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小児・青少年のスピードトレーニングの意義(思春期直前期の急成長は主に神経系の発達、思春期の急成長は内分泌系を介した発達をする)

基本的運動スキルとしてのスプリント

子供、成人両方において、スピードは競技の基本的構成要素であり、スプリント能力がパフォーマンスの成否を左右することが判明しています。

そのため、多くのコンディショニングプログラムは、そのスピードの向上を主要な目的に掲げています。

基本的運動スキル(FMS)

基本的運動スキル(FMS)は、子供が習得すべき物体制御スキルと移動運動スキル(ホップ、ジャンプ、ラン、そしてスプリント)を指します。

小児期には、スプリントに関連する動作スキルの発達において特に重要な時期であるとみられており、それは中枢神経系が急速に発達し続ける7歳までに、成人の歩行能力が獲得されるからです。

スプリント能力は、パフォーマンスの結果(すなわちタイム)によって計測されることが一般的ですが、子供が適切なスキルを用いて熟達した方法でスプリントを行っているかどうかを確認するには、さらに詳細な分析が必要になります。

PHILIPPAERTSらによる長期的研究

Philippaertsらによる長期的研究では、スプリントパフォーマンスは、成長期の開始頃(最大身長成長速度:PHV)に達する約12ヶ月前に低下することが判明しています。

研究では、このスプリントパフォーマンスの低下は四肢の急成長が原因であり「Adolescent Awkwardness(思春期のぎこちなさ)」をもたらし運動能力の一時的混乱を引き起こすみられますが、このぎこちなさはやがて克服され、パフォーマンスは向上させられます。

最大スピードはフィールドスポーツにおいて重要か?

最大スプリントスピードは大多数の競技にとって重要な領域になります。

フィールドスポーツ(サッカー、ラクロス、フィールドホッケーなど)にとって、最大スピードの向上は重要でないとみなされることが多いです。

これらの競技において最大スピードの向上を目指すことへの反論は、陸上競技の100m走の選手は50~60m地点まで最大スピードに達しないという知識に端を発しています。

フィールドスポーツのスプリント距離は通常10~30m(約2~3秒)であり、したがって、最大スピードに達するために必要な距離には到達していないことになります。

しかし、一般に見過ごされてきた2つの重要な観点があります。

すなわちフィールドスポーツでトップスピードに達するために必要な持続時間または距離と、短い距離ではトップスピードに達せないとする見方との関係、および静的スタートとフライングスタートになります。

第一に、50m~60mでトップスピードに到達することは、100m走の選手だけに当てはまることであり、陸上競技の短距離走者とサッカーやラクロスの選手の間には、それぞれの競技特性をめぐって、認識されにくい明らかな差異が存在します。

小児期におけるスピード向上の生理学的因子

スピードは、小児・青少年期を通じて非直線的に発達すると主張されており、思春期直前期および思春期におけるパフォーマンスの急成長と同一視されています。

このような自然なパフォーマンスの急成長は、適応加速期と呼ばれています。

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