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2031 ~ 営業未来予想図 ~

みなさん、こんにちは!
マツリカBizDev(事業戦略/開発)、セールスサイエンスラボCEO、ZENFORCE講師、法人営業デジタル化協会の中谷です。

「セールスというアートをサイエンスし、日本の営業をアップデートする」をモットーにしております。

私の自己紹介に関してはこちらをご覧ください。

さて、今回の記事では、答えのない「営業の10年後」を題材に私の見解を執筆させていただきました。

不確実な未来に対して見解を発信し、議論を重ねることが「日本の営業をアップデートする」ことにつながると考えた上で本記事を書かせていただいております。

尚、本記事は完全フィクションで、日本よりも7年以上進んでいるとも言われているアメリカなどのセールステックツールの動向を参考にしております。

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みなさん、10年後の営業職がどうなるか想像したことはありますか?

実際に10年後、更にテクノロジーが進化した営業の世界を覗いてみましょう。

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2031年の営業

2021年、新卒3年目で営業部のエースとなった営人(えいと)くん。
(※この営人くんが主人公です)

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ある日目を覚ましてベッドサイドの時計に目をやると、「2031年12月1日 7:00AM」と表示しています。2031年!なんと、10年間、時が進んでいるではありませんか!

営人くんは、どうせ時計が壊れてしまったのだろう、と思いながらいつも通り出社する準備をします。

会社に到着。
営人くんは早速今月のアポ獲得に着手しますが、びっくり。

営人くん「あれ?アポ獲得目標数値が、、ない!?」

スケジュールは既にアポで埋まっていました。
相談をしようと周りを見渡してよく見ると、営業部員の数が半減しています。

営人くん「田中先輩も、同期の山田くんも居ない…どこにいっちゃったの?(泣)」

【解説】そう、10年後、「テレアポ」という概念はありません。なぜなら、2021年には人的に行っていた電話でのアポ獲得は、2031年にはテクノロジーによって代替され、自動的に商談が埋まるからです。

営人くん「何このツール…新しいツールを入れたのかな、、?それにしても、お客さんが自分で必要な資料を選んで読み、自らアポを入れてくれるなんて、なんて便利になったんだ!」

と不思議に思いながらも、次はスケジュールに入っていたお客さんと初回商談を行います。

営人くん「まずは会社紹介とサービスの概要を説明させていただきます。」

お客さん「もう概要は資料で理解したのですが、我々には何が一番合っているのでしょうか?」

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【解説】そう、10年後、商談で「説明」は必要ありません。なぜなら、2021年には商談で毎回のように繰り返していた企業紹介・商品説明などの前提情報は、事前に次世代セールステックツールで(動画や資料で)共有され、情報インプットされた上でお客さんはアポに来ていただいているからです。そのため、お客さんの理解度も温度感も高い状態で商談がスタートします。

この初回商談で営人くんは、提案に向けた有意義なディスカッションができました。

営人くん「え、めっちゃ便利じゃん!お客さんの理解が早くて助かるなぁ。。毎回同じような説明を繰り返すのは時間の無駄だと思っていたんだよなぁ。説明コストも下がるし脈ナシな商談もしなくていい!Win-Winだ。」

初回商談が終わると、商談で使用した資料を次世代セールステックツールに格納し、ポイントをチャットで送ります。

営人くん「この次世代セールステックツール、オールインワンになっていて、営業活動が全てここで完結する!しかも売り手と買い手が対立関係にならずにコラボレーションできている感覚がある。なんて素敵なんだ…コミュニケーションも、資料共有も、タスクマネジメントも全てここでできる。」

仕事を終え、帰宅する営人くん。

営人くん「やっぱりおかしい、一晩でこんなに変わる訳が無い…もしかして本当に自分は10年後の未来に来てしまったのでは!?…だとしたらラッキー!営業の未来を見て吸収してやったぞ!」

すぐに2021年に帰れる前提で喜ぶ、楽観的な営人くんなのでした。

<<翌朝(12/2)>>

営人くん「まだ2031年!?いつ帰れるんだ!?」
不安になりつつも、今日も気合を入れて出社します。

早速パソコンを開くと、次世代セールステックツール内でお客さんから連絡が来ていました。

お客さん「3ページ目のAという機能に関する補足資料はありませんか?」

営人くん「あれ?A機能は理解いただけていたはずだけどな…」

そこで、ツール内を確認すると、意思決定者である取締役へ昨日の資料が共有されたログが見つかりました。
さらに、取締役はA機能を活用した企業の成功事例ページを読み込んでくれているというログも残っています。
そう、昨日商談でお話ししたお客さんは社内の意思決定者がA機能に興味を持っていたためさらに詳細資料を求められていたのでした。

