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お願い、私を見て 2

お願いします。あなたの3分を私にください。
昨日の「お願い、私を見て」と合わせて読んでもらいたいのです。たったの3分です。
あなたに私を知ってほしい。何処の馬の骨だとお思いでしょうが、どうか。
お願い、私を見て」をお先に、読んでください。

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ない。ない。ない。ない。ない・・・

何度掲示板を見直しても、彼女の数字が見つかりません。外の音が、聞こえなくなりました。
手を取り合って喜ぶ人々の中で、自分の鼓動だけを感じます。

受け止められませんでした。中学校でゴミのように避けられても、部活でわざとボールをぶつけられても、嫌な係を押し付けられても、担任の先生に理不尽に成績を減点されても、全部全部耐えてきました。

「これを乗り越えれば、彼女との最高に幸せな日々が始まる」
そう心から信じていたからです。

絶望を胸に、私はその高校に入学しました。始まったばかりの高校生活、クラスメイトは色めきだっています。それもそのはず、この学校は地元民なら誰もが憧れる名門校。ここに合格するというのは、本当に名誉なことなのです。

しかし、私には心底どうでもいいことでした。彼女のいないこの学校に、何の魅力も感じられなかったのです。

彼女のいない虚しさを感じつつも、高校生活をなんとか楽しもうと、私は頑張りました。
部活も、塾も、学校も、全て全力で挑みました。毎日3時間ほどしか眠りませんでした。

『高校では生まれ変わろう』

たとえ彼女がいなくても、私は幸せになれると証明したかったのです。

お風呂もまともに入れないくらい、毎日疲労困ぱい。これだけ頑張ればうまくいく、はずでした。

『勉強も部活も、1番になれない。』

これ以上ないくらい頑張って、中の上。

『私が優秀だから、嫉妬して意地悪するんだ』

ちがう、私は優秀じゃなかった。
じゃあ、今まで私を嫌った人たちは…?

私自身が嫌われていたんだ、気持ち悪がられていたんだ。そう自覚し、足元が崩れそうになる…

それでも何とか、高校生活を続けようとしました。親友の彼女のとなりにふさわしい私でいたかったから。

早朝5時、目覚まし時計を止め、ふらふらの体でリビングに行きました。何とか身支度を済ませ、カバンを手にした時、隣の和室から寝ぼけたような声をかけられます。

「ちこくぅするなよぉぉ」

休職していた父でした。薬の副作用で、あくびをするような、まだ夢を見ているような腑抜けたその声に、憎悪を覚えました。

毎日3時間睡眠で必死に学校に部活に塾にしがみついて頑張っている、自分がバカみたい。

「お父さんは勉強が得意だったんだぞ」
そう誇らしげに言っていた父を、思い出しました。

『勉強を頑張ったって、仕事を頑張ったって、
どうせ行き着く先はこの廃人なんだ。』

首の皮一枚で繋がっていた私の心は、虚ろな目で布団にくるまる父の姿で砕けます。

私は、高校に行かなくなりました。

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お願い、私を見て 3完結」に続きます。

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