
アイデアだけなら誰にでもある。
私は以前、学生たちに"就職活動におけるセルフ・ブランディング"を教えていた時があって、多くの就活生たちに講座スタイルでいろいろ教えていたのです。
就職難で就活生が苦労しはじめた2011年頃から4年間くらいですね。毎週1回2時間の講座でした。
それとは別にスピンオフの単発セミナーも何度も依頼されまして、こちらは講座の受講者とは別の学生さんたちが来てくれていたのです。
ちょうどその頃は何かと「就活系」の講座でブランディングについて話してくれと言うオファーが多かったのです。時期というか、世間のタイミングがそうだったのかなと思いますね。
そんな頃にセミナーで知り合ったひとりの学生。彼は学生でありながら仲間とすでに起業していて就職する気は無いと。
ただ"セルフ・ブランディング”を学びたいという目的で何度も”単発セミナー”に来てくれていました。
そんな彼がある日、私にメールをくれました。
長文でしたが、文章のちょうど真ん中ほどにあったこの言葉が、彼がメールをくれた目的だったと すぐに理解したのです。
「僕が考えたアイデアを買ってくれませんか」
そのアイデアを読んでみると、具体性は乏しかったけど なかなか面白い内容でした。
今まで世の中に無くて、それでも”それが在ることがイメージできる”。
コストもそれほど掛からない感じだけど ヒットしたら凄そう。
まだその頃には市場自体が小さいとは感じたけど、何年かしてその市場が成熟してきたら面白いかも。と私は思いました。
それでも私はこう思い、そう伝えました。
「アイデアだけなら誰にでもある」 と。
インターネットの時代になったこの現代。ビジネスの展開は加速しています。すでにクリックひとつで何でもできる時代。スマホ1台で何でも知ることのできる時代。何でも買うことのできる時代。
そんな時代に「アイデアだけでは価値がない」「アイデアだけでは誰も欲しいと思ってくれない」ということを知らせたいと思ったのです。
私が思うに、現代において最も価値があるのは、
そのアイデアを実践できる何かをつくること。
それを商品やサービスとして誰かに提供できるように組み立てること。
きっとその商品の中には そのアイデアと向かい合った時間や流した汗の量や、苦しみ壁に当たった苦悶の量が入っているでしょう。
浪花節かもしれませんが、そういう「カタチにする価値」を彼に伝えたかったのです。
私はこうも伝えました。
大変なのはアイデアを出すことじゃない。「実行すること」だ。 だから、君にそれを「実行」せずにはいられない衝動があるかどうか。
アイデアを買ってくれる人がいるかいないかじゃない。
その衝動があるかどうかが、成功の分かれ目になるんだ。
ちょっと綺麗ごとのように書いていますが、
「アイデアレベルのものを買ってくれなんて、世の中を舐めとるな〜」
と思ったのが本音です。
でも一応 先生と生徒という間柄。さすがに「舐めとるな〜」はよくないので、しっかりと私の考えを知ってもらおうとしたわけです。
いくらアイデアが良くても、それをカタチにしていく中でいろんな苦労があるでしょう。その苦労を越えて成功させる「気持ち」があるかどうか。
だからアイデア単体でどうこうできるものではないと思いますね。
もしかしたらその言葉は、その頃の自分自身にも伝えたかったのかもしれません。

そしてその彼。
驚くかもしれませんが、現在は年商40億円企業の社長です。若干32歳。
その時のアイデアはずいぶん形を変えることになってしまったようですが、あの時のアイデアがベースにあることは明確にわかります。
つまり、結局彼は誰にも売らずに自分で商品を組み立てることにしたのです。
あのアイデアの進化形がヒットを生み出し、2016年〜2018年に急成長。
IT業界界隈ではまあまあ知られた存在になりました。
僕なんか、あっという間に追い抜かれたわけですね(笑)
それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう。
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!