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祝・生徒さん初リサイタル

真っ青な空、台風一過、生温い風。無事電車が動き始めて、予定通り生徒さんの全部自分でやるリサイタルが開催できました。彼は中学一年生。60分のプログラムです。

そもそも、レッスンでその時取り組んでいる曲しか弾けない人が多いものです。少し前にある程度のレベルで完成させたはずなのに...。それくらい楽器というのも、音楽というのも披露するのは大変な努力が必要です。努力というよりも心がけかもしれません。

こんな状況だったもので朝の段階でお花を支度して持っていくことはできませんでしたが...自分も途中2曲ほどお邪魔してきました。

選曲、会場用意、チラシ作り、ご案内、タイムテーブル...全部親御さんの手も借りながら本人です。決定権は全部委ねました。発表会のようにお膳立てされたものではなくて、全部自分でやる。決める。これは習い事やお稽古の範囲ではないとお考えの方も多いかもしれませんが、それこそが生業の場合も、趣味の場合も大切なことだ、と僕は考えています。

海外の生徒さんとSkypeレッスンで触れ合っていると、海外の状況は全く異なります。学外の努力や積み重ねでも、しっかり評価される。また学内で機会も与えられる。それはプロを育てようということではなくて、いい世の中、よりよい社会の基本として大切にされているということでしょう。積み重ねてきた文化とかを守るのはプロではなくて、世の中ですし、それは結局のところ人ですからね。

いま、学外に出ればそういう機会は日本にもたくさんあります。でも、そこにはお膳立てがあることも、またいろんなしがらみの宣伝などもあります。ボランティアでさえ、形式立てられてしまうことがある。そう考えると、学内というのは貴重なのですが、目立つことや飛び出すということがいろんな(子供たち同士で)問題になりがちな昨今。

なかなか提案しても実現できるご家庭が少ない中、素の音が耳に触れる素敵な会場で、素敵な伴奏者にも恵まれて、いい時間になったんではないかな?と思っています。

コンサートやリサイタルというのは、実際のところ、お客様の「音楽を楽しもう」という積極的な姿勢が空気を大きく左右します。それは客席にいる時さえ、ものすごく感じることです。今日は満席でいい空気をつくってくださったご来場の皆様にも本当に感謝です。

本人はそれはもう気が気ではなかったと思います。完璧なパフォーマンスではなくて、世の中と音楽と自分、楽器と自分の関係を実感して欲しいというのが出発点だとしても、やっぱりね、本人のプライドとかあります。
「自分がどうしたい」というのも「どう思われたい」と表裏一体みたいなところがあります。
そういう余計なプライドさえ捨てていく、という経験になっていたら何よりです。

「またやろうね!」と声をかけたところ、割と清々しく「うん」と答えてくれたのでほっとしています。

個人的にはエアコンの風と(自分の)譜面の向きをケアしきれなかったのが大反省です!次からセロハンテープは忘れない。スクロールで譜面をおさえながら弾いたのがあり、まぁ冷や汗でした。そこでどっしりついてきたり、ケアしてくれたところがまたご立派、尊敬できる生徒さんであります。

こういう機会は大袈裟にしなくても、ご家庭で少しの閃きでできることが多いと思います。Skypeレッスンの生徒さんでも、交通費さえお気遣いいただければ全面協力しますので(笑)どんどん自分のために弾き、お客様にも楽しんでいただきましょう。



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