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ナカさんのクラシック音楽コラム 13 メンデルスゾーン、音のスケッチ

季節を巡るクラシックコラム8回目です。秋といえば旅行ですね。日本には四季折々の美しい風景がたくさんあります。春は桜、秋は紅葉。京都や奈良に行かれる方が多いのではないでしょうか。紅葉と社寺仏閣は誰もが魅かれる風景でしょう。私も先日北陸に旅行し、一足先に秋を楽しんできました。
クラシック音楽の作曲家も旅行をした人はたくさんいます。メンデルスゾーンもその一人です。

裕福な銀行家の息子として生まれたので、財政的に恵まれていたことも多く旅行している理由かもしれません。ドイツ北西部ハンブルグに生まれたフェリックス・メンデルスゾーンは幼いころいろいろな都市に旅しています。パリ、スイス、イギリスなどを訪れています。家族と共にの旅行だったりまたは演奏旅行だったりと、フェリックスは旅の多い作曲家だったようです。特にイギリスには10回にも訪れ滞在期間は約20ヶ月にのぼり、イギリスでもとても人気のある作曲家だったそうです。
フェリックスは訪れた土地にインスピレーションを得て、素晴らしい曲を作曲しています。
有名なのは交響曲第3番「スコットランド」と交響曲第4番「イタリア」でしょう。
どちらの曲もその土地を訪れて、インピレーションを受けて短いモチーフを書き留めるも、すぐには作曲されず時を経て交響曲として書かれたようです。それにしてもフェリックスの『風景を音に書き留める』スケッチ力はすごいですね!イタリア交響曲の冒頭、木管楽器の刻みがワクワクする出だしです。それに続く弦楽器メロディーの伸びやかさ!フリックスのイタリアに来た開放感でしょうか。聴いただけで南欧の光と風が感じられる名曲です。
フェリックスの“音スケッチ力”でできた素晴らしい曲に『フィンガルの洞窟』という曲があります。20歳の時にドイツ人貴族のご招待で、スコットランドのヘブリディーズ諸島を訪