有機ゲルマニウムとリウマチ

70代女性。
重度のリウマチで、歩くにも杖が必要。診察室に入ってくる様子も痛々しい。
「3年ほどリウマチを患っています。薬はたくさん飲んでいます。ステロイドから始まって、サラゾスルファピリジン、免疫抑制剤のシクロスポリン、あと糖尿病だということで、ジャディアンスも飲み始めました。
糖質制限をしたり、プロテインや鉄剤などのサプリを飲み始めて半年経ちますが、改善しません。ネットで情報を探していくなかで、先生のことを知りました」

採血すると白血球12000と高値、さらに分画は好中球91.5%、リンパ球5.4%と圧倒的な交感神経優位で、リウマチ患者の典型的な所見だった。こういう人が糖質制限すると、ますます交感神経が興奮する。「お米くらいは食べていいですよ」
「え、でも最近糖尿病の気まで出てきて、糖質は絶対ダメだと思ってて」
「糖尿病は薬の副作用じゃないかな。ステロイドで血糖値が上がるし、シクロスポリンでインスリンが出にくくなるし」
そう、西洋医療によくある"モグラ叩き"である。治療のために飲み始めた薬で、別の症状が現れ、その症状に対してまた薬を処方する。薬がどんどん増えていく仕組みになっていて、笑っているのは製薬会社だけ。患者は副作用の連鎖に苦しむことになる。
この人の場合、ジャディアンスを飲み続ければ、ステロイドや免疫抑制剤の副作用もあいまって、尿路感染症やカンジダ膣炎などにかかるだろう。そうなれば今度は抗生剤が出て、腸内細菌叢が乱れ、ますます体調を崩す。
まず、もとを断たねばならない。ぜひとも薬を減らしたい。理想的には、やめたい。しかし急な断薬は体がびっくりするから、各種ビタミンやミネラル、有機ゲルマニウムを補給しつつ、体を作っていきながら、ゆっくり減らすように指導する。

「減らすと言ってもね、それは私にはなかなか難しいんです。いや、体のこともありますが、それ以上に、リウマチを見てもらっている主治医との関係でね。
私は高知の田舎に住んでいます。主治医は栄養療法なんてまったく知らない、ガチガチの西洋療法の人で、そういう人に薬をやめたいとか減らしたいとか言うことが、先生、どれほど勇気のいることか、わかりますか?都会ならいいでしょう。栄養療法でも何でも、いろんな治療法をしている医者がたくさんいて、患者には選択の自由がある。でも私のような田舎住まいで、近所に病院がひとつだけ、というような地域で、その先生のご機嫌を損ねたとしたら、と思うと、出される薬をありがたく頂戴して黙って飲み続けるしかないんです。自分の希望を医者に伝えるという、ただそれだけのことが、ものすごく難しいんです」
なるほど、地域なりの事情があるんだね。しかし、根本治療のためには減薬は必須。「薬こそが、むしろ病気の悪化要因」という認識がない医者の言うがままに従っていては、治る病気も治らないだろう。
主治医に自分の意思を伝える勇気がないのなら、別の勇気を持つことである。つまり、自己判断で薬を少しずつ減らす。これしかない。不安があれば僕に聞いてくれたらいい。オンライン診療も当たり前の時代である。地理的距離の制約に縛られる必要はない。
「高知ということですけど、海寄り?山寄り?」
「海の近くです。家の目の前に太平洋が広がっていて、きれいな砂浜があります」
これはすばらしい。都会にはない最高の環境だ。
不朽の名著『家庭でできる自然療法』(東条百合子著)に、砂浴(砂療法)が紹介してある。方法は簡単で、「砂に埋まる」。これだけ。これだけで、癌などの難病にも大いに有効だという。
本当?と信じられない人もいるだろう。そういう人は、実際にやってみるといい。砂に体を埋めていると、体のあちこちの血流や鼓動を感じるだろう。代謝が高まり、デトックスが始まっている証拠である。砂に含まれている不思議な力が、体内の毒を吸い出してくれる。
非科学的だと言われようが、効くものは効く。
「理想的には、裸になって砂に埋もれたほうがデトックス効果は高いです。でもさすがに裸はちょっと人目があるでしょうから、薄着でされてもいいし、何なら砂浜に座って、足首までを砂に埋めておく、それだけでも充分効きます」

半年後。
「最初にここに伺って、もう半年が経ちました。薬を減らしたときは大変でした。あちこちの関節が痛くて。でも薄皮をはぐように、少しずつ体が楽になってきました。
今も関節の痛みはあります。それでも、半年前とは比較にならないほど回復しました。
何が一番効いたのか?薬をやめたこと、有機ゲルマニウム、砂療法。いろいろあると思います。ひとつに絞れません(笑)
毎日浜辺を散歩しています。最初は、靴の中に砂が入りませんでした。でも今は、砂が入ります。何を言っているか分かりますか?足のむくみがすっかりなくなったんです。半年前の私の足はパンパンで、靴と足の隙間に砂さえ入らなかったんです。それが、今はむくみが完全になくなりました。
痛みのせいで、私は何もできませんでした。歩くことはもちろん、寝がえりを打つことさえできませんでした。でも今はできます。晩酌にビールを1缶だけ飲むのですが、プルトップを開けることもできます。
人に言えば、何を当たり前のことを、と言われるかもしれません。でも、私にはそれがすごくうれしいんです。靴に砂が入るとか、そういうさりげないことに、回復をしみじみ実感します。

先生、ちょっと個人的な話をしてもいいですか。私、高校を卒業してすぐに上京して、50年ほど東京で暮らしました。ずっと高知に帰りたいと思っていました。3年前に念願叶って故郷に戻りましたが、すぐにリウマチを発症し、病院にかかっても治らず、症状は悪化の一途でした。高知に戻ったのは、静かな晩年を過ごしたかったからなのに、痛みのせいで何もできない。みじめで、本当につらかった。
今、痛みがなくなったおかげで、きちんと自分の時間を過ごせています。散歩して、日光浴して、本読んだりパズル解いたり。
終活っていうのかな。実家にある母の古い日記を見て、私がどんなふうに生まれ育ったか、改めて振り返ったりしています。
先日、ホームセンターで長いホースを買って、それで庭の花に水をやりました。何だかすごく、幸せを感じました。『そう、私はこういう時間を過ごしたくて、東京から故郷に戻ってきたんだ』と思いました。
できることが減っていく年齢だと思います。でも私は、この半年で、できることがどんどん増えたんです。痛みに苦しんでいた半年前が嘘のようです。
本当に感謝しているのですが、この気持ちが、私がどれほどうれしいか、言葉でうまく伝わったでしょうか」