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そこの営業さん、ところであなたは何者なの?

<<8分で読める記事となっています。>>
HAPPY HOLIDAYS!

みなさんこんにちは!
㈱マツリカ執行役員/ Sales Science Lab, Inc. CEOの中谷です。

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アドベントカレンダーも遂に最終日となりました。
ジェイさんと企画を始めてかれこれ1ヶ月半。皆様、日本の営業のアップデートしたい想いを共有し、ボランティアで参加いただいておりますが、たくさんの反響を頂き非常に嬉しく思っております。
皆様、健康で素敵な新年を迎えられますよう、祈っております。
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■まえがき:つまらないWeb商談が増えた?

2020年。コロナ禍でWeb商談が増え、「つまらない商談が増えた」という声をよく聞きます。

商談が始まり急に商品の説明に入り、ロボットのように棒読みで何かを読みあげ、決まったタイミングで「質問ありますか?」とだけ聞かれる・・・。

名刺交換はしないし、出で立ちやオフィスの雰囲気を掴むどころか、カメラをOFFにされてしまったら表情さえも分からず、アイスブレイクは難しくなったと思います。商談が「つまらない」のは、お互いの人となりが分かりにくくなったためかもしれません。

正直、上記のような商談をされたらお客さんはほとんど話を聞いてくれていないでしょう。きっと画面を見て赤べこのように自動的にうなずいているだけで、別画面でネットサーフィングか別作業でもしているでしょう。

さらに、スクリプトのカンニング、移動時間削減による面談時間の詰め込み・・・効率化の結果、「あなたは誰で、何の価値があって、なぜあなたから買わなければいけないのか?」が全体的に伝わりにくくなっているのではないでしょうか。

コロナ禍、改めて私たちは「営業」として「人の介在する価値」を考えるタイミングにあると思います。これはそもそもなぜ営業という職種があるのかという話でもあり、営業アドベントの最終日はTipsだけの記事ではなく、コアなテーマとして扱いたかった私の想いがあります。

※参考:そもそもアイスブレイクはリアルな対面商談だったとしても、上手にできる人が多いわけではありません。(アイスブレイクについては、田中さんのこちらの記事がおすすめです。)

■結論:営業たるもの「何者か」を示そう。

インターネットが普及する以前は、いかに自分を売り込むか、知っていただくか、が重要だ!と言われていました。ニューノーマルと言われている今、営業にとって、その「自分を知ってもらう技術」は再度重要性を増していくように思います。温故知新ですね。

