理想で、その道のりはまだまだ遠い気がする。
ただ、圧倒的な熱量を持ってやり遂げてみたい。そのためにここに来たのだから。

自身の新章スタート10日目の想いとして、ここに記す。


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