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なみある?塩田気象予報士の波や天気のお話。【南高北低(夏型)の気圧配置】

二十四節気の立夏を迎え、歴の上では夏となりました。
太陽の黄道を15度ずつ24分割した歴なので、夏が始まったといっても、まだ実感はありません。
沖縄や奄美が梅雨入りしたばかりで、その他のエリアはこれからですし、どうしても季節の前倒し感がありますよね。
がしかし、梅雨に入る前の5月は青空が広がり、半袖や袖なしで過ごせる日も出てきて、ウエットも徐々に薄くなり、なんとなく気分もワクワクしてくる方も多いのではないでしょうか。

GWが明けたこの週末の天気図を見てみると、本州の南には梅雨前線が現れ、その南の海上には太平洋高気圧がじわじわと張り出してきました。
気圧配置が「南高北低」となり、暑くなりそうです。
(以下天気図は気象庁HPより)

20210508 南高北低 天気図

「西高東低の(冬型)気圧配置」という言葉は、特に冬は頻繁に、冬以外でも時折、見たり聞いたりされると思いますが、「南高北低の(夏型)気圧配置」というのもあるんです。

「南高北低の気圧配置」とは、日本付近から見て南が高く、北が低い気圧配置のこと。
主に、大陸が低圧部となり、日本やその南の海上を太平洋高気圧(小笠原高気圧ともいう)が覆うように広がります。
夏に多いため、夏型の気圧配置とも呼ばれています。
この気圧配置になると、南から暖かい空気が入ってきて、気温が上がります。この高気圧の覆われた中に位置するところでは、カンカン照りで蒸し暑い天気となります。

まさに冬型の気圧配置と逆パターンですね。
朝鮮半島付近にちょくちょく別の高気圧がみられ、日本付近を覆う等圧線がクジラのボディに似て、朝鮮半島付近はちょうどクジラの尾のように見えることから「クジラの尾型」の天気図と呼ばれることもあります。

20190802 南高北低(夏)クジラの尾

また、夏以外の季節でも、南高北低の気圧配置が現れることがあります。
移動性高気圧が南側から回り込むように日本を覆うタイプで、こちらも全国的に南寄りの風が吹き込んで季節外れの暖かさになったりします。
夏のように長続きはしないものの、西側の黄海や朝鮮半島付近にも小さな高気圧がある時などは、移動性高気圧が停滞して2~3日くらいは続くことがあります。
↓ある年の2月6日の天気図

20070206 南高北低(冬)コメント付き


↓ある年の4月1日の天気図

20020401 南高北低(春)コメント付き

では、南高北低の気圧配置によって波はどうなるのかというと、、、
日本付近には南~南西(時には西)風が吹き込みますから、太平洋側では、南向きのポイントに風波やウネリをもたらします。
この週末も、南~南西の風波やウネリが少し強まっていますね♪
そして日本海側は、北向きのポイントはウネリが抑えられてしまうことが多いのですが、西向きのポイントでは風波や西ベースのウネリが反応しやすいです。

太平洋側、日本海側ともに、波の周期(波長)はさほど長くないため、パワフルな波とはならないものの、サクッと遊べるくらいの期待は出来ます。

また、夏になると太平洋(小笠原)高気圧が10日くらいのサイクルで西に張り出したり、東へ引っ込んだりします。
他の季節に比べ、南高北低の気圧配置が持続しやすいため、高気圧の位置次第では西~東日本を中心に南西の風波やウネリが続くことがあります。
ただし、高気圧の縁辺では雲が発達しやすく、高気圧が引っ込んだ時には戻り梅雨になったり、上空に寒気が流れ込んで雷雨となることもあり、そんなときには要注意です。

さて、今回は夏の象徴「南高北低の気圧配置」についてのお話をしました。


5月6日気象庁発表の季節予報では、向こう1か月と6月~8月の3か月ともに全国的に平年より気温が高くなる予想となっています。
今年の夏は、夏型の気圧配置が持続しやすく、猛暑酷暑の熱い夏となりそう!?

その前に!!5月は太陽が高くなり、オゾン層や大気中を通過する距離が短く、オゾン層で吸収される量や、紫外線が散乱することによる減少が少なくなり、地上へ届く紫外線量がとっても大きくなります。
晴れた日は真夏に負けないぐらいの紫外線がバンバン入ってきますので、紫外線対策もぜひお忘れなく♪

気象予報士
塩田久実