Vol.007 【レポート】中之島プロモーション 「中之島建築リバークルーズツアー」
配信日時:2021年2月12日(金)19:00〜20:00
収録場所:土佐堀川〜堂島川
登壇者:高岡伸一(建築家/近畿大学建築学部准教授)、倉方俊輔(建築史家/大阪市立大学工学研究科都市系専攻准教授)
1月11日(成人の日)に建築家の高岡伸一氏と、建築史家の倉方俊輔氏をナビゲーターにお迎えして、中之島とその対岸に立ち並ぶ個性豊かで魅力的な建築群を川から眺めるクルーズツアーをおこないました。
船は八軒家浜船着場を出発し、土佐堀川を西進。天神橋をくぐって最初に現れたルポンドシエルビル(旧大林組本社ビル)と旧大阪大林ビルディングを皮切りに建築談話が始まりました。次になにわ橋を過ぎて北浜長屋やテラス、光世証券本社ビルなどを話題に進んでいくと、中之島の象徴とも言える大阪市中央公会堂をはじめとする近代建築が立ち並ぶエリアです。大阪府立中之島図書館、大阪市役所、日本銀行大阪支店、三井住友銀行大阪本店ビル、そして淀屋橋といった大阪の経済・文化の歴史に深く関わる建築群の時代背景や意匠について話題が絶えません。
続いて四ツ橋筋より西は現代建築が立ち並ぶエリアです。中之島フェスティバルタワーや中之島三井ビルディングなどによる高層ビル郡の都市風景はビジネスの街としての中之島を象徴しています。その後、リバーサイドビルディング、大阪市立科学館、国立国際美術館と建築中の大阪中之島美術館が臨む西の文化ゾーンに続き、リーガロイヤルホテルや中之島センタービルなどの建てられた時代背景によって、高度経済成長期から現代にいたる中之島の足跡を伺い知ることができました。
さらに船は西へと進み、三井や住友の倉庫群や中央卸売市場など、次第に海を感じさせる風景に。1時間ほどの道程のなかで次々に景色が変わっていくというのも中之島の特徴です。さて、船は方向転換し、土佐堀川から堂島川へと進みます。
そして、中之島4丁目より西のタワーマンションにも話は及び、ビジネス・文化とは異なるライフステージとしての中之島の新たな役割を実感します。その後、土佐堀川側からも見てきた大阪府立国際会議場(グランキューブ)、リーガロイヤルホテルと中之島バンクス、ほたるまちのABC朝日放送新社屋などが続きます。
さらに建設中の大阪中之島美術館や関西電力本社と遊歩道計画、ダイビル本館と中之島ダイビル、朝日新聞社(中之島フェスティバルタワー)といった高層ビル群、その合間を通る阪神高速道路と川の風景は圧巻です。また、堂島川からも見えていた中之島三井ビルディングなどからは、中之島の南北の敷地にわたって建てられた高層ビルの存在によって、この島の幅の狭さを実感します。中之島の建築は、土佐堀川、堂島川の両側から見られること、親水空間や緑地性を意識して設計されおり、そこに施主や建築家の矜持を感じるとのことです。
淀屋橋と対となる大江橋、水晶橋付近には、大阪市役所、図書館、公会堂、大阪市立東洋陶磁美術館、こども本の森 中之島、そして対岸には大阪地方裁判所、大阪弁護士会館が立ち並び、大阪の市政・法曹・文化と縁の深い建築が続きます。
さて、天満橋の橋梁鉄骨構造をくぐりぬけると、天満エリアの住宅や特徴的な個人事務所とともに、正面にはOMMビル屋上の展望台が見えます。そして船の旅の終着を目前にして振り返ると、中之島の西の先端からの「島の眺め」には、手前から奥、つまり東から西へ向かって建築群が近代化・高層化していく重層的な風景が広がっていました。
今回のクルーズツアーを通して、改めて中之島の歴史文化資産の豊かさ、水準の高さを実感するとともに、様々なテーマや角度から語ることができる中之島の可能性を垣間見る機会となりました。
レポート執筆:木ノ下智恵子(大阪大学共創機構社学共創部門准教授)
<クルーズツアーに関連する中之島建築等>
天神橋、ルポンドシエルビル(旧大林組本店ビル)、旧大阪大林ビルディング、北浜テラス、北浜長屋、北浜レトロビルヂング、難波橋、アートエリアB1(大阪大学・ダンスボックス・京阪ホールディングス)、光世証券本社ビル、大阪市中央公会堂、大阪府立中之島図書館、大阪市役所、淀屋橋、日本銀行大阪支店、三井住友銀行大阪本店ビル、錦橋、大同生命本社ビル、中之島フェスティバルタワー、中之島三井ビルディング、肥後橋、山内ビル、リバーサイドビルディング、大阪市立科学館、国立国際美術館、graf、リストランテ・サリーレ、中之島センタービル、三井倉庫、住友倉庫、中央卸売市場、中之島ゲートパーク海の家、堂島大橋、グランキューブ(大阪府立国際会議場)、リーガロイヤルホテル、中之島バンクス、ABC朝日放送新社屋、堂島リバーフォーラム、大阪大学中之島センター、大阪中之島美術館、関電ビルディング、ダイビル本館、中之島ダイビル、阪神高速、朝日新聞大阪本社(中之島フェスティバルタワー)、フェスティバルホール、中之島香雪美術館、新ダイビル、大江橋、水晶橋、中之島ラブセントラル、大阪地方裁判所、大阪弁護士会館、大阪市立東洋陶磁美術館、こども本の森 中之島、天神橋、天満橋、剣先噴水、風の万華鏡(新宮晋オブジェが一体化したオフィスビル)、TSビル(安藤忠雄建築のオフィスビル)、京阪シティモールビル、OMMビル
【アーカイブ公開中】
トーク全編の映像は、YouTube公式チャンネルにて公開中です。
(2021.2.15現在)
↓ 映像はこちら
プロジェクトのウェブサイトはこちら:
クリエイティブアイランド中之島公式ウェブサイト
https://nakanoshimalab.jp/