妊娠するためにやったこと

「このたびはおめでとうございます。どんな子供が生まれるか、楽しみですね」
多くの人がパートナーの妊娠を喜び、声をかけてくれる。ありがたいことだ。
「男の子、女の子、どちらがいいですか?」
どちらでもいい。本当に、どちらでもいい。そもそも来てくれるだけでもありがたいことなんだから。男の子か女の子かの違いなんて、全然本質じゃない。
「先生の子供ならきっと頭がいいでしょうね。どんな子供に育てたいですか」
ひとつ思うのは、僕のような生き方はして欲しくない(笑)たまたま多少勉強ができて医者になった。でも、試験の点取り虫なら誰でもなれる。芸術とか感性とかひらめきとか一切不要。それに、医者というのは医師免許という資格に頼った仕事で、人間の生き方としては最もつまらない部類に属すると思う。一度きりの人生なんだから、もっと別の生き方があるだろうにねぇ。自分で言うのも何だけど。
でもそういう後悔も含めて、人生の味というべきだろうな。子供にはたくさんの失敗を経験して欲しい。何度もつまずいたり、傷ついたりしてさ。そういう子供に寄り添い、僕も一緒に伴走しよう。
ただ、とにかく今は生まれてくれるだけで十分。これ以上のことを望んだらバチが当たります(笑)

一方、パートナーはおなかの中の子供について、産婦人科の医者相手にこんなふうに言った。
「高齢出産だからダウン症とか病気のリスクも高いだろうけど、そういうのは関係ありません。当然生みます。先天性疾患だからおろす、なんてあり得ない。だから出生前検査は受けません」
パートナーとは日々喧嘩が絶えない。怒鳴り合いはもちろん、ときには取っ組み合いの喧嘩をすることもある。僕のほうで手が出ると、ちゃんと殴り返してくる(笑)こんなに気の強い女には出会ったことがない。また同時に、決定的に重要な事柄について、こんなに僕と意見が一致する女も他になかなかいない。そう、僕もパートナーと同じ意見で、生まれてくる子供がダウン症であったとしても、普通児と同じように可愛がると思う。堕胎を検討する必要は一切ない。
ささいな食い違いはいくらあってもいい。今日もロン(うちの犬)のエサを手作りにするかドッグフードにするかで激しい喧嘩になった(笑)それなりに本気で口論しているが、頭の中は覚めている。こういうのはどうでもいいんだ。本当に大事なのは、生き方とか倫理観とかもっと抽象的なことで、ここの考えが違う人だと長く共同生活をやっていくのは難しいと思う。

以前にも書いたが、パートナーは43歳である。出産適齢期というには20年遅く、なかなか妊娠しなかった。20年前に出会っていれば、とも思うが、そこは人生の縁というもので、愚痴を言っても仕方ない。
妊娠するために様々なことをやった。結果、めでたく妊娠に至ったが、一体どれが功を奏したのか分からない。どれか一つではなくて、複合的に効いたのかもしれない。
世間には不妊に悩む方もおられるだろう。僕らの経験がそういう人の参考になれば、と思います。

引っ越し
今年5月、高層マンションの8階から小さな庭のある賃貸の一軒家に引っ越しをした。それはロンのためだった。大型犬にはずいぶん手狭な部屋だったから、もっと広い家、できれば庭があって、ロンが駆け回れるような家があれば、との思いで探したところ、理想的な物件を見つけた。そのときは妊娠のことなんてまったく考えてなかったけれども、以下の本を読めば、引っ越しが非常に重要だった気がする。

画像1

著者の逢坂文夫氏は、「住居環境の妊婦に及ぼす影響について」調べていた。高層マンションは6階以上であればエレベーターの設置義務があるが、5階以下であれば設置義務はなく、階段を使わざるを得ない。「階段の上り下りという激しい運動を余儀なくされた妊婦では流産率が上がっているのではないか?」この裏付けをとろうと思って研究したところ、予想と正反対の結果が出た。5階以下よりも6階以上のほうが明らかに流産/死産の経験者が多いことが分かった。具体的には、6階以上に住み、かつ33歳以上の女性では44%が流産していた。
原因はよく分からない。高層マンションの屋上などには電磁波を受信するアンテナなどが設置されていることが多いもので、その影響かもしれない。

