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賢者のセックス

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小説「賢者のセックス 彼女がセックスについてのファンタジー小説を書いていた六ヶ月の間に僕が体験したこと」一覧
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#追放

賢者のセックス / 第8章 落書きと夢 / 彼女がセックスについてのファンタジー小説を書いていた六ヶ月の間に僕が体験したこと

四阿  その中学校は丘の上にあった。昔は多摩ニュータウンと呼ばれていたという、多摩丘陵の上を切り開いて作られた巨大な住宅地の東の端だ。学区の中には三つの小学校があり、僕とソラちゃんは別の小学校に通っていた。だから小学校時代のソラちゃんと僕は何の接点もない。  僕たちは中学校の東門の前でタクシーを下りると、校門に覆いかぶさるように大きく茂った木々を見上げた。黒々としてねじ曲がった太い幹。これも桜だ。僕の記憶にあるそれよりも、一回り大きい気がする。ここに立つのも考えてみれば一

賢者のセックス / 第11章 二人ですることと一人ですること / 彼女がセックスについてのファンタジー小説を書いていた六ヶ月の間に僕が体験したこと

違和感  ディスカッションはその後も続いた。  僕は一番気になっていることを口にした。 「でも、何でこんなことが起こってるのかな? 僕は何かの病気なのかな? それとも超自然現象ってやつが来てる? 魔法とか呪いとか」 「それは何とも言えないね。そもそも君なのか、私なのか、私たちなのかさえ、まだはっきりしないし」 「僕じゃないの?」 「もちろん、風景を見てるのは君だよ。だから君に起こったことなのは確かだね。でも、前にも言ったけど、機序ね。ものごとが起こる仕組み。それは、まだ