見出し画像

「近代科学の父」アントワーヌ・ラボアジエについて簡単にまとめてみた(^^♪

どうも。namihiroです。

本日は質量保存の法則、燃焼反応と酸素の関係性、33の元素をまとめた本を紹介した天才、アントワーヌ・ラボアジエについてまとめていきたいと思います。
前回の記事で四原質説を疑い、実験科学を流行らせたことで錬金術を近代化学へ進化させるきっかけを作ったロバート・ボイルを紹介しました。
そのボイルが提唱した元素の粒子説を証明したのが今回紹介するアントワーヌ・ラボアジエなんです。
アントワーヌ・ラボアジエはボイルの死後約50年の1743年生まれです。
1774年に質量保存の法則と燃焼反応の仕組みを立て続けに発表し、1779年に「燃焼の原因こいつや!!」って酸素を命名しました。
ボイルの後を継ぎ、粒子説を証明し、質量保存の法則を発見したことで錬金術に終止符を打った天才です。
本日の記事はアントワーヌ・ラボアジエの生い立ち、質量保存の法則、燃焼反応と酸素の関係性の3部構成で書いていきます。

アントワーヌ・ラボアジエの生い立ち

アントワーヌ・ラボアジエは1743年生まれ、フランス出身です。
お父さんはパリで弁護士をされていて、かなり裕福な家庭に生まれたようです。しかし、幼少期は結構ハードです。5歳のときにお母さんを亡くしていて、以降はおばさんに育てられます。お母さんの莫大な遺産を引き継いだおかげで教育は充分に受けて育っていきます。

11歳から18歳まで学校で化学、植物学、天文学、数学を学びます。
卒業後はお父さんの跡取りを目指して、パリ大学法学部に進学。
20歳で学士号を取得し、21歳で弁護士試験に合格。飛び級に飛び級を重ねて、超人的なスピードで法律家を目指していきます。やっぱりこの人も天才です(;´∀`)

一方で、パリ大学在学中に天文学者のラカイユ、博物学者のジュシュー、鉱物学者のゲタールなどの天才たちと知り合ったことで、自然科学にも興味を持ち出します。法学部なのに化学の講義を聴きに来たり、天文学について調べたり、ゲタールのフランスの地質図作成に協力したりします。その後もしばらくはゲタールと協力して研究を続けていきます。

実績十分な先輩たちに気に入られるだけのコミュニケーション能力があって、文系も理系も天才的にできて、アクティブに活動するって確実に無敵でしょ!現代にこんなやついたら、「在学中に爆速でベンチャー立ち上げて、M&Aして、今は投資家です!」みたいな感じになってそうですw

23歳のときにフランス国家が『都市の街路に最良な夜間照明法』というテーマで論文を募集します。ラボアジエは初めて書いた論文で最優秀賞を受賞して、フランス国王ルイ15世から金メダルをもらいます。更に、ゲタールと研究したフランス各地の飲料水の分析結果に関する論文を発表してフランス科学アカデミーの会員となります。もうね、天才過ぎて意味が分からんよw

26歳からは四原質説の調査を開始。四原質説を実験的に否定していきます。この辺りは後の章で記載しますね。

28歳でマリーさんと結婚。妻のマリーさんもなかなかの天才です。英語・ラテン語・イタリア語ができるバイリンガルで、化学や絵画もできたそうです。実際、ラボアジエの実験結果を翻訳したり、挿絵を描いたりしてたらしいです。

29歳で研究成果で得た金を使って貴族の地位まで上り詰めちゃいます(;´∀`)。32歳で国の兵器工場の責任者となり、兵器工場内に自分の実験室まで作っちゃいます。火薬の材料を他業種の農家に作らせて、しっかりと報酬を払うという仕組みを作ります。農家の生活が潤ったことで、フランス政府の農業委員会にも加わっていきます。もはや、やりたい放題ですw

31歳で四原質説の検証実験から質量保存の法則を発見します。同時に燃焼反応についての研究も始めていきます。32歳のときに燃焼を助ける気体成分を発見し、酸素と名付けます。この研究の延長線上で、34歳のときに動物の呼吸も燃焼反応の一種であることを発見します。また、38歳のときには、水が元素でないことを確認し、水の構成元素のうち、酸素じゃないほうを発見し、そいつを水素を名付けます。

45歳のときに化学原論を出版し、33の元素リストを発表します。これは完全に四原質説を覆すめっちゃ革命的な本でした。本の内容は気体の生成と分解、酸と塩基、実験器具とその操作方法、質量保存の法則、元素リストといった内容になっていて、ほぼ現在の高校1年生くらいの教科書と同じです。

48歳のときに財政面の手腕を見込まれて国家財政委員に任命され、フランスの金融および徴税制度の改革に取り組みます。しかし、1789年より始まったフランス革命により研究はストップされ、政府側の人間であったラボアジエは投獄されます。1794年、51歳のときに死刑の判決が下ります。科学での実績をもとに死刑の取り消しを求める声も多く上がりましたが、残念ながらギロチンにより処刑されてしまいます。

