【インタビュー】デザイン思考ってなに?その先には、明るい未来。
言葉のプロデューサーなまず美紀(みきてぃ)です。
先日、初対面のある男性と「お仕事は?」という話になりました。
どうやら、「デザインの会社を経営していて、日本および世界で、多岐にわたるプロジェクトを創り出している」らしいこと。
もちろん、細かいことはわかりません。ただ、その”創り出す能力”は、「デザイン思考」がカギではないかと感じたのです。
で、「デザイン思考について聞きたい」とインタビューを依頼。快諾していただきました。
(お仕事記事ではなく、プライベート記事です)
カフェにて、改めて自己紹介。
「僕、メディア出演はあまり好きじゃなくて、NHKとかも断っていて」と言われて、驚く。思った以上にすごい人かもしれない。
その男性は、橋本康正(Yasu)さん。
こちら↓は、私が「ところでYasuさん、何者ですか?」と聴いた範囲の情報を、まとめたもの。
というわけで、プライベート・インタビューの内容をレポートします。
デザインとは、ゴールから逆算して、組み立てていくこと
M(みきてぃ):最近「デザイン思考」という言葉をよく聞きます。本屋のビジネス書のコーナーでも、「デザイン思考」系の本が、ズラッと。
Y(Yasuさん):デザイン思考の本が売れているのは知ってますが、僕は、読んだことはないんですよね。笑
M:私もネットで調べたりはしますが、ボンヤリしていて。なので、今日は「サルでもわかる」ならぬ、「みきてぃでもわかる」レベルで、初級者向けにご説明いただけると嬉しいです!
Y:わかりました。僕があらゆるモノやコトを生み出してきた根底には、デザイン思考があると思っているので、何かお話しできると思います。
M:そうそう、一応、私の理解レベルをお伝えしておきますね。
私にとって、なぜ「デザイン思考」という言葉が、ボンヤリするのか考えてみたんです。で、わかったことは、「デザイン」と聞いたときに、まずは、紙やモノを視覚的に美しく整えることがデザインだと思いがちなんですよね。だからかなと。
でも、「デザイン」を、「設計」「建築」「都市計画のデザイン」寄りに解釈すると、なんとなく答えに近づけた感覚になるのですが。
M:そうですね。ゴールを設定して、そのゴールから逆算して、骨組みを作っていくのがデザインですね。
ビジネスにおけるデザインは、クライアントありき
Y:デザイン思考のスタートは、クライアントへの徹底的なヒアリングです。これは、ゴールを設定するためです。
クライアント自身も、自分のゴールをわかっていないことが多いのです。何を目指し、何が課題なのか。それをお互いに理解して、着地点=ゴールをさぐって、そこに対して建設的にアプローチしていきます。
M:これも、家のデザインだと考えると、わかりやすいですね。家を設計するときに、どんな家にしたいのかが、ゴールですよね。
家族ごとに、「足が悪い人がいる」「子供がいる」といった課題があって、それを解決するために、どういう動線の部屋にするか、どういう素材を使うかを決めて、作っていく、そういうことですよね。そういうプロセスが、どんなビジネスにも必要ということですね。
Y:そうですね。ビジネスにおけるデザインは、クライアントさんありきなのです。
ちなみに、僕の会社の社名『アンダースクラッチ』は、クライアントさんとの出会いがスタートであり、0ポイント=スクラッチ。クライアントさんと出会う前の僕たちは、ゼロよりマイナス、つまりアンダーの状態にあるという意味なのです。
M:クライアントさんなしには、クリエイトが始まらないということですね。
Y:出会いがスタートライン。そこから、問題定義をして、解決のゴールに向けて、何かをクリエイトしていく。そのプロセスを考えるのが、デザイン思考です。
自分の商品を理解・言語化できるかどうか
M:えっと。でも、それを聞いていて、「ビジネスで何かを作るときに、お客さんのニーズに応えていくって、当たり前じゃない?」「今までも、ビジネスはそうやって成り立っていたのではないの?」と思ってしまったのですが。
Y:なるほど。実は、そんなことはないんですよ。たとえば、先に商品を作ってから、「誰が買ってくれるだろう?」「この商品の売りは何だろう?」みたいなのは、デザイン思考ではないですよね。でも、意外かもしれませんが、こういうビジネスは意外に多いです。
M:そっか。とりあえず技術があるから作って、後からマーケットを考えるパターン。そういうこともあるでしょうし、これは、確かにデザイン思考ではないですね。
