セカオワ「The fan」の思い出

 ふとiPhoneのメモを見返していたら、「The fan」という題のメモがあった。
 一年半前に行った、SEKAI NO OWARIのファンクラブツアーの記録だった。
 懐かしくて読み返して、noteに上げておこうと思い立ったので、以下にコピペしておく。


いちばん最初、青い太陽のさおりちゃんのピアノ。ドゥガラ以来、5ヶ月ぶりのセカオワの生の音楽。すごく綺麗で、美しくて、身体がゾクゾクして、涙が溢れた。
 あぁ、私またセカオワに会えたんだ。

 深瀬くんの声を聞くと、それだけで安心するのか嬉しくて仕方ないのか、涙が出る。9月のライブのときもそうだった。

 セカオワを知ったのは10年前、小学6年生のときだった。
 好きだった男の子が虹色の戦争を好きだと言うのを耳にして、家のパソコンで調べてMVを見たのを覚えている。それから、EARTH、ENTERTAINMENT、Treeはよく聴いた。

 中学3年生のとき、好きな曲の歌詞を絵に描き起こす授業があって、私は迷わずアースチャイルドを描いた。
 「ぼくらはアースチャイルド 世界中を冒険飛行 どこまでも行こう この夜空に 眠れない君をつれて 夢を見よう 朝が来るまで」とレタリングした。
 たくさんのクレーターをつけた半月を浮かべて、白い絵の具をブラシで飛ばして星を散らした。パジャマを着た裸足の子どもが、おもちゃの浮かぶ宇宙を眺める絵になった。私の自信作になった。

 高校、大学に入って、なぜかセカオワから離れてしまっていた。
 けれど、妹がドゥガラに誘ってくれて、またしっかりと引き寄せられた。それから5ヶ月間、いままででいちばんセカオワに愛を持って、たくさん一緒に過ごした。
 総じて10年間、セカオワは私のいろんな思い出とリンクする。
 苦しいとき、周りの雑音をセカオワがファンタジーに塗り替えてくれた。頼りにして、楽しいときは歩幅を合わせてくれた声と音。

 この声と音が本当に本物だということ、なんにも考えず思いっきり走れば数分で触れられるところにその主がいるということが、やっぱり信じられない。

 3次先行で手にした、2階席のいちばん後ろの端っこの席。肉眼じゃ表情まで見えない。瞬きをして、目を見開いて、借りたオペラグラスをかざす。やっぱり口が動いてる。歌ってる!!

 さおりちゃんの手の動きに合わせてピアノの音色がするし、なかじんのカッティングに合わせてギターが歯切れ良くリズムを刻んでいるし、ラブさんの拳は遠くの私でも分かるくらい高く上を突き刺している。
 ああ本当に本物なんだ。
 いつもイヤホンの中にいるセカオワが、いまはそこにいるんだね。多分、この感覚は一生慣れない。一生、夢なんじゃないか、と思うはず。

 The dinnerのMAGICが大好きで何回も見た。高速バスの中で見て泣いたりもした。そんな大好きなMAGICが、なんと、聴けた。
 ラストのサビの深瀬くんの、吠えるような叫ぶような、感情の爆発した歌い方、呆気に取られる他なかった。すごかった。
 The dinnerを見て、多分、どこか深瀬くんの感情の爆発と、それが溢れまくった歌声を期待してしまっている自分がいた。
 けれど、その期待とはいい意味で裏腹に、あれはまた別のMAGICだった。強くて、大きくて、激しくて、歌い終えた「僕」がこのまま全速力で走り出してしまいそうなMAGICだった。

 ライブの前、さおりちゃんの「ふたご」を読んだ。登場人物の月島をどうしても深瀬くんにまるごと投影してしまった私は、深瀬くんが「生まれてきて良かったと 僕は本当に そう思うんだよ」と声を枯らしながら訴えているのに、いつもより胸打たれた。
 頑張ったね。みんなに出会えてよかった。深瀬くん、本当に素敵です。生きててくれてありがとう。
 深瀬くんを支えたさおりちゃん、なかじん、ラブさんは本当に素敵で最高な友達なんだね。
 私が言葉にするとどうしてもチープになるから上手く言えないけど、とにかくいろんな気持ちでいっぱいになった。

 「ふたご」を読んで、陽炎はさおりちゃんと深瀬くんの曲なんじゃないかと思った。
 だからこそ、はじめて生で聞く2人の陽炎には、重みと奇跡を感じた。きっと、決して、穏やかでも円満でも簡単でもなかった2人の関係。
 あなたが放った惹き込まれて離さない言葉、夏休みのキラキラした思い出、貴方との予定がいつでもいちばんなくらい「好き」だった記憶、そんな美しいと思える時間だけでは到底語れない2人の過去。
 あんなに壮絶で、過激で、切なくて、読んでいるだけでも胸が張り裂けてしまいそうなくらい苦しい過去だった。
 そう思うと、この2人が今も関わりを持っていて、一緒に過ごしていて、一緒に仕事をしていて、一緒にステージに立っていて、一緒に歌っているという事実を目の当たりにして、私は今奇跡を見ているんだと思った。
 さおりちゃんと深瀬くん、2人ともそれぞれに想像もできないほど深く途方もない苦しみがあったと思う。それでも2人が今も生きていて、繋がっていて、ピアノを弾いていて、歌を歌っている。2人とも、本当になんとか生きて、ものすごく頑張ったのだろうと思った。
 そして、お互いがお互いの頑張る理由や支えになっていたのだろうと思った。もう言葉では言い表せない。セカオワは、声や音やエンターテイメントだけじゃない。奇跡も見せてくれるんだと思った。

 なんて素敵なストーリーって感動してたerrorも。振り付けまでしたyumeも。中3のとき絵に描いたアースチャイルドも。
 知らない2000人のみんなとの


 メモはここまでで途切れていた。
知らない2000人のファンの方達と何があって、何に感動して、何が言いたかったんだよ!気になる。

 でも、こうして思い出や感動を言葉に残しておくのって大切だなと、一年半前の自分に思わされた今日だった。またセカオワに会いたいな。

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