営人くん「A機能の詳細資料があるのでフォルダに格納しておきますね。(取締役が気にされていると察したので)管理者視点での実際の操作感も、デモンストレーション動画を撮って格納したのでご確認ください。」

お客さん「有難う御座います!まさにこれを求めていました!」

営人くん「(この次世代セールステックツールがあればいつでもコミュニケーションを取れるし、お客さんの反応も手に取るようにわかるぞ、、!?)」

【解説】そう、10年後の世界では、営業にEメールを必要としません。全てのお客さんとのやりとりは次世代セールステックツール内のチャットと資料・動画の共有で完結します。

資料をお客さんにツール内で共有すると、お客さんの興味関心、躓いたポイント、意思決定、にまつわる情報が自動的に収集されます。

これにより、
・お客さんに何が伝わっている(いない)のか
・社内でどんな検討をしているのか

の一次情報が分かるので、営人くんとしてもサポートしやすく、お客さんもこれを使うことによって製品比較検討や上申などの購買活動がスムーズにいきます。

<<1週間後(12/9)>>

次世代セールステックツール内を確認すると、検討がスタックし社内上申が進んでいないことがわかりました。どうやら総務部の部長が金額に懸念を示しているようです。

事前にリスクを把握した営人くんは先回りして費用対効果の情報を窓口担当者に共有しました。

お客さん「いやー、ちょうど困っていたんですよ!本当に助かりました、ありがとうございます!」

【解説】そう、10年後、買い手社内の検討・推進状況を把握できるようになり、それにあった情報提供・購買サポートが可能になりました。このような技術の発達により音信不通になってしまったお客さんへの非生産的なアプローチは大幅に削減されるだけでなく、売り手と書い手の関係性をより「滑らかに」することができます。

<<1週間後(12/16)>>

ようやく顧客社内の関連部署との合意を得ることができました。これからはキーマンとなる取締役を巻き込んで案件を推進していかなければいけません。

実はこの規模・業態への提案経験がなかった営人くん、次世代セールステックツール内で社内No.1セールス営司(えいじ)リーダーの過去提案資料を覗いてみます。

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営人くん「うわぁ、宝箱やぁ!」

ここで使えそうな同業界の事例を数ページピックアップし、自分の資料に加えました。

【解説】そう、10年後、お客さんに提供した各営業パーソンの資料は自動的に社内で共有され、1ページ単位でピックアップすることができるのです。社内でこんな資料ありませんか?と声を掛ける必要もなければ社内チャットツールで同僚に協力を募る必要もありません。

<<1週間後(12/23:契約予定日の1週間前)>>

また通知が鳴りました。どうやらお客さんが上申資料を作成したようです。

事前に営人くんとお客さんが「これで行きましょう!」と話していたポイントでピックアップした資料で作成した上申資料が、購買プロジェクトのオーナーに承認されています。

過去の傾向から見ると、「このスライドが含まれる上申資料の受注率は93%」です。

営人くん「これなら問題なさそうだ。念のため、過去に同じスライドで失注したケースを見ておこう。」

いくつか注意点をお客さんにチャットして、他の営業案件の状況をチェック。

営人くん「おっと、B社の部長さんが自分たちの競合サービスとの比較ページを見ているぞ、、!?」

営人くんはこの日、3社と面談し、他にも商談中である10社の購買検討をツール内で支援しました。

【解説】そう、10年後、このようにして「営業の提案情報」と「買い手の購買情報」が一次情報として自動的に収集されるのです。そうすると、今まで営業が自己申告をしないとSFA(CRM)内に記録されなかった情報が入るようになり、より高度な営業と顧客管理が可能になります。

一次情報が自動的に集まるようになったため、売り手は買い手に対して嘘をつくことができず、受失注の理由・事例が買い手の誰にでも公開される時代になりました。

買い手はよりリアルな情報を手にすることができ、情報格差で売り手に惑わされることがなくなりました。

買い手のレベルアップにより売り手は「知識量やプレゼンのうまさ」ではなく、「付加価値のある提案」によって評価される時代になりました。

<<1週間後(12/30:契約予定日当日=年内最終営業日)>>

今日は年内最終日です。そして、年内最後のA社案件の契約予定日。
お客さんともこの最終日での契約に向けて1ヶ月頑張ってきました。

10:00AM、なんと続々と取締役達、経営メンバーが上申資料を閲覧しているログが積み上がっているじゃないですか。

営人くん「いよいよこの時が来たか…!やはり営司さんの資料が刺さっているようだ!」

1:00PM、ツールの通知が鳴りました。
契約書に社判がおされているではありませんか!

