難波俊充@WiL

VC|投資先はToreta, SmartHR, Caster, Every, Zenk…

難波俊充@WiL

VC|投資先はToreta, SmartHR, Caster, Every, Zenkigen, BizteX, Enageed, すむたす, LegalOn, TrackRecords, Mento, Typica, Payme, Knowledge Work。

最近の記事

起業家の最大の敵とは

起業家の最大の敵はなんと言っても自分であり、自分のバイアスではないだろうか。 起業家は不確実性に挑むが故に、常に高いプレッシャーに晒される。その中で折れずに行動するには強い信念が必要で、それがあるから応援と尊敬を集める事ができる。ただし「信念」と「思い込み」は紙一重。過度なプレッシャーにある時にバイアスが強化されて思い込みに偏りやすくなる事を理解し、自分の中に思い込みが忍び込んでいないか注意深くみる必要がる。 バイアス(バイアスにも種類があるが、ここでは認識の歪みというざ

    • 予算を追わないでください

      シリーズA出資後の起業家に「予算を追わないでいいですよ」と伝えることがある。資金調達を完了しこれからと意気込む起業家からすると、予算をコミットした投資家からこんなこと言われるのは肩透かなのか「投資家がそんな事を言ってくれるんですか?」と驚かれる事もある。これをお伝えしている理由は、責任感によりトップラインにばかり意識が向いて、プロダクトマーケットフィット(PMF)が遠のくリスクを軽減したいためだ。 初めて買った原付のアクセルを思い切り吹かして転倒、こんな若い頃のほろ苦い思い

      • 「攻めているつもり」が衰退のはじまり

        攻めに攻め続けて、組織は防戦一方というのはスタートアップの日常風景。それに対して、安定感のある小規模チームで収益モデルを確立してから、スケールに向けて組織の再現性を高めていくのが定石と言われているが、成長を遂げているスタートアップでも多くの場合は組織を宥め透かしながら、なんとか乗り越えているのが実情だろう。 そうした苦労の末、事業と組織の成長基盤が整ったと感じた瞬間の起業家の顔は、これからの事業と組織の更なる成長に強い手応えを感じ、自信に溢れ発言一つ一つにも重みが増してくる

        • 若手起業家に投資しますか?

          起業のベテラン化が進んでいる。シリコンバレースタートアップの成長率上位1%の創業者の平均年齢は45歳(出所)。40代、50代の世代グループの成功確率が他世代と比べて高いという統計がある。ベテランらしく経験のある事業領域で強いチームを集め、人脈を駆使して資金調達をなんなく行う姿がある。 変革は「よそもの、ばかもの、わかもの」に任せよ、という古くからの言葉がある。既成概念や古い成功体験に凝り固まっていない柔軟な発想がブレイクスルーを生み出すということだが、起業のベテラン化はイン

        起業家の最大の敵とは

          連続起業家の見切り力

          新しい事業を複数回立ち上げる起業家「シリアルアントレプレナー(連続起業家)」の資金調達が活況だ。今週発表のあったKnowledge Workはじめ、ジョーシス、LayerXなどが今年大きな資金調達を実施している。 連続起業家のスタートアップには多額の資金が集まり、メディアも華々しく取り上げる。通常の起業家は資金調達で四苦八苦する事も多いので、そうした起業家からすると別世界と感じるに違いない。また、投資家としても、投資検討したが時価総額が高いと見送った時に後ろ髪を引かれる思い

          連続起業家の見切り力

          新規事業開発で、金脈がないところを掘り下げてしまう3つの罠

          新規事業についてアイデア段階(企画のみ, POCでプロダクトマーケットフィットまで行っていない)で、大企業のご担当者を中心にメンタリングする機会を多くいただきます。 優秀な方々にも関わらず(というより、大企業で優秀だからこそ)、構造的、知識的、心理的な罠にはまり易く、機会損失が発生していることがあります。 新規事業というと、挑戦的でポジティブなことを書きたくなりますが、実態としては撤退が8割の世界。早めに軌道修正をして新しい挑戦をすることも、生産性アップに重要と感じるので

          新規事業開発で、金脈がないところを掘り下げてしまう3つの罠

          MustからWishへ

          その社長は非常にビジョナリーな経営者だが、 この1年ほどは組織課題で悩んでいた。組織課題と真っ直ぐ向き合うために、全員と個人面談をやったりもしたらしいが、それは結果的に個々の要求や要望を社長が聞くも、全てを叶えられるわけもなく自分にっても部下にとっても消化不良に終わったとのこと。 組織戦略や施策について語り合っていた時の社長の一言が真理だと思った。 「創業の頃はWishしかなかったから、それを求心力に人が集まり会社が成長してきたんだけど、数年経ってそのWishが具現化もし

          MustからWishへ

          共同創業者や幹部採用の仕方

          Uber等のエンジェル投資家で自身もいくつかの事業を手がけるJason Calacanisのブログに、How to find a co-founder for your startupという記事がアップされていました。 本記事はその意訳と共に、私の考えをいくつか追加したものです。 資金調達の相談と同時に、共同創業者(例えばCTO)を紹介してもらえないかという相談があるが、そもそも共同創業者を一人も説得できないような人間に投資家として投資をするわけがない。 という下りは笑

          共同創業者や幹部採用の仕方

          事業特性と組織能力を考える

          資金調達完了後の事業の進め方資金調達が完了すると、晴れて事業に集中し、計画の実行に向き合うこととなります。その中で、マーケティングと合わせて、思い切りアクセルを踏みやすいのが「人材採用」です。 一方で、人材採用を急ぐあまりにビジョンやミッションで共感できていない人材を採用した場合に、①30人・100人の壁が当たり前にやってくる。加えて②共感できてないメンバーを中心に離職や反発分子になる。組織の成長痛が二重で発生する危険が伴います。 事業・組織の成長をセットで考えるこうした

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          バリュー策定と運営はセットで

          文化形成について、どこから手をつけたらいいのか迷っているという、シリーズA前後の経営者向けのノートです。複数の人事ご経験者のお話しを聞いてポイントをまとめました。 ミッションやバリューが浸透しない強い文化を持った会社を作るべくミッション・バリューを策定してみたけど風化してしまったり、なかなか浸透しないので、結局は社長が自分の思いで組織を引っ張るしかない。自分自身でそうした悩みを持ったこともありますし、そのような悩みを持っている方は結構いるのではないでしょうか。そこで今回は、

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          ストックオプション(SO)設計のエッセンス

          AZXさん主催のストックオプションセミナーにおいて、メルカリ小泉さん、ラクスル永見さん、SmartHR宮田さんのお話しを聞いて、SO設計の思想に関するエッセンスをまとめてみました。 これからSO設計をする経営者向けのノートです。 ※特段の記載がない限りSO:税制適格ストックオプションを指します。 ※法務・税務は専門の方への相談や確認をお願いします。 SO付与の対象とその目的を定める 給与、賞与もある中で、それぞれの役割をどのように考えるか次第でSOの位置づけが変わって

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