ちなみに、前提として相手が自分のことを理解して信頼をしていただける状態がゴールです。

なので、

・型化して自己紹介すればよい
・お客さんが求めているわけではないので自分のことを伝えなくていい
・自分を実力以上に見せようとする

というのは、本筋とズレています

さて、どうしたら「何者か」を示せるのか。「自分を知ってもらう技術」を私なりにブレイクダウンしてみたいと思います。

※今回のnoteでは「何者か」というワードの捉え方が誤解されやすいかもしれませんが決して「何者かになる」事が目的なのではなく、「何者かを示す」事が重要なのです。

「自分を知ってもらう技術」のレベル

営業パーソンが自分を知ってもらうためにできることは多種多様ですが、どこから始めればよいかわからない・・・!という方に向けて、レベル分けをしてみました。

Lv. 0:自分の情報を伝えない
Lv. 1:自己紹介パートを商談に組み込む(型化できる)
Lv. 2:アイスブレイクに盛り込む(顧客リサーチなど事前準備が必要)
Lv. 3:ディスカッションの中で巧妙に自分の情報を経験実績などを関連付けて組み込んで話す(経験とテクニック、即興性のアート領域)
~~~~~~~~~~~~~~~~~
※例外、Lv. X:自分で自分のことを開示せずとも、有名であったり超絶パフォーマンスやオーラであったり、直接お客さんが感じ取れてしまう(超一流)

この話、「こんなん、できてるわ」と思う方が相当多いと思いますが、、実際私がこの3ヶ月で他社から受けた10件の商談のうち、8名がLv. 0の商談ロボットと化しており、Lv. 1が1名、Lv. 2が1名でした・・・

尚、この記事を読んでいただいている方は法人営業の方が多いと思いますので法人営業についていうと、最初に行うべき自己紹介は

・経歴(会社や行ってきた業務経験ベース)
・実績(トラックレコードや事例ベース)
・信念

この3つの軸で語るのが最も効果的だと思っています。最初はお客さんに価値を感じていただける事柄 x 自分の事というのが良いです。(商談と関係ない話をして、「いや、早く製品紹介してよ」と思われないよう注意が必要です。)

Lv. 1~Lv. 3
まずはLv. 1を上手にできるようにするのであれば、法人営業においては自社紹介をドラマチックに語りつつ、そこに紐付けて自分がこの会社にいる理由や経験について付け足すくらいが良いかと思っています。

Lv. 2では、自分の経歴、実績、信念を軸として顧客情報を事前リサーチし、「共通点」を探りに行くことが最も効果が高いです。これをさりげなくアイスブレイクで使っていったりしながら距離を縮めます。(もちろんそのために膨大なインプットも必要。)

※参考:私の外資メーカー営業時代のインプット(プライベート版)↓

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ここまでやると気持ち悪いですが(笑)、だいたいの話題には対応できるようになります。

Lv. 3はアートの領域に入るので言語化がとても難しいですが、強いて言うならばヒアリングベースの下記スキルがうまく転用できる(近しいスキル)だと思っています。

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このように自然に相槌やサマライズ、深掘りをしながら自分の話を乗せていくとあら不思議、全く違和感なく自分の話を聞いていただけるので「実は御社と同業界の~、~な経験がありまして。。」といった具合に話を展開していき会話の中で自己開示ができてしまいます。この上3(相槌、サマライズ、深掘り)ステップがないと、「急に自分の話し始めた空気読めない営業」と思われてしまったりするでしょう。

例外、Lv. X
ちなみに、今回このnoteを執筆するにあたり、何名かのスーパーセールスに尋ねました。彼らは皆、「わざわざ自己紹介などはしない。ただ、圧倒的プレゼンのパフォーマンスで能力を示しています」といった内容の話をされていました。これは型化できませんね。(笑)

▼(補足)営業タイプ別による違い

前提、「何者か」を示すのが重要、という話にはいくつかの判断ポイントがあります。

① 個人営業 or 法人営業
② 商材の複雑性
③ 商材の単価
④ 自身の属性(勤務先や自身の知名度、役職、年齢等)

大きくはこの4つの変数でしょうか。

①もちろんケースバイケースの場合もありますが、傾向としてお話しすると、 個人営業は法人営業と比べ、個人の感情により購買の意思決定がなされるため、より人間的な部分(その人を好きになれるか、等)が重要です。ですから、保険営業の方は自身の自己紹介/鉄板のハートフルストーリーを用意していたりしますし、住宅営業の方は家族との仲睦まじいプライベートな写真を持ち歩いていたりしますね。

では、法人営業では「自分とは」を伝えなくて良いか?というとそうではないと思います。ビジネスメリットがより重要な判断軸になるので「自分という人間がどのようにお客さんにメリットを提供できるか」を示す必要があります。(それは必ずしも自己紹介という形とは限らないと思います。)
例えばコンサルティングファームでは経歴と過去支援実績のまとめた紹介シートを必ず作っていますし、IT企業のセールスでも導入、支援実績は非常に大きな効果を発揮します。

②③ 商材の複雑性も単価も低い場合には基本的に「何者か」は重要ではありません。ここは合理性の世界です。(意思決定難易度の低い商材では人の介在価値が減ります。)

一方、複雑性の高い商材ではノウハウや事例、サポートの提供が必要になるため人としての営業への信頼が必須になりますし、単価が高い商材では意思決定難易度が上がるので「本当にこの人を信じられるか?」という問いが立ちます。まさに営業の介在必要性がありそうな領域ですね。

④ これはシンプルです。トヨタの豊田さんが、商談で自己紹介する必要がありますでしょうか?商談相手に会う前にこの信頼獲得が完了している最強の状態。自己紹介せずとも知られている状態が最も「何者か」を示せており、営業の介在価値として大きく、営業パーソンとしてはこの状態でお客さんと対峙できたら理想ではないでしょうか。

(最近営業界隈でTwitterやnoteなど積極発信している方はこの狙いは多いのではないでしょうか。)

■営業パーソンが人間として介在する価値を問う

Webの情報収集が更に浸透・発達した2020年、営業と顧客間の情報格差はより一層少なくなり、営業パーソンの存在意義が今再び問われている時ではないでしょうか。

私としての一つの答え(もちろん様々な粒度、角度からの捉え方がありますが)、営業として人間が関わることの付加価値は、人が人に抱く好感 x ビジネス的信頼。この二つによって人の心が動かされることだと考えております。

※参考:詳細は昨年のアドベントカレンダーnoteにて「好感獲得とビジネス的信頼獲得」の手法を公開しておりますので宜しければご参照ください。

つまり、最も人間的な部分ですね。

新型コロナウィルスの影響など、外部環境が大きく変化した2020年だったので、もちろん今までになかった業務上の問題がたくさん発生しています。

しかしながら、営業として商談を通じて成し遂げたいゴールが変わらないのであれば、「自分が手法を変える」事が必要です。

最近「なんだかWeb商談うまくいっていないなぁ」という方は、本記事のような基本行動から見直していただいても何かしら気付きがあるかもしれません。

■わたしの想い

私は常々、『セールスというアートをサイエンスし、日本の営業をアップデートする』というモットーを掲げながらSales Science Lab(セールスサイエンスラボ)という会社を経営し、発信を行っております。

「営業をサイエンス?無理でしょ!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、私のイメージはこちらです。

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私自身も営業の全てがすべて科学しきれるものではないことは十分理解しておりますし、せいぜい7割くらいなのだろうと思っています。ただ、その質の高い標準の上だからこそ輝けるパーソンがたくさんがいると信じています。

基礎スキルのないオリジナリティやクリエイティビティはむしろリスクでもあるので、これをプラスに作用させるべく、ロジックや定量データ、パターン化、構造化(あれ、これがMECEじゃないw)などを通じて、日本の営業パーソンに少しでも寄与できたらと思っています。

営業は極めて不確実性が高く、まだまだ研究の余地がある分野だと思っています。一方で、手法にとらわれると今回のように人間味を失う、のようなシーソー現象で行ったり来たりするところが営業の面白みの一つであると思います。それを突き詰める事によって顧客の心を動かし、心を動かしたことが成果に繋がる(もちろんそんなことばかりではないが)、とても素直で真摯なビジネスですし、そんな素敵な職業であると思っています。

日本の営業パーソンに幸あれ。


日々、営業に関して下記アカウントにて発信しております。
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それではみなさん、良いお年をお迎えください!!

#営業アドベント の方々は本当にお疲れさまでした!
素晴らしい作品ばかりで、みなさんとご一緒できて光栄です!!


P.S. 営業相談・キャリア相談も乗りますので是非お気軽にお声がけください~!


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