Y:特に大企業は部署ごとに分離していて、エンジニアが、どのマーケットにニーズがある商品なのか理解しないまま、商品を造っていたり、営業担当者も、自社の商品の特性をわかっていないことがあリます。
自社のことでも、他人任せで、川上から川下まで理解して、聞かれたことに何でも答えられる、という人は少ないですね。僕からすると、自分達が理解できないものを、どうやって世に広めることができるのか、疑問ではありますが。
M:自分の商品の理解と言語化ができていない、ということですね。
確かに。私はライターとして、個人事業主のサイトのお手伝いもしているのですが、「自分のサービスや商品を、うまく説明できない。だから営業もできていない」という方は珍しくないですね。
でも、言語化できていないだけで、丁寧にヒアリングしていけば、必ず答えはあるんですよね。
Y:ありますね。モノゴトが、客観的、俯瞰的に見えているかどうかがポイントですね。
日本人は、自己PRが苦手
Y:自分自身についても、いかに客観視できるか、自己PR文が書けるかどうか。日本人は、恥ずかしさもあると思うのですが、言語で自己アピールすることが苦手な人は多いですね。
M:ホントそう思います。自分の強みに気づかず、「大したことない」と謙遜してしまったり。
これは、日本文化にも通じますよね。日本人は、その特異性や強みに気づいていない。日本人が当たり前だと思っていないことが、海外から見ると、すごい強みなんだよということ。Yasuさんはそれを見つけて、「海外に出ようよ」と日本人を説得して、プロデュースしているということですよね。
Y:全体的に日本の教育では、自分のことを語るとか、そういうことが足りていないんですよね。
アメリカなんかでは、小さい頃から、自分と対立軸にいる人の立場に立って、議論を交わすことを訓練されています。相手を理解することは、自分を理解することですから。オーディエンスの反応を見ながら、「ここに興味を持たれるのか」と気づいたり。
M:自分が何を言いたいかより、相手が何を聞きたいか、そういうことも大事ですもんね。そこを外すと、独りよがりになって、デザイン思考とはかけ離れてしまうということですね。
デザイン思考には、すべてに意味と言語がある
M:僕が考えるデザイン思考には、すべてに意味があリます。
どんなアプローチから聞かれても、一つとして「わかりません」ということはないんです。ゴールだけではなく、プロセスを説明できるか。そのストーリーを語れるか。
すべてにおいて「これは、こうなんだよ」と伝えることができて、誰をも納得させることができるほど、突き詰められた考えを、デザイン思考と言うのではないかと、僕は思っています。
M:どうして自分がこれを作るのか、なぜこの素材を選んだのかとか、そういうことも含めて、言語化できる必要があるのですね。
Y:「なんとなく、これを選んだんです」というのは直感力だったり、アートの世界だと思っていて。言語化できるのが、デザイン力かなと。
M:「理由づけの言語化」と「伝える力」ということですね。
ちょっと、私的には嬉しいです。デザイン思考って、私とはあまり関係ない世界だと思っていましたが、私もインタビューで話を聞いたり、文章を書く人間として、デザイン思考の端っこに関われそうな気がして。
Y:いや、ムチャクチャ関係ありますよ。デザイン思考には、それこそが大事なんです。モノを見て「なんか、いいね」というときは、十人十色で捉え方が違うのですが、「なんか」が言語化されることによって、共感が得られるのです。
なぜ、この色なのか、なぜ、この形なのか。依頼者の思いとか、クリエーションする側(作り手)の思いとか。それらがすべて含まれた上で、言語化されたものがデザインなんですよ。それが共感を得ることによって、ファンができます。
M:やはり、最初に私が触れた「視覚的に整ったものがデザインされたもの」という誤解は、デザイン思考の理解を邪魔をしますね。
デザイン思考の先にあるものは、「なんとなく、きれい」のレベルにはないということですもんね。
アートとデザインの違いについて
M : 先ほど、アートという単語も出ました。アートとデザインは部分的に重なるイメージもありますが、思考という意味では、アートは言葉がいらなくて、「感じて!」「いいでしょ?」で済むけれど、デザインは、それでは済まない。そこが違うということですね。
