見出し画像

野党は政府に反対ばかりしているのか

立憲民主党の代表選に出馬している逢坂誠二氏が、「批判と反対ばかり」という立憲民主党に対する批判に対して、反対ばかりしているわけではないというツイートをしています。

もちろん知ってましたけどね。

その上で言いますけど、自業自得じゃね?自分たちで対立構図ばかりを支持者や国民にアピールしといて、それで自分たちでアピールしたその構図で野党の立ち位置を理解した国民に対して文句垂れるとかどういう神経をしているのか。

一応多くの期間において与党側の立場だった人間として、与野党対決ポーズは野党の自滅行為だと認識していたので特に否定してもあげませんでしたけど、馬鹿な真似をしてるなーってのはずっと思ってましたよ。

ここでちょっと昔話。

国会議員の後援会や親しい支援者が上京してくると、国会議事堂を案内してあげることがよくあります。議事堂の歴史とか国会の機能とか三権分立とか、学校で習うことのおさらいから始めて、公民の教科書にも出てこないような現場の知識や感覚もお伝えできたらということで、とにかく時間いっぱいいろんなことを説明するのですが、私がその際に必ず伝えていたことがあります。それが今回のテーマである「野党は反対ばかりしているのか」という点です。(ちなみに国会内限定での対面での会話でしかこういった話はしていないので、この話はtwitterでも語っていません。なんやかんやで現役時代は浮世のしがらみがありましたからね)

国会議事堂見学の方に説明していた話し方で書いてみたいと思います。国会議事堂内で本会議場を見ているつもりで聞いてください。

─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─

みんさん意外かもしれませんが、実は国会は熟議というものをとても大事にします。与党は国会で過半数を持っているんですからその気になれば多数決でどんな法案でも強引に通していくことができます。しかし国会はそんなことはしません。

基本的に国会という場所は「全会一致」というものをとても大事にするんです。委員会を開いて法案審議を開始することを決めるのも与野党の全理事が集まった理事会において「全会一致」でもって決められるのです。法案の採決のずっと以前、その法案を審議してもいいかどうかすら全会一致で決めるんですね。反対する野党がいればとことん話し合ってどうすれば法案審議に参加できるか、どういう内容ならいいのかということをとことん議論します。そのうえで委員会の開催が決定されるのです。法案審議の最後の最後にどうしても法案に対する賛否が分かれることはもちろんありますが、それでもその法案を「審議しても良い」と野党に理解してもらうためにしっかりと説明と説得をしているのです。だから野党もそれならばと法案審議に参加してくれるのです(稀に委員長職権とかありますけどね)。そういう与野党の信頼関係・話し合いのもとに国会は運営されているんです。

そして野党も反対ばかりしているわけではありません。

まず、国会の採決には決まったパターンがいくつかあるのをご存知でしょうか?皆さんが一番思い浮かべやすいのはいわゆる「賛成の諸君の起立を求めます」という「多数決」とか「強行採決」といった、数で与党が決を採るパターンではないかと思います。他にも重要法案や首班指名選挙における「記名投票」もあります。しかし、国会でもっとも多用されている採決パターンはそれではありません。国会でもっとも多用され、そしてテレビではもっとも映されない(なので国民に殆ど認識されない)採決パターンがあるんです。

その国会でもっとも多用される採決パターンは、議長や委員長が「御異議ございませんでしょうか」と諮る「異議なし採決」、いわゆる「全会一致」です。これは自民党、公明党の与党はもちろん、民主党系や維新、それに社民や共産党まで含めた右から左まですべての国会議員が同意したことを意味します。私が調べた国会に関しては6割近くがこの全会一致でした。あの共産党まで賛成するんです。国家国民の未来・幸福・発展に対して、すべての政党・すべての議員が同じ方向を向けた案件が6割もあるんです。私はこれこそが国会であると、誇りを持って、自信を持って、国民に説明できます。自民党から共産党まで、みんなで熟議を重ね、みんなで同じ方向を向いていける一致点を探すことができる、全員で譲歩し合いながら妥協点を探すことができる、そういう場所なんです。

なので私は野党に対して「売国政党」などとレッテルが貼られることは悲しいことだと思っています。6割の案件では全政党が同じ方向を向けるということ、国家国民を思えばこそ多くの案件で同じ道を選べる政党があること、それを知ってさえいれば野党に絶望することもないし、現在の与野党含めて政党政治に期待と未来を感じられます。

残念ながら、当の野党やマスコミが「自民党に反対してやったぜイェイ!」みたいなことばっかり言っているし、別にこのことを周知して野党の期待値を高めてやる義理もないので基本的にこの話はしませんが、この国会という場所に来ていただく縁のあった皆さんには、様々な形で国会議員の支援をいただく形で国政に参画していただいている皆さんには、自民党だ野党だという俗世のどうでもいいしがらみから離れ、国会がいかなる理念と使命感とで運営されているかご理解いただきたくこの話をさせていただきました。

この話をすると野党の株があがるので外ではこの話をしませんし、なにより野党が自分たちでこういう話はしたがっていませんので、基本的には口外非推奨ですからね(笑)

─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─

私はこのような説明で野党が反対だけの口先野党ではないことを親しい支持者支援者には説明していました。そしてそれを広く知らしめれば野党にとっても益があるとも思っていました。それを長年に渡って黙っていたのは野党の議員の皆さんです。今の国民の反応は、その野党の今までのパフォーマンス政治のツケでしかありません。甘んじで受けてください。パフォーマンスするだけしといて、あれはフリだから、本意じゃないからとか弁明するのはとっても格好悪いと思いますけど、身から出た錆ですからね、しょうがないですね。

そして今までさんざん対決姿勢だのなんだので「キョーコーサイケツだ!!!!」みたいな娯楽で盛り上がってきたリベラル支持派の皆さんは、是非こういう話は無視してこれまで通り頓珍漢な反対アピールで盛り上がってください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?