見出し画像

観察から生まれるプランニング ードラッガーの言葉よりー

環境変化の激しさにより難しくなってしまったこととは何ですか?
という質問が投げかけられたとしたら、皆さんはどんなことを思い浮かべますか。
いくつもの答えがあるでしょうが、そのうちのひとつとして「プランニング」が挙げられると思います。

例えば2020年以降のコロナ禍の時期を思い返してみてください。
あの時、1年先、もしくは半年先の状況を正確に予測できたという人は皆無に等しいのではないでしょうか。
今後も環境の変化のスピードが緩まることはあり得ないでしょう。
とはいえ、ビジネスの世界に身を置いている方は特に、事業計画、予算策定など、何らかの計画を立てるということから避けられないというのも現実です。
予測できないのにプランニングから逃げられない。
この葛藤に、私たちはどのように対応していけばよいのでしょうか。

このことに向き合うヒントとして、ドラッカーの言葉をご紹介します。
彼は以下のようなことを述べています。

「従来のプラニングは、何が最も起こりそうかを考えた。
不確実性の時代におけるプランニングは未来を変えるものとして何が既に起こったかを考える。」
皆さんでしたらこの意味をどう捉えるでしょうか。

ポイントは、「不確実性」です。
簡単に言うと「私たちの予測を超えている」ということになり、より具体的には、以下の2つが挙げられます。
1)物事の連鎖が複雑になりすぎて予測を超える
2)連鎖の結果で何が起きるかわからない

従来のプランニングは、原因と結果の因果関係を紐解いたうえで、次に何が起こりうるかの予測を元に行っていました。
それを可能にしていたのは、影響を及ぼす原因となり得るファクターが今より少なかったからでしょう。
現在において結果予測の難易度が上がり続けているのは、物流やIT、コミュニケーション、その他様々なネットワークが世界中に広がったことにより、相互に影響し合う要素が多くなりすぎているのが要因であるとするならば、いまこの世界は「つながりすぎている」のかもしれません。

では、ドラッカーのいうこれからのプランニングにおいて必要になることとは、いったい何でしょうか?
それは、何かの結果に対して、その布石となったこと、或いは分水嶺となった出来事をしっかり観察すること、だと思います。

まず、過去起こったことの観察をしっかり行うことで、今後の環境変化に気づく「筋力」を鍛えることができます。その中でも、無数にある原因のうち、特に影響が大きく、かつ不可逆な動きを作ったものを認識していくと、環境の変化に敏感に察知できるようになります。

iPhoneの登場により起こった変化、について考えてみましょう。
発売当初は、「ボタンが無く画面に指でタッチする」という、ツールとしての物珍しさでブームが起こり、拡大していきました。
そのiPhoneですが、発売から10年以上経った2019年のロンドンでとある大規模ストライキを引き起こします。
そのストライキは、ロンドンの公共タクシー、「ブラック・キャブ」運転手による、Uberへの規制を求めるストライキでした。
ロンドンのタクシーはまず資格を取るのが難しい上に、入り組んでいる市街の道をきちんと覚えていないと免許の取得ができないなど厳格なルールがあるそうです。
しかし、Uberの登場により、素人であってもスマホがあれば運転ができてしまう上に、より安い運賃で運行できてしまったため、多くの顧客を奪われたタクシー運転手たちの生活が脅かされ、大規模ストライキに至ったということなのですが、iPhoneが発売された2007年に、果たして誰がこのことを予想できたでしょうか。

類似の例でいうと、Googleの登場により自動車業界全体が脅かされるようになる、ということを恐らくほとんどの人が予想できなかったであろう、というのも同様です。

今後も同様のことは起こり続けるでしょう。
不可逆な分水嶺となる出来事を、1つひとつ頭の片隅に置いておきながら、
「この出来事がおこったら、何かしら次の動きが起こるだろう」
と観察し続けていくことの重要性を、ドラッカーは説いているので
はないかと私は思います。
                 
その出来事によって引き起こされることとは何でしょうか?

【イベント&オンライン配信(Zoom)】
『「人の器」を測るとはどういうことか』刊行記念 
監訳者 中土井 僚 「成人発達からはじまる自分自身を探る旅」

会期: 2024年5月30日(木)
時間: 19:00~20:30
場所: 代官山 蔦屋書店 3号館2階 SHARE LOUNGEイベントスペース/ZOOM配信
定員: 来店参加65名/オンライン参加400名
主催: 代官山 蔦屋書店
共催・協力: 日本能率協会マネジメントセンター
お申込み・詳細は:DAIKANYAMA T-SITEからどうぞ!

★LINE公式にてコラム配信中!

「なんか言語化できた!」クセになりそなすっきり感を。
<登録方法>
スマートフォンで閲覧中の方は、以下のURLをクリックして「確認」ボタンを押してください。
http://line.me/ti/p/@ucn6882s

PCで閲覧中の方は、スマートフォンで
@ucn6882s
をID検索していただくと登録が可能です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?