Y:横暴な言い方かもしれませんが、アートは作り手側の主観がメインで、客観性は抜けていると言われます。アートは自分ありき。でも、デザインは、受け手側に委ねてはいけなくて。。
M:共有するのですね。ビジネスは本当にそうですよね。相手に認めてもらわないと売れないので。
Y:そうです。そこが大きな違いですね。問題解決をする中で、デザインの語源を調べるとわかりやすいと思いますが、好き勝手やっていいわけではない。デザイン業界の人はご存知かと思いますが、そこを考えてデザインしていかないと「自己満でやっているデザインだよね」と言われてしまう。
M:ビジネスの場では、共感されないものを皮肉的に「これはアートだよね」と言ったりしますよね。
Y:デザインには必ず依頼主がいます。伝えたい側の人がいて、初めてデザインになります。
アートで作ったものを、言葉で後付けはできるかもしれないけれど、デザインをつくる時は、必ず最初に伝えたいことがあるべきです。
M:私は今日、デザイン思考を、ビジネスだけでなく、日常に取り入れるコツをYasuさんに聞けたらいいなと思っていたのですが。
「なんとなく人生うまくいかないな」というときは、独りよがりになっていないか、考えて行動を選べているか、言語化できているかなど、デザイン思考のエッセンスを見直すことで、ヒントが見つかりそうですね。
そっか。それで今、デザイン思考が言われているってこと?こういう時代にこそ、頭を使い、心を使えということですね。
Y:そうですね。何かを創り出すときは、色んな人の意見を聞くことが大事だし、そこにメッセージが込められていると、「いいよね」と共感してもらいやすくなる。そこを常日頃、日常の中でも意識してもらえるといいかなと思います。
僕らも、何かを生み出す前は、ムチャクチャ考えますもん。デッサンしながら、ブレインストーミングで思考を張り巡らせ、アイデアを積み上げていって。コンセプトやゴールが決まるまで、かなり時間をかけます。
ただ、「こうやる」と決まってからは、ブアーっとアプトプットしていけるので速いですけどね。
M:そうやって、多くのプロジェクトを創り出していらっしゃるのですね。今日は、そんなお忙しい中、ありがとうございました。
*GROUND STARの「ものづくり」についてのメディア掲載記事はこちら
アフタートーク
Y:今回、みきてぃさんの動画撮影とインタビューを受けたのには、理由があるのですよ。
僕の行動は、「次世代のために、未来に何を紡いでいくべきか」ということが軸になっています。「明るい未来のために、自分達は何をしないといけないか」とか。
デザイン思考も、何か一つの完成されたものを創り出して終わりではなく、紡いでいくが大事だなと。
デザイン思考の先にある、より良い未来。それを、みんなでクリエーションしていきたいと思っているのです。そのために、伝えることも大切だな、と。
M:さすが!私なんて、楽しそうというだけで、「やりましょ」と誘って。Yasuさんは、ちゃんと考えて、意味づけをしてから受けるという、この格差!笑
Y:いやいや。パッションを大事にされているということですよね。僕もパッションは大事にしていますし。
M:飛びつくとうまくいくんですけれど、考えるとうまくいかないことがあって。これは脳みそが悪いのでしょうか。
Y:いえいえ。僕は、パッションに対するブレーキは必要ないと思っていて。ただ、感じるままに生きる必要はあると思うのですが、そこに対してロジカルなものがついてくると、なお良いかなと。
M:後付けはできるんですよ。「Yasuさんが魅力的だからお話を聞いてみたい」とか、「デザイン思考がよくわからない人に、何か伝えられるかもしれない」とか、「日本文化の魅力を再確認してもらえるかも」とか。
Y:言語化は後付けになることも多いですしね。
実際、僕も、聞いてくださるから話せた。聞く力が、発信力にもなるので、みきてぃさんも、何か伝えたいメッセージがあるからこそのインタビューですよね。
M:それにしても、先ほどおっしゃった「デザイン思考が、より良い未来につながる」というフレーズはいいですね。デザイン思考が、より輝いてきました。ありがとうございました。
おわり
この記事の元になったインタビューはこちら(ノーカット)
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マイナビウーマンにて取材記事を書きました。
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