耳で本を読む幸せ

耳で本を読む。最近はそんな時間が最高に幸せだと思う。
読みながら何かほかの作業をするなどということはなく、とにかく本だけに集中する。時間を有効に使おうという感覚はない。
ほっこりできるひと時だ。

点字使用者の私。本と言えば指で読むものだ、と以前は考えていた。
そのほうが頭に入ってきやすいし、想像を膨らませやすい。そう信じていたのだ。
でも今は断然「耳で読む派」に傾いている。
誰かが読んでくれた言葉を耳で受け取ると、そこには読んでくれた人の世界観が含まれていたりする。以前はそういうのがあまり好きではなかった。
でもだんだんと、それを自分の世界観に変換することが苦にならなくなってきているのだ(そう思いたいだけかもしれないけれど)。
何より、耳で読むと楽なのがうれしい(結局楽したいだけか)。
指が疲れることもないし。
いいことばかりだ。

ただ、実は悩みの種もある。
心地よすぎるのだ。
耳で本を読みながらくつろいでいると、いつの間にか眠りに落ちていたりする。
後になって「あれ、どこまで読んだかな…?」となる。
これ、本当によくある。
ものすごく困るのだ。

と言いつつ、そういう時間がたまらなく好き。
本に登場するネコさんやスズムシさんなんかの夢が見られたりするんだもん。
夢の中でその本の世界をリアルに感じられるんだもん。…いや虫さんの夢はあんまり歓迎しないのだけれど…。
なんて贅沢な時間なのか。

これもまた、読書の楽しみ。…なのかな。

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