あと、今住んでる家は築60年とものすごく古い。新築マンションなどによくあるシックハウス症候群とは無縁の家で、そういう点もよかったのかもしれない。

水を変えた
一軒家に住むとなれば、セントラル浄水器を取り付けたいと思っていた。人間は体の4分の3が水である。毎日使う水のよしあしが、健康状態に直結すると言っても過言ではない。
たとえば水道水に含まれるPFAS(ペルフルオロアルキル物質)によって不妊、出生時体重の低下が起こることが知られている。トリハロメタンも精子や卵子に悪影響を与える。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6396757/
しかしこれらの知識は後づけで得たものだ。つまり、特に妊娠のためを思ってセントラル浄水にしたわけではない。健康のためにと思ってやったことが、結果、妊娠にも好ましい影響を与えた、ということだ。

・有機ゲルマニウム
『ゲルマニウムと私』(浅井一彦著)に出てくる話。あるブリーダーが英国から莫大な金額で雌のドーベルマンを輸入した。5年間に7回交配するなど、多額の交配料を払ったが、一向に受胎しない。このままでは老齢化し、この犬にかけた金が丸損になってしまう。そこで、この犬にゲルマニウムを飲ませたところ、見事に受胎し11匹(雄5匹、雌6匹)を分娩した。
これは犬の話だが、当然人でも妊娠しやすくなる。ゲルマニウムが妊孕性を高める機序については、複数考えられるが、たとえばゲルマニウムの投与によりホルモン分泌器官(甲状腺、卵巣など)の重量が増し、ホルモンバランスが改善する。逆に、甲状腺機能低下症の女性はなかなか妊娠しない。

・松康泉、ショウキT1(タンポポ茶)など
40代の女性が当院を受診し悩みを語る。
「病院に勤務する看護師です。コロナワクチンを受けろというプレッシャーがきついですが、拒否し続けています。それに、うちの病院は患者にもワクチンを打ちまくっていますが、これもストレスです。体にいいはずがないものを、それと知りながら患者に注射するのは、精神的に耐えがたくて。仕事をやめることも考えています」
ちょうど看護師の欠員があったものだから「うち来る?」と聞いてみた。「本当ですか!ぜひ!」診察が急遽採用面接になってしまった(笑)この方、今は当院の看護師である。
問診票に、3歳の子供がいる、との記載がある。「ということは、40歳を過ぎて出産された?」
「そうです。40を過ぎての初産です」
「へー、それはすごい。実はうちのパートナーも今不妊に悩んでて」と、攻守交替、今度は僕がこの患者に話を聞いてもらう側になった(笑)
そこで、松康泉とショウキを勧められた。先達の意見は聞くものである。すぐさまネットで取り寄せた。

・フルボ酸
『利家とまつ』で有名なまつ(芳春院)には子供が11人(二男九女)いた。当時、子供を5人6人産む女性は少なくなかったが、11人というのは当時の人から見ても多産だった。現代の日本人女性はどう頑張ったって11人産むことはできないだろう。まつはなぜこんなにたくさん産むことができたのか?
考えられるのは、土の質である。農薬と化学肥料で疲弊した畑で育った野菜と、大量のミネラル分を含む土で育った野菜とでは、健康に及ぼす影響が同じであるはずがない。土の成分として、フルボ酸に注目したい。
https://note.com/nakamuraclinic/n/n6eaa4c751f40
フルボ酸については以前紹介したことがあるから詳述しないが、妊活中、妊娠中の女性にも好ましい成分だと思い、パートナーにも勧めていた。

・整体、鍼灸など
續池さん主催のオフ会で整体師の張雲さんと知り合った。張雲さん、「うちに来られる不妊の人はだいたい授かります」というから、相談しない手はない。パートナーは定期的に張雲さんの施術を受けるようになった。
また、パパス東洋医療鍼灸院の竹中先生にもお世話になった。

結局、何が奏功したのか分からない。しかし結果、妊娠に至ったのだから、何はともあれ万々歳というべきだろう。ただ、この手の話は、「このサプリを飲んどけば万事オッケー」みたいなものではない。食事や水を変えたり、住む環境を変えたり、どちらかというとぼんやりとした、全体的な体質改善のほうが結果につながると思う。変に焦っちゃダメですよ。