ワクチン

岩田健太郎先生の本は、学生時代にお世話になった。
語りかけるような口調で、ところどころにユーモアのある文章。教科書のようなお固さがなくて、読みやすかった。
感染症のプロだけあって、抗菌薬の弱点についても知り尽くしている。
「経口第三世代セフェムは安易に使うな」など、製薬会社にとって不利益なことも物おじせずに主張するところに好感を持った。
勤務医時代、抗生剤を出す場合にも(基本的に出したくないけど、どうしても出さなきゃいけない状況がある)、最低限フロモックスやセフトリアキソンを使うことを避けていたのは、岩田先生の影響以外の何物でもない。

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引用文献の豊富さが、岩田先生の勉強量を物語っているようだ。
明確なエビデンスと先生の臨床経験が融合した、説得力のある本だと思う。

しかし驚かされるのは、こんなに優秀な先生が、ビタミンの有効性を全く知らないことだ。さらに、バリバリのワクチン推進派である。
『国民全員にワクチンを』
https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu091111-06.pdf
以前のブログで触れたが、『ワクチンは怖くない』という著書まである。

「どんな優れた前提から出発しようとも、まったく誤謬のない論理展開を行おうとも、結論が間違った命題は偽である」というのが論理学の教えるところである。
なるほど、岩田先生の勉強量と情熱はすばらしいものかもしれない。
しかしビタミンに対する一切の無知(無視?)、およびワクチンに対する盲目的な信頼感という"結論"を見てしまっては、先生に共感するわけにはいかない。

感染症のプロを自称する岩田先生である。そしてまた、今回のダイヤモンド・プリンセス号の一件で、全国的な知名度を得た岩田先生である。
先生が一言「感染症予防にはビタミンCの積極的摂取を」と呼びかけてくれるだけで、世間へのインパクトは相当大きく、コロナの新規感染者の抑制に寄与すると思うんだけど。。
しかし事態は真逆である。
こういう影響力の大きい先生が、ワクチンの積極的接種を呼び掛けている。

『事実に誠意を』
https://blogos.com/outline/446023/
最近の先生の記事である。
『事実に誠意を』と呼びかけておられるが、それはご自身にも当てはまらないか。
ワクチンによる副反応により、後遺症に苦しむ人がいる事実をどのように考えるか。
どんな抗生剤を使っても治癒しなかった感染症が、ビタミンCの点滴で回復する事実をどのように考えるか。
こういう事実に誠意をもって向かい合えば、ワクチンとか抗生剤とか、何だかバカバカしくなると思うんだけど。

ちなみに、栄養療法の存在を知った今は、岩田先生の著書には何ら説得力を感じない。「まだそこでやってるの?」という感じだ。ビタミンCという強力な武器があれば、抗生剤の細かい使い分けがどうのこうのという議論は枝葉末節、まったく本質じゃない。とても付き合いきれない。

大学教授という権威があって、知名度があって、しかも熱意がある人が、その熱意を誤った方向に発揮している状況は、率直に言って、怖い。
つくづく思う。
なぜこんな優秀な人が、なぜこんなバカみたいな結論に至るのだろう。