質量保存の法則

ここからはラボアジエが発見した質量保存の法則について書いていきたいと思います。

ラボアジエは1774年に、密閉容器で定量実験をすることで、化学反応の前後では質量は変わらないってことを証明します。のちに「質量保存の法則」と呼ばれることになります。この考えがもとになって、定比例の法則や倍数比例の法則の発見、原子や分子の発見、化学量論の考え方が確立されていきます。だから、ラボアジエは「近代化学の父」って呼ばれています。

実は、現在ではこの法則が完全じゃないってことは分かっています。しかし、実運用上問題なく使えちゃうんで、みんな使ってるって感じです。どこが完全じゃないかっていうと素粒子論・核物理・宇宙論みたいな規模がでかい学問では、質量がエネルギーとしてどっか行っちゃったりします。これを発見したのはアインシュタインとかですね。

とは言っても、質量が変わるほどのエネルギーって核爆弾でも作らないと発生しないので、我々の世界では質量保存の法則はほぼ間違いないです。
というわけで、質量保存の法則は素粒子論・核物理・宇宙論などのぶっ飛んだ業界以外のほとんどの自然科学で使えるめっちゃ便利な法則なんです!
どう使えるかっていうと、例えば、完全に密閉した容器で化学実験して反応する前と後で重さを測ったら変わってたなんてなったら、ほぼ実験のミスってことになります。

なので、現代人にとっては重さをちゃんと記録しておけば、実験がミスってないか分かりますって便利なツールです。
歴史上においては、質量が変わるような夢のような反応は存在しないってことを証明したので、錬金術を葬り去りました。
その代わり、しっかりと実験ができるってことが分かったので、現代の化学につながっていったわけですね(*´ω`*)

燃焼反応と酸素の関係性

ラボアジエが燃焼反応と酸素の関係性を見つけたことで何が凄いかというと、それまで信じられていたフロギントス説が間違っているよって証明できたことが凄いんです。
フロギントス説って何かというと、「モノが燃えるときに炎と一緒にフロギントスっていう元素が飛んでいくんだ。」っていう考え方です。
実際、この説でも多くの燃焼反応は説明出来ちゃんですけど、金属を燃やしたりすると重さが増えるので、「フロギントス説じゃ説明できないじゃん!」ってなるわけです。

ラボアジエはこの矛盾を証明するために、いくつかの物質を燃やしてみることにしました。すると、リンや硫黄は重さが増えちゃうことを確認したんです。
ラボアジエはこの原因をリンや硫黄が空気を吸収したからだと考えました。そこで、リンや硫黄が燃えたときに空気中の何を吸収しているのかを確かめようとしたわけです。
ちなみに、ラボアジエはこの段階ではフロギントスの存在を信じていて、リンや硫黄からフロギントスがいなくなった代わりに何か別のものが入ってきたんだろうと思っていたそうです。
確認のために密閉した容器にスズを入れて燃やして、燃える前と後で容器全体の重さを測ってみると、重さが変わらないことを発見します。
この実験で、やっぱり空気中の何かがスズとくっついていることは確認できました。じゃあ、それはいったい何なんだという疑問が残ります。
後に、水銀を燃やしたときに発生する水銀灰を再加熱すると水銀と謎の気体に分かれることを確認します。
この謎の気体を収集して、酸素と名付けたって感じです。

こうしてフロギントス説を否定して、燃焼の原理を見つけたわけですね(*´ω`*)

33の元素を発見

ここでは、ラボアジエが発見した33の元素をさくっと紹介していきます。

ラボアジエは「化学原論」という本で、次の33個の物質を元素として紹介しています。
ただし、このうち、「光、熱、ホウ酸、酸化カルシウム、マグネシア、酸化バリウム、アルミナ、シリカ」は元素じゃないことが後に判明されます。

◆ラボアジエが取り上げた33の元素

(光)、(熱)、酸素、窒素、水素、硫黄、リン、炭素、塩素、フッ素、(ホウ酸)、アンチモン、銀、ヒ素、ビスマス、コバルト、銅、スズ、鉄、モリブデン、ニッケル、金、白金、鉛、タングステン、亜鉛、マンガン、水銀、(酸化カルシウム)、(マグネシア)、(酸化バリウム)、(アルミナ)、(シリカ)

まとめ

さて、本日は近代化学の父と言われるアントワーヌ・ラボアジエを紹介しました。
ラボアジエはフランス革命時代に様々な功績を残していきます。
ラボアジエが生きたフランス革命時代というのは、王制から民主国家への革命が頻発した時代で、日本でいうと幕末の動乱のような時代でしょうか。
激動の時代で輝かしい業績を残したのちに、斬首により亡くなってしまいます。
後にフランスの天文学者ラグランジュは、「ラボアジエの頭を切り落とすのは一瞬だが、彼と同じ頭脳を持つものが現れるには100年かかるだろう」という言葉を残しております。
やはりそれほどの天才だったってことでしょうね。

さて、次はラボアジエの化学言論にも書かれている、酸と塩基の部分を掘り下げていきたいと思います。
僕は細かい現象の理解も大事ですが、その現象がどう世の中の役に立って、どういう歴史を経て発見されたのかということが重要だと思っています。
この記事で興味を持っていただけた方は是非、ご自分で詳細に調べていただければと思います。
質問やご指摘なども是非お願いいたします。ではでは(^^)/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?