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漫画家になるには|編集者のスタンスを見極めるという発想 #004

その昔、講談社で打ち合わせしていた時に、親身に相談に乗ってくれていた編集者の方がこんなことを言っていました。

僕が漫画家としてどこで仕事をしていこうか、作品をどこに持って行こうかと考えていた時のことだったと思います。

「僕たちはサラリーマンなので、どうしても漫画家と同じ立場にはなれない。それが残念だけど、だからこそこれ以上(アドバイス)は言えないし、言ってはいけない。」

漫画家は作品に人生がかかっていて、それでご飯も食べれなければ生きていけない。その生きるか死ぬかの選択に、給料をもらっている安全な立場から安易に「こうするべき」なんて言えない。

という内容のことをおっしゃられてました。僕はそれにとても誠実な答えだなと感じました。

たぶん大昔の漫画家と編集者は違った

大昔の漫画家と編集者はそれこそ二人三脚、人生を共にしていたのだと思います。作家の原稿を朝まで隣で待って、自分の人生を犠牲にしても漫画家と共に歩む。

魂まで共にするその間柄だったならば、次の作品をどこに持って行こうか、どうやって生きて行こうか。踏み込んで話すことも、むしろ、話さない方が不誠実、だったのかもしれません。

手塚治虫先生やトキワ荘や…今となってはぼんやり伝わってくる雰囲気でしかありませんが、そうだったんじゃないかという僕の予想です。

現代ではあまりに手前勝手なアドバイスも

作品がうまく行かなかったら、漫画家は生きていけない。そのことを考えて、話をしてくれる編集者さんの割合って、どれくらいなんでしょうか。

「他の雑誌には行かず、自分の編集部に集中してもらいたい。しかし専属契約で支援もしない。」

こんな話が珍しくない。

とは言えこの発言も、あとからお話しする価値観で言えば分からなくない。
ビジネスパーソンとして捉えるなら、自分の会社に有利な条件の提示です。取引先に飲ませることができたなら、いい仕事をしてますよね。

一方でしっかり考えてくれる人も

一方でしっかり漫画家の人生を考えてくれる編集者さんも当然います。冒頭で書いたマガジン編集部のFさん。それから「少女まんが勉強会」を一緒にやっているしーげるさん。

また、これってあんまりいいことじゃないのかもですが、Fさんは26時くらいまで普通に編集部にいて、しかもまた朝からいるんですよね。いつ帰ってるんだ…と思ってました。(帰ってなかったのか…?)頭下がるくらい仕事していた。

しーげるさんもそうです。映画とかアニメとか書籍とかいろいろ頭に入れていて、いつ見ているのか聞いたら、待ち時間だそう。漫画家が締め切り前で根詰めている時に、自分が寝るわけにいかない。って言ってて…どうやら寝ずに待ってる模様。

人生をかけている人の言葉は響く

そうやってこの人も漫画にかけているんだな…と感じる人の言葉は、重いなと思います。しかしそういう人ほど、安易なアドバイスをしないものですが。

しかし現代の価値観において、残業はいいものじゃありません。(お二人とも体に気をつけてください!)仕事は仕事としての割り切りも大事だと思うし、そういう価値観を認めるのも当然です。

僕は、現代の漫画家はその線引きを見極める必要があると思ってます。

仕事は仕事。という感じの相手ならば、その人には漫画家も、あくまでビジネス相手として接しなくてはいけない。取引先なのですから、人生を左右するアドバイスを求めてはいけないし、仮に人生を左右する提案をされても、すべてを真に受けずよく考える必要がある。

いろんな価値観で仕事に向かっている人がいるんだな、ってことを理解し、見極めることが大事なのではないでしょうか。

少女まんが勉強会を月1開催しています。

少女漫画家志望さん、少女漫画家さんが集まって、しーげるさんに少女漫画のあれこれを聞く勉強会を開催しています。

自分のことしか知らないと、自分の担当編集者がどんなスタンスなのか比較することも難しいですよね。たくさんの漫画家志望者の取り組み方や悩みを共有でき、とても勉強になる会です。こちらもお待ちしてます!

▼少女まんが勉強会 7
2020年2月21日(金)19:00〜20:30
https://girls-manga-meeting-07.peatix.com/
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