コロナ関連の本について

コロナが始まって丸2年、ワクチン接種が始まってすでに1年以上が経過した。時間の経過のおかげで、ある程度、俯瞰で見えるようになってきたこともあるだろう。一体コロナ騒動は何だったのか?ワクチンは、なぜ、どのようなメカニズムで有害なのか?
いろんな総括の仕方があるだろう。というか、コロナ禍もワクチン接種事業もまだ現在進行中で、過去形で語るものではないかもしれない。
しかし、継続中の茶番ではあっても、ときどき振り返って、過去を忘れないようにする意識も必要だろう。

画像1

『コロナワクチンが危険な理由』(荒川央著)。
「2019年12月に新型肺炎の患者が報道され、その後コロナ騒動が始まりました。その最初の患者からSARS-CoV-2の塩基配列が決定され、このウイルスが肺炎の原因だとする論文が『Nature』に投稿されたのは最初の患者の発見からわずか1か月。ファイザー、モデルナはその塩基配列を利用して数日でワクチンのデザインを完成しました。通常ならそれぞれ数年かかってもおかしくありません。当初から私には違和感ばかりでした」

そう、そもそもの初っ端からおかしかった。まともな研究者はそれに気付いていた。しかしそれを「おかしい」と指摘する間もないほど、すみやかに事が進んでいった。
PCR検査が生み出す大量の偽陽性、それを”危険な感染者”として扱い、マスコミはコロナ恐怖を煽り立てた。マスクは“緊急事態”の記号であり、当局はその意味のなさを知りながら、着用を広く推進した。そこで、救世主ワクチンの登場である。「日常に戻りたいならワクチンを打て」コロナを恐れる人々は、また、コロナ禍に辟易する人々は、ワクチンに飛びついた。そして、多くの悲劇が起こった。

このワクチンがなぜ有害なのか。その機序について、僕もすでに過去の記事で紹介してきたから、一応それなりに知っているつもりではある。しかし、現役の分子生物学者、免疫学者である荒川先生の説明は、言葉の重みが違う
同じ言葉であっても、「それを誰が言っているのか」は超重要なんだ。たとえば、ネットで拾った匿名の投稿と、顔と名前を出して行う情報発信があって、たとえ内容が同じだったとしても、それはまったく意味が違う。

本格的過ぎて、一般の人には難しい内容もある。でも別に、すべてを理解する必要はない。すらすらと読める分かりやすいところを読むだけでも、ワクチンのやばさは十分に伝わると思う。
本職の研究者が書いた正統派の一冊。まさに「こういう本を待っていた」という本です。
荒川先生はnoteもやっています。
https://note.com/hiroshi_arakawa/


『ウイルス学者の責任』(宮沢孝幸著)。
科学者としての誠実な人柄が伝わってきます。記述に誤りがあってはいけないから、正確さを心がける。たとえば、

画像2

「可能性がある」を散らせておけば、どう転んでも間違いにはならない。でもこういうのは、ズバッと言い切ってくれたほうが、読者としては気持ちがいいものですよ。
書き言葉に限らず、話し言葉でもそうだけど、”正確な表現”なんてのを本気で心がけようとすれば、注釈やら脚注まみれになって一向に話が進まなくなる。不正確とかデタラメとか、そういうのも併せ呑みつつやっていくしかないのよね。

画像3

1/100作戦とか、先生としては、学者の見地から、やるべき対策を提唱してきたんだと思う。
でも、果たして、どうだったか。これのおかげでコロナが収束したか?

画像4

マスクの効果を信じておられるんですね。あと、黙食を推奨。僕としては、このあたりの記述は残念に思いました。
あと、「コロナは政治」という視点がまったくないのもどうかな。ツイッターをしているなら、そういうのは宮沢先生も知らないわけじゃないと思うんだけど、「それを言うのはウイルス学者としての自分の仕事ではない」みたいなことで、あえて触れなかったのかもしれません。

小児へのワクチン接種中止を求める署名を国に提出に行くなど、先生のことを反ワクチン活動家のように思っている人も少なくないだろう。でもそれは誤解で、先生はワクチンの開発にも携わったことがあるくらいだから、基本的にはワクチンに対して肯定的ですよ。それは、本書の記述のあちこちに感じられます。

画像5

画像6

画像7

画像8

宮沢先生のことを「反ワクの旗手」みたいなイメージでこの本を手にとった人は、ガッカリすることにもなりかねない。ただ、先生としては「子供へのコロナワクチン接種は間違っている。この一点だけは反ワクチンと共闘できる」。そういうことだと思います。僕としては、それで全然かまわないと思っています。

本の帯にもあるように、出版社的には、この本はコロナ対策、コロナワクチンのことが売りで、実際ほとんどの人がコロナ関係の情報を求めてこの本を買ったと思う。
しかし、この本の真価は、後半、第3章以降にあると思います。1,2章にガッカリした人は、そこで本を放り出しちゃいけない。3章を読んでごらん。すごくおもしろいから。筆致もいきいきしていて、宮沢先生自身、書いてて楽しかったんじゃないかな。
輸血用血液にウイルスが混入しているかどうかの検査を依頼され、検査試薬自体にウイルス(XMRV)のRNAが混入していることを突き止めた。その旨をNIHに連絡したところ、「そんなことは2年前から分かっている」という衝撃の返答。世界的な試薬会社の腐敗を目の当たりにしたわけです。海外の研究者と協力し、「複数の研究室から同時に論文を出そう」こうして独立した4グループがデータを公開したことで、世界の風向きが変わった。

画像9

さらに、ネコ用ワクチンに含まれた発癌性レトロウイルス(RD114ウイルス)の話。発見したのはいいものの、しかしこれを公表しては仕事がやれなくなる。科学者の良心だけではやっていけない。現場のリアルが伝わってくる。

今市事件。小1女児が殺害された事件で、被害者の遺体にネコの毛が付着していた。被告人が飼っていたネコの毛とミトコンドリアタイプが同じであったことを、検察は証拠として主張した。ここから、ネコのミトコンドリアDNAの話が展開されるのだけど、いやぁ、おもしろいです。

マスクやワクチンについての見解とか、違うところを数えていたら切りがない。というか、別に違ったっていいんだよ。
「あの紙切れで感染症予防とか言ってる時点で何言っても説得力ないよ」「反ワクっぽい雰囲気漂わせながら実は推進派かよ」「道理でテレビに出れるわけだ。うつみんとか本当にやばい人は絶対出れない。出てる時点でお察し」
そういう全否定は幼いよね。専門家だから、当然知識と経験が豊富で、すごくおもしろい話ができる人なのに、ちょっと自分と考えが違うから「ああ、あちら側の人か」で聞く耳持たない。もったいな過ぎるでしょ、そういう姿勢は。