日本では英語を教えてないの?

 頼まれてヒンディの歌詞を日本語に表記し直しているとき、英字に直してあるのをそのまま使えばいいじゃないと言われたので、アルファベットではすらすら読めない人たちがいるんだ、と返した。

「日本では英語を教えてないの?」 その人は率直に聞いた。普段から日本人は英語を話さないことを知っているので、前から気になっていたかもしれない。
――教えてるよ。毎日のようにクラスはあったよ。でも……何で使えないんだろう、英語を? 少し考えた。「英語ができなくてもやっていけるから、本気でマスターしようとしないし、学校側もそれでいいと思っている」 そうだ、英語ができなくたって国内にいればなんともなく、日本語一本で事足りるのだ。ある意味、とても恵まれていると言える。

 経済のグローバル化があるでしょう。シンガポールから来て、インドの学校で英語の本の読み聞かせプログラムを進めようとしている友人がいる。インドの学校では英語がまだまだ、と言うので、あちゃー、日本はそれよりはるかにまだまだ、日本語でやっていけることもあり、英語でコミュニケートすることへの障壁が高いのだと言うと、グローバリゼーションにはどうするの、と不思議そうにしていた。その障壁があるから我が身に迫らないだろうし、とりあえずは大丈夫なのか?

 日本語の本、和訳された情報がそろっていて、自己完結でき、外国語に頼らなくたっていいのはよいことでもある。日本にいるなら、問題はあまりないのかも。(今まではね。)  ただこれからはどうでしょうというのと、どうせ学校で授業をするんなら、より実質的な、骨太の内容にしてほしい、というのはある。英語だけではなく、何についてもだけど。

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