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1兆円企業への道。決算から読み解く「パーソルHD」の戦略。HRのIR

元リクのなまリクです。主にHR領域や組織マネジメントについて書いています。今回はパーソル社のIR分析です。

※この回は「パーソルHD社 2022年1月期 第1四半期 決算(2021年4月〜6月)」を起点に解説しています。

1兆円企業への道。

パーソルHD社。派遣領域のテンプスタッフ、人材紹介のdodaを中心に、多数の事業を展開しているパーソルグループ。なまリクの本記事では主にdoda・dodaキャンパス・iXなどの人材紹介(中途採用、新卒採用)、転職メディア、ダイレクトソーシング領域を担当している「Career SBU」を中心にお伝えします。

とはいえ、まずはパーソルグループ全体の数字のおさらいです。昨期2021年3月期通期決算は減収減益(下図)。主力のStaffing SBU(派遣領域)は増収増益となったものの、新型コロナウィルスの影響等によりCareer SBU(国内人材紹介・メディア領域)を 中心に減収減益。Career SBUは収益性が高いため、トータルで売上△2.0%、営業利益△32.4%で着地しています。この規模で利益の1/3(額にして120億強)飛んでいます...。

2022年3月期通期予想はついに売上1兆円!見通しとのこと。いつの間にかパーソル兆円規模ですね!一方で、時価総額はおよそ6,045億。PSR(株価売上高倍率)は1を切ります。

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パーソルHD社2022年3月期第1四半期決算より。
2022年3月期は予測なまリク作成

さてここからは「Career SBU」。セグメント変更があった2019年からの数字ですが、昨期2021年3月期通期決算は売上△28.6% 利益△97.5%と赤字寸前まで大きく落としています(下図)。ただしこれは 新型コロナウィルスの影響だけでなく、2019年の「an」事業撤退の影響もあるということです。

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パーソルHD社2022年3月期第1四半期決算より。
2022年3月期は予測なまリク作成

気になる1QのUpdateは?

今回は1Q決算(2021年4月〜6月)。まずはパーソルグループ全体ですが、QonQでは前年比売上およそ+5%、営業利益およそ+45 %と堅調な推移です。今回全てのSBUにおいて計画を上回ったことから上期業績予想を上方修正、通期修正は2Qにてアップデートを予告しています。

そして気になる「Career SBU」ですが、QonQでは前年比売上およそ+5%、営業利益およそ+35%とSBU単体でも堅調な推移です(下図)。内訳を見ると、人材紹介事業は回復基調にあるもののコロナ影響本格化前との比較になるため前年比△10%減収。一方で、牽引したのは需要の回復を受けた求人広告事業(+40%)ということです。

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パーソルHD社2022年3月期第1四半期決算より

新経営体制と中期経営計画

今回の1Q決算では特にUpdateがありませんでしたが、おさらいしておきましょう。まずは、2021年4月1日 よりStaffing SBU長の和田さんが繰り上がる形でCEOが交代しました。水田さんは会長に留まります。和田さんはCEOとして「中期経営計画2023」を引き継いでいます。

パーソルの中計は抽象テーマも多い印象ですが、注目は「成長領域の特定 」としての「Professional Outsourcing SBU」の成長。利益率が課題でしたが、すでに新型コロナウィルスの影響を受けた「Career SBU」に迫る勢いで、製造業の開発等の需要が回復したことにより増収増益 。進捗は良さそうです。

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パーソルHD社2022年3月期第1四半期決算より


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