新型コロナ未確認県

『東京在住の30代女性 帰省先の青森 八戸で感染確認 新型コロナ』
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200329/k10012355891000.html

この女性はすでに東京にいた時点でコロナに感染していた、ということだろう。症状があるのに実家に帰省したことに対して、非常識だと批判されても仕方ない。
ただ、気持ちはわかる。おそらく独り身の女性なのだろう。新型コロナではなく、ただの風邪であったとしても、症状でしんどいときに一人で過ごすのは寂しいものだ。そばに誰かがいて欲しい。それでこの女性も実家に帰ったのだろう。
これがただの風邪だったなら、何ら問題なかった。新型コロナだったせいで、世間を騒がすニュースになってしまった。

この女性(とその家族)の今後が心配だ。
僕は人生の一時期、鳥取で暮らしたことがある。鳥取は、現時点で新型コロナの感染者が出ていない。
全国で蔓延するなか、なぜ鳥取では感染者が出ていないのか?都市部ほど人口密度が高くないおかげで、接触感染のリスクが低いから、という理由はもちろんあるだろう。しかしそれだけではなく、田舎特有の事情もからんでいるに違いない。
それは「自分の家族から最初の新型コロナ感染者を出してしまった日には、社会的に終わってしまう」という恐れである。
「ほら、ニュースで報道されてた鳥取最初のコロナ感染者って、〇〇さんらしいよ」となっては、家族全員が村八分をくらうことは目に見えている。
一度たったそういう噂は、延々消えない。下手したら数年どころか、数十年言われ続けるだろう。そうなればもう、住み慣れた土地を捨ててどこかに引っ越すしかない。
だから、たとえコロナっぽい症状(発熱、咳、味覚・嗅覚の低下など)があったとしても、医療機関を受診しようなどと思わない。ネット情報を見れば、幸い致死率も低いことだし、自力で治してしまおう、となる。

このあたりの心理は、都市生活者には理解しにくいものである。都市生活は、よかれあしかれ、横のつながりが希薄だから、村八分などという現象が起こりにくいし、情報の更新速度が速いから、気まずい噂もそのうちすぐに忘れられる。仮にどうしても気まずいのであれば、またどこかに引っ越してしまえばいい。住む場所はいくらでもある。

この心理は、地域住民だけではなくて、医療機関にもあるんじゃないかな。
臨床で、いかにもコロナっぽい症状の患者がいたとする。もし検査をして、陽性となったらどうなるか。病院は大混乱に陥って、通常の業務に差し支える。近隣住民に噂がすぐに広まって、病院の売り上げにも大打撃になるだろう。
幸い、患者も検査を希望しない。医療機関、患者、双方の希望が合致して、結果、検査自体が行われない。
新型コロナの感染者が確認されていない5県の検査件数が知りたいところだ。きっと全国平均よりも少ないだろう。

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しかもマスコミで「まだ新型コロナが出ていない5県」として、全国的に注目されているとなれば、県民の間に、何か意地のような感情がわいてくる。
特に鳥取は、全国的な注目に飢えている。たとえば、かつて「全国で唯一スタバがない県」であったことは、劣等感であるよりも、むしろプライドに近い感情だったと思う。どんな形であれ、全国から注目されることに、鳥取県民は喜びを感じていたはずだ。
今回、新型コロナが出ていない5県のひとつに残っていることで、まるで甲子園のベスト4に残っているぐらいの高揚感を感じていても不思議ではない。
こういう雰囲気になれば、鳥取は強いよ。
おそらく、このまま新型コロナ感染者を一人も出すことなく(正確には「確認することなく」だと思うけど^^;)、流行の収束を迎えるんじゃないかな。

新型コロナ患者を「確認することなく」ではなく、本当の意味で「出さない」ために、鳥取県に提案できることがあるよ。
それは、ビタミンCを県民に無償配布すること。たとえば3ヶ月間という期間限定で、60歳以上の鳥取県民全員にビタミンC(1日1000mg)を配ればいい。ビタミンCは値段的にはタダみたいなもんだから、財政的にも別に難しくないはずだ。
新型コロナ感染を防ぐだけではなく、ついでにインフルエンザや風邪の罹患率まで減少するに違いない。
県をあげて、本当に患者を癒す施策をするように医療行政を充実させれば(具体的には、変な薬を飲ませるのではなくビタミンCを勧めるなど)、平均寿命(および健康寿命)が伸びることは間違いない。そうなれば、移住希望者も増えると思う。
しかし、、、
独自色をアピールしたい気持ちと同時に、同調圧力に最も弱い気持ちをも併せ持つのが鳥取の県民性だから、こんな提言が採用されることはあり得ないんだな。