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長距離走のパフォーマンス向上のポイント(運動中の筋への酸素供給量を高めて需要量の増大に対応する必要がある)

ランニングスピードと筋力トレーニング

Damascenoらの近年の研究において、8週間の筋力トレーニングを実施したところ、10km走の中盤から終盤にかけてのランニングスピードが向上し、ひいては全体的なパフォーマンスが改善しました。

この研究において、筋力トレーニング群の被験者は下肢を対象とした一連の筋力トレーニングエクササイズを週2回、8週間にわたって実施し、実施後のテストでは、漸進過負荷試験におけるトレッドミルのピーク速度が、筋力トレーニング群で向上しています。

著者らは、10km走のパフォーマンスとトレッドミルのピーク速度が向上した理由として、筋力トレーニングにより運動単位の同期化と動員にかかわる神経筋系の変化が生じた結果、地面に対して素早く力を吸収し発揮する能力が向上したことを挙げています。

長距離選手のパフォーマンス向上のカギ

筋力、スピード、そしてパワーのが成功のカギを握る大半の競技とは異なり、長距離走は主に酸素の運搬と利用がその限界を決めます。

クライアントの走速度が上がれば酸素需要は高まり、スピードを有酸素性運動の範囲内に留め、それによって速いペースを維持できるようにするためには、運動中の筋、および心臓それ自体への酸素供給量が、酸素需要量と等しいかそれ以上でなければなりません。

酸素需要量が供給量を上回ると、運動は酸素非依存性(無酸素性)になり、たちまち疲労が生じます。

したがって、長距離選手としてパフォーマンスを向上するためには、運動中の筋への酸素供給量を高めて需要量の増大に対応する必要があります。

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