大腸がんの話。モルヒネが使えれば。

手術が終わって最初に見たのは集中治療室の計器だったと思います。
「思います」と書いたのははっきりと意識が回復したのが通常の病室に戻ってストレッチャーからベッドに移される時点だったからです。

意識状態がまともになってから思い出したのは最初に目が覚めたときにやたら寒かった事と計器ランプらしき物がチラチラ光っていたという事でした。

病室で妻から聞いた話で既に予定の手術時間より長くかかったと聞いていましたが、回診に来た担当医から「腫瘍のサイズが大きすぎて通常の腹腔鏡手術よりもお腹を大きく切る必要があり結構大変だった」と言われ、それなら今は大して痛みはないものの、いずれ結構な痛みに襲われるのかな?と少々不安覚える事に。そんな気分に追い討ちをかけるように担当医から思いがけないお言葉が。

「血圧が低くて強い痛み止めが使えないから今夜はちょっと辛いかも」

以前書いた自分の持病WPW症候群はストレスや自律神経のバランスの崩れで動悸が激しくなるのですが、鼓動が激しくなるというイメージとは逆に心臓が空回りになることから血圧自体は下がるのだそうです。

当然術中術後は高ストレス状態にありますから発作が度々やってきます。
実際手術中も急に血圧が下がってスタッフ大慌てな事もあったそうです。

担当医(ちなみに若くて美人でとっても知的な女医さんです)曰く
「ブスコバンよりちょっぴり強い程度」な痛み止めでは手術直後の痛みはそれなりにしか鎮痛できません。

手術後最初の夜ですから立ち上がる事はもちろん満足に寝返りも打てない中訪れた痛みに一晩中苦しむ事になりました。

打ち寄せる波のごとく繰り返される痛みに軽く意識が遠くなり
「ああ。これでついでに眠れるかな?」と思った次の瞬間痛みで意識が戻るという苦行を一晩続けることに。

やがて夜明けを感じる頃にようやく痛みが治まってきましたが、朝の検査を経ての回診時に再び思いがけない知らせを受けて脱力する事になります。


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