私と選挙

池上彰さんの「14歳からの政治入門」を読んだ。
特にここ最近はニュース自体を見るのが辛く、色々なことから目をそらしてきたけれど、何というか、ちょっと初心に戻れた気がした。

選挙について忘れられない授業の思い出を記そうと思う。

10年以上前になるだろうか、当時のテレビは、どこも某政党というか某政治家をアゲまくっている時期だった。(検索避けのため具体的なワードは避ける)(当時中学生だった私には表面的な部分しか見えておらず、本質はもっと違ったのかもしれなかったのけれど。)
大きい選挙目前の時期で、テレビや世論の盛り上がり方を見ると、これは某政党が一人勝ちだろうな、という雰囲気だった。

そんな中、通っていた中学校で、「実際に選挙を体験してみよう」という授業があった。先生が考えてきた複数の架空の政党(たしか5個くらい)のマニフェストを読んで、6人グループでディスカッションし、グループごとに投票先を決める、という、よくありそうな内容だ。政党名も、当時流行っていたお笑い芸人の名前をもじったようなものだったと思う。

ディスカッションが終わり、グループごとの代表者が、投票先の政党と、そこを選んだ理由を発表した。中学生ながら、「公共施設をたくさん作るって言ってるけど、うちの町は貧しいので、予算的に現実的ではないのでこの政党には投票しない」「この町では子供が減ってきているから、少子化対策をしてくれそうな人に投票したい」など、結構大人っぽいというか、いい感じの意見が出てたような覚えがある。

黒板に取りまとめられた政党名と投票数は、結構バラけていた。

講評の時間、先生は黒板に書かれた架空の政党名をザクザクと消すと、その上に、実在する政党名を書き連ね始めた。そう、この授業のために準備されたのは、「現実の政党を架空の名前に置き換えたもの」と「中学生にもわかるように噛み砕かれたマニフェスト」だった。
(大人になった今なら予測できるオチなのだが、中学生当時は本気でびっくりした、そのくらい真剣にみんな議論していた)

そして、当時テレビで持ち上げられていた政党に投票したグループは、0とか1とか、そんな数字だった。

授業の取りまとめの言葉はこんな感じだった。

「テレビやマスメディアは、どうしても意見が偏ることがある。でも君たちが自分で考え、議論した結果が、テレビ番組で見るものと異なるということが、この投票結果からよく分かったと思う。実際に選挙に行けるのはまだまだ先になるが、自分でよく考えること・目に見える情報だけに囚われないことを忘れないで欲しい。」

私がこの授業の思い出を何度も反芻し、またことあるごとに色んな人に話すので、上記の先生の言葉は多分めっちゃ美化されている。笑
けど、内容というじゃ本質は、多分感じであっていると思う。

ニュースや報道番組、そして何かとすぐ盛り上がるSNSを見るたびに、
わたしはこの授業のことを思い出す。


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