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22年経ってようやく気が付いた「問いの限界性」とは?

私は2000年にコーチングに出会ってから、22年間にわたって対人支援業界に身を置かせていただいてますが、「問いの可能性」には目を向け続けてきたものの、「問いの限界性」に対してはまだまだ洞察が浅かったなと最近、感じております。

より正確には「問いの限界性」というより「問う側と問われる側の構造的限界性」です。
「問う側と問われる側の関係性上の限界」については考えたことがある方もいらっしゃるかと思います。
関係が良くない上司部下関係だったり、遠慮する-されるという関係だったりすると、その関係自体が問う-問われる関係を機能させづらくなります。
これらは関係性由来のものなので、まさに関係の質が問う-問われるの関係に影響を与えるということになります。

それに対して、私が最近気が付いたのは、「問う-問われるという構造的限界」です。限界というより制約という方がより正確かもしれません。
構造的なので、基本的に誰がやっても、その罠が再現されやすいということです。

わかりやすくするために「問う側」を「質問者」、「問われた側」を「回答者」としましょう。
その「問う-問われるという構造的限界」とは、
①回答者は、質問者の問いを基本的に選べない(問いを選ぶ権利の欠如)
②回答者は、質問者の問いに対する回答時間の猶予を確保しづらい(即答性の強要)
③回答者は、回答後の質問者の反応を制御しづらい(回答損失の未制御)
です。

一つずつ解説させていただきます。
①は、わかりやすく言うと質問者が「今朝、何食べた?」と聞いたのに対して回答者が「昨晩、何時に寝た?と聞いてください」ということはあまりないですよね。ということです。
もちろん、質問者の問いを回答者の側でうまく変えて、「〇〇という質問として置き換えたものとして回答させてもらってもいいですか?」と対応することは可能ですが、それは高度なテクニックです。
なので、回答者が「ちょっとそれは答えられないです」ということはあっても、問いを変えるのは難しい上に、そもそも質問者に予め「〇〇について聞いてください」という機会はあまりありません。つまり、回答者には「問いを選ぶ権利」がないといえます。

②は質問者に問われた時点で、即答を強いられやすいということです。もちろん、質問者は即答してほしいとも限りませんし、時には「しばらくよく考えてみて」と質問者の方から時間的猶予を打診されることもあります。しかし、ほとんどの場合、回答者は質問されたら即答したくなります。
なぜなら、その自分の回答を待ってもらっている空白の時間が発生することを恐れやすいからです。「気の利いたことを言わないと」、「とんちんかんなことを言わないようにしないと」、「馬鹿だと思われないようにしないと」というプレッシャーは何かしら発生してもおかしくはありません。
従って、質問が発生した時点で、回答者にプレッシャーを与えていることになります。

③は回答者が何か回答した後に、質問者がさらに何をかぶせてくるのかについて回答者の側は制御できない。ということです。
問われたことに答えただけなのに、質問者が反応的になってしまって困ったという経験は少なからずあるかと思います。
ある意味、「答えたもん損」という感じです。そうした経験を繰り返す中で、相手の反応を予め予測して、言葉を選んで回答するという術は身についていきますが、それでも回答後の質問者の反応を完璧に予測し、制御することはできません。
これらの3つの「問う-問われるという構造的限界」が「会議で発言しない」、「発言者が偏る」といった事象の一因になっているということが見えてきました。
昨今で言えば、1 on 1で若手と面談していて話が続かなくて困るという声にもつながっているようです。

このことに気が付くきっかけとなったのが、SOUNDカードです。
SOUNDコーチ養成講座を今年の3月から開催し始め、現在では企業でもオンラインでSOUNDカードセッションによる対話の場を提供させていただいています。

SOUNDカードに基づいてセッションに取り組んでいただいた結果、よく聞かれるのは「カードに言わされる感じで話せるのがよかった」、「普段を持っていることを言ったらみんなに共感してもらえて前向きになれた」という声です。
これはどうやら、参加者自身が問いを自ら選び、順番に従ってカードに書かれている問いを答え、順番に発言することを優先するので、すぐに回答に対しての反論等が生じない。といった作用によって生まれている感想のようです。
これはSOUNDカードを制作した当初は想定していなかった効果です。
ここで見えてきたのは、
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「問いを自由に選択し、
自分のペースで自由に答えられる権利が発言者に与えられることで、
場の安全性が高まり、場の深まりが生まれる」

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ということです。

オンラインミーティングが一般的になってきている中で、対面で顔を合わせて対話の場を作るというハードルがどんどん高くなっていっていますが、オンラインミーティングだけでは関係性を深めていくことには限界があるのも確かです。

SOUNDカードセッションをオンラインで行うと、「対面であって話そう!」という機運が高まりやすくなるのを感じます。
SOUNDカードによって「問う-問われるという構造的限界」を超えるきっかけを多くの方がつかんでいただけるように、これからも実験を重ねていきたいなと思っています。

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https://www.authentic-a.com/sound-coach-basic

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