営人くん「やったぁ!!!!」

営司さんにお礼のメッセージを送ると、即レスが来ました。

営司さん「もちろん、2週間前に俺のスライドをピックアップしたのは知っていたよ。おめでとう!あれを使うとはお目が高いね。」

こうして年内最終日、受注してヒーローになった営人くん。

帰宅後、一人で気持ちよくお酒を飲んでいる最中、ふと考えます。

「もう未来に来て1ヶ月間か…もう2021年には戻れないのかなぁ。」

2021年に戻ることを半ば諦めかける営人くん。

「あぁ、こういうことなら、前からもっと未来を想定したスキルを磨いておけばよかった。2021年に戻れるのであれば、モゴモゴ…」と考えながらこの日は眠りにつきました。

<<翌朝>>

起きていつものように時計を確認すると、なんと、2021年12月1日になっているではありませんか!やっと2021年に戻れたのです。

営人くん「2021年に戻った!!!…いや、全て夢…?」

夢か現実か、知る人はいませんが、営人くんは本気で「10年後も活躍できるのか?」、そのためには何をするべきか?考えながら年の瀬を迎えるのでした。

ー 終 ー

まとめ

日本では高度経済成長以降GDP成長は減速し、今後20年で20%の営業パーソンが減少すると言われるほど労働人口が減少し、少子高齢化も加速しています。

営業の現状について、データを踏まえて先日公開したnoteがありますので、ぜひご興味があればご覧ください。
参考:【図解】Sales Enablementとはいったい何なのか - 日本の営業職を取り巻くマクロ環境

そんな中で営業生産性を上げるにはテクノロジーの進化による営業の在り方の変革が必須になります。

以下、2021年から2031年の10年間で、どういった変化が起こるのか、私なりに考えた内容のまとめです。

Before / After
・インサイドセールス職の増加、営業の分業化 
⇒ 営業職の統廃合と人員減少
・対面を前提とした過剰な営業人員配置
⇒ オンラインでより検討は進み、営業パーソンの役割は減り、専門職化/高給化
・買い手側の購買スキル不足
⇒ 購買プロセスの可視化による営業からのサポート
・インターネットが普及しても消えない情報格差
⇒ SEO対策されポジショントークにまみれたコンテンツの淘汰
・買い手側のネットリテラシー不足
⇒ 買い手が自ら学べるプラットフォームと導線整備
・不誠実な営業活動(騙そうとする/売り逃げする/嘘をつく営業)
⇒ 購買一次情報公開によるフェアな営業活動
・ポジショントークやサクラだらけの事例(参考にならない事例、公開されない失敗事例)
⇒ 事例プラットフォームの出現とサプライヤーの介在しない情報公開
・課題を自分たちで発見できない買い手
⇒ 事例の民主化による自己学習の促進
・説明するだけのロボット営業
⇒ 説明が自動化されることによる高付加価値営業へのシフト
・営業の性善説に基づき運用されないSFA(CRM)
⇒ 一次情報の自動収集/蓄積による情報の資産化

このように、今まで隠されていた情報は公開され、非効率だった業務はますます自動化されます。

そして、テクノロジーが発達するにつれ、本質的に顧客に付加価値を提供できる営業のみが生き残っていきます

(「君が気に入ったから」、「丁寧だったから」、「頑張ってくれたから」という受注理由はWeb上での購買にとって替わられ、そのような営業は評価されなくなるでしょう。既にその時点で厳しい業界いくつかあるかもしれません。)

顧客はサービスに対する情報をより持つことができるようになり、購買意欲も向上します。

営業パーソンは減り、営業の難易度は向上します。

このような未来に生き残り、輝き続けられる営業パーソンは果たしてどんな人なのでしょうか?

個人的にはより中立性と専門性を高次元に併せ持ったコンサルタント(※コンサルファーム系の方)のような営業パーソンが求められるようになっていくのではないかと思っています。あくまで私の一意見ではありますが、みなさまはどうお考えでしょうか?

もし中谷と営業の未来について語り合いたい方がいらっしゃいましたら、こちらからメッセージいただけますと幸いです。(LinkedInアカウント)

https://www.linkedin.com/in/masafumi-nakatani/


さいごに(営業の方へプレゼント)

※2023年5月追記
この記事の世界観を実現するため、構想から約2年掛けて、プロダクトを開発しました!

デジタルセールスルームという2023年現在、世界で最も注目を集めるセールステックの新領域の一つで、日本で初のプロダクトになります。

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以上となりますが、10年後の日本における営業の未来を想像してみました。

完全にこうなるとは言い切れませんが、

・このままだと自分は淘汰されてしまうのでは、、!?
・この能力を磨いておけば10年後も活躍し続けられそうだな…!
・自分だったらもっと違う未来を想像して、この能力を磨く!

といったように、ご自身のキャリアや事業の未来を再考するきっかけにしていただければ幸いです。

ぜひ、本noteへの”スキ”ボタンと、Twitterなどで感想をお聞かせください!^^


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