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パワー発揮を最大化するための混合法(バックスクワットでは、パワーの向上は負荷が30~70%1RMの間で起こり、筋力の向上のためには高負荷(>75%1RM)を用いる必要がある)

筋力、パワー発揮の方法

単に筋力またはパワーの向上に焦点を合わせただけの一元的なトレーニング法では、パワーや筋力を最大に増大はできず、総合的な競技パフォーマンス能力を最大限に高めることもできません。

したがって、パワー発揮能力の最大化には混合アプローチが推奨されます。

混合トレーニングの活用

パワー発揮能力を最適化するための混合トレーニングの活用は、力-速度関係の一層調和をとれた包括的な向上をもたらし、それにより、最大発揮パワーの一層の向上とトレーニング効果のより大きな転移が可能となります。

理論的に、低負荷で高速の運動を用いる方法は、力-速度可能の高速領域に影響を与え、一方、高重量でのトレーニングは、力-速度関係の大きな力領域を向上させます。

したがって、これらを組み合わせたトレーニング法は、力-速度曲線の全体にわたり、一層完全な適応を促すことになります。

最新の文献から、混合トレーニング法の利用を支持する重要な科学的知見が得られており、最大パワー発揮能力の向上と様々な競技パフォーマンス指標の一層の改善が、混合トレーニング介入と関連づけられています。

例えば、Cormieらは、混合トレーニングは、パワーだけ、あるいは筋力だけのトレーニングと比べると、より広範囲の負荷をかけた活動でパワーの向上と最大筋力の増加をもたらすと報告しました。

大きなパワー発揮を起こすには

近年の研究によると、より筋力のあるアスリートほど大きなパワーを発揮できることが報告されており、筋力は、パワーの向上に必要な基本要素のひとつであると考える必要があります。

一般に、力がまだ弱く若いアスリートほど、高いパワー発揮に必要な筋力レベルに達していないことが多く、したがってこれらのアスリートは、古典的なパワー向上エクササイズを用いなくても、単に筋力レベルを高めただけで発揮パワーを促進でき、その結果、総合的なパフォーマンス能力も高めることができます。

パワー発揮におけるウォームアップの活用

混合トレーニングを採用するひとつの方策は、様々なトレーニング負荷を用いることで、例えば、バックスクワットでは、パワーの向上は負荷が30~70%1RMの間で起こりますが、筋力の向上のためには通常、より高負荷(>75%1RM)を用います。

そこで、アスリートが80~85%1RMで筋力向上のためのセットを行っていると仮定すると、ウォームアップの一部として最大下のバックスクワットを「爆発的に」行えば、パワー発揮能力の効果的な向上に役立ちます。

このシナリオでは、アスリートが高速で行おうと意図することが重要になり、最大下の負荷の挙上を「爆発的に」できるだけ素早く行おうと意識することによって、様々な潜在能力を獲得できます。

したがって、この場合には、筋力の向上を目的とするエクササイズを用いたウォームアップのセットが、実際にパワートレーニングの活動になります。

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