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『ぐっちーさんが遺した日本経済への最終提言177』を読んで

①著者の山口氏はまちづくりと経済の専門家

公民連携の優良ケースとして知られる、岩手県紫波のオガールのファイナンスを主導したのが、ぐっちーさんこと山口正洋さん。オガールでは、エージェント型PPP会社による計画・開発・運営がされており、地元金融機関や政府系機関による出資・融資を活用した公民連携が実現している。

工学部出身の僕はもともと経済の話はからきし弱いのだけれど、経済は生活とは切り離せないので、できれば経済のことがもう少しわかるようになって、時事ニュースの解釈も自分なりにできればよいなあと思っている。そんななか、まちづくりとの接点がある経済人が書かれた著書ということで手に取った。

②日本経済と地域経済再生で大切なこと

AERAへの連載がもとになっているため、多くのトピックについて論じられているが、なるほどと思った点をいくつか挙げる。

「アベノミクスについて、日本経済は個人消費が6割を占め、輸出は15%に過ぎないなか、低金利策を講じても供給サイドにしか効かない。個人も低金利になったところで、将来不安のために貯蓄を増やすだけで、消費に回らない。このため、低金利策よりも、消費税の引き下げにより個人消費を拡大、刺激すべきである。」

「広島カープの本拠地であるスタジアムは、野球専用で観客からとても見やすい。もともと350億円かかる全天候型ドーム球場から、90億円のスタジアムに変更したもの。一方多目的の札幌ドームは観戦しにくく、臨場感に乏しい」

「働き方改革では、祝日はなくして自由に休暇設定できるような制度にすべき。大型連休でみんなが一斉に休むと、観光地に人が集中するなど、社会全体が疲弊する。プレミアムフライデーなども同じで、金曜午後に一斉に早く帰るなど愚策であり、子育てしながらの仕事、リモートワーク、フリーランスなど多様な働き方を前提にした取り組みとはいえない」

③消費税について

一番印象に残ったのは、消費税減税に関する主張。社会保障の充実のためには、消費増税も仕方ないのかな、くらいに思ったいたが、消費税が増税されてきたここ10年くらいで国家財政が改善したということもないし、社会保障の不安は消えない。業績を上げているのは輸出企業が中心。たしかにおかしいですよね。

年収600万円のサラリーマンの可処分所得が300万円だとすると、消費税に30万円もしはらっていることになる。これが税率が10%から5%になれば、15万円に減る。その分が消費に回れば、社会全体にもかなり経済効果が大きい。消費税の問題については、もう少し深堀して考えたくなりました。

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