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『子育て支援』を仕事にしているのに。

私の仕事は、在宅育児中の親子が平日に遊びに来るひろばのスタッフ。

たくさんの乳幼児親子と日々接している。

新卒から10年弱保育園で保育士をしていた経験を活かしながら、お子さんたちと遊んだり、お母さんたち(たまにお父さんも)とお話ししたり。

育児相談にのることも、アドバイスをすることもしばしば。

私はもともと、「子育てをする人を助けたい」という思いが就職活動中くらいからあった。

私の母が、父の転勤であまり知らない土地で私を産み、当時は今ほど子育て支援策も充実しておらず、

日中一人で不安な思いで日々過ごしていたという話を聞いて、そういう人を救ってくれる世の中になればいいなと思っていた。

そういう人を救えるような仕事がしたいな、少しでも支えになりたいな、と漠然と思っていた。

大学の卒論も、『女子大生の子育て観研究』にした。

昔と違って、小さい頃から赤ちゃんと触れ合う機会がほとんどなくて知識もないまま大学生になった私たちが、

いつか子育てをするときに、どのような世の中になっていれば理想的かな、なんてことを色々調査して考えて論文にした。

保育園で働くことで、働くお母さんたちの支えになれたらいいなと思って働いていたし、

子どもたちを保育することと同じくらい、いわゆる保護者対応も好きだった。

約10年のあいだに色々あって、保育園は退職して、もっと直接的に、子育て中の人を支援できる仕事をし始めた。

いつかやってみたいなと思っていたこの仕事は、とても楽しいしやりがいもある。

でも、ときどきなんだか虚しくなってしまうことがある。

というのも、この仕事をし始めてすぐに結婚をし、もう2年経つのだけれど、私には子どもがいない。

いわゆる妊活中なのだけれど、なかなか上手くいかない。

「子どもがいなくても子育て支援の仕事をすること」には、最初は特に違和感を感じてはいなかった。

保育園で働いているときに身に付けたたくさんの知識と経験がある。

もちろん、実際に産んだり家庭で育てたりしないとわからないこともたくさんあるのは承知だが、

皆私のことをプロとして認めてくれて、私の意見を求めてくれたり、私と話すことで悩みが解決したと言ってもらえたこともあった。

また、アドバイスすることが仕事というよりは、利用者さんのことを温かく迎え入れて、

利用者さんがリラックスできたり、思っていることを話せたりする雰囲気を作ること、

利用者さん同士を繋ぐ架け橋になること、それがとても大切な仕事で、それには子どもを育てたことがあるかどうかはそんなに関係ない。

それに、まあ、そう遠くないうちに自分も母親になるのだろうし、なんて思っていた。

そのはずなのに、妊活期間が思っていたよりも長引いてしまい、ふと、あれ? 私実際自分で育てたこともないのに、

というか育てたくてたまらないのにそのスタートラインにも立てていないのに、

なんでこの人たちの育児相談に乗ったりしているんだろう? 私って一体何者なんだ!? と思うことが増えてきた。

この人たちは全員、妊娠して、出産したんだもんなすごいな、私が上からものを言える立場じゃないな、と思ってしまったりする。

いや、でも、たくさん経験して勉強もして、たくさんの赤ちゃんやお父さんお母さんを見てきて、そうやって積み上げてきたものには自信を持っていいと思うんだけれども!!!

プロとして、お給料をもらってやっているわけだし、ネガティブになっている場合じゃないのだけれども!!!!!

妊活中の人たちのSNSを見ていると「今は妊婦さんに会いたくない」「赤ちゃんがいる友達のSNSは見たくない」みたいな投稿を見かける。

そうかもなぁ、でも、私そんなこと言ってられないくらい、毎日毎日赤ちゃんと、お母さんと、時にはお父さんとも接しているし、

第二子、第三子妊娠中のお母さんだってたくさんいる。マタニティマークを見かけて「おめでとうございます」と声をかけることも多々ある。

だから別に、大丈夫…と、思っていたけれど…まあ大丈夫なのだけれど…でも、ほんのすこし、やっぱりチクッとしてしまうことがある。

そんなふうに〝支援者として〟も〝妊活中の女性として〟も、なんだかときどき気持ちがざわざわしてしまう。

あとは、育児中の友人たちと話している時にもなんだか変な気持ちになる。

友人たちと私の関係は、昔から変わらない、「高校のクラスメイト」だったり「大学のサークル仲間」だったりのまんまで、

でも、相手は「子どもを産んで育てているお母さん」で、私は「妊活中の既婚女性」で。

育児の近況だったり愚痴だったりを聞いた時に、仕事だったら「そうですよね、大変ですよね〜」と共感してみたり場合によっては助言をしてみたりするのだけれど、

友人に対しては、なんだかやっぱり、私が共感したりアドバイスしたりするのはちょっと変だよな、と思う。

仕事では、「利用者」と「支援者」の立場だから、胸を張って支援ができるけれど、

仕事以外の場面では、私は、お母さん未満。

最近はこのご時世だし、なかなか大人数で集まる機会はないけれど、

同窓会的な久しぶりに会う大人数の集まりで、お子さんがいるメンバーでお子さんの話題で盛り上がっていたりする時に、

この仕事柄意外と話の内容は理解できるし、なんとなく相槌を打ったりして参加していたら「子どもいるんだっけ?」と(悪気なく)聞かれてなんだか気まずい気持ちになったこともある。

結局私は何者なんだろう、中途半端だなぁ。なんて思ってみたり。

でもよく言われるような、よくある感じのまとめ方をすると、

周りのこれから妊娠して母親になるであろう人たちよりも、妊娠・出産・育児に関する知識は間違いなくたくさんあるし、

あとはもし妊娠したとしたらそのときには妊娠出産経験のある先輩たち(=職場の利用者さん)とたくさん顔を合わせて直接話が聞ける立場でもある。

それは間違いなく、今後強みになってくる。

もし無事に妊娠できたら、だけど。

前向きに捉えて、いつか自分のために活かせるそのときのためにも、日々の仕事のためにも、

引き続きたくさん勉強して経験して知識をつけて、成長していけたらな、と思う。

ずいぶんきれいごとな感じにまとめてしまったけれど、最近こんなことでモヤモヤしたりしていましたよ、という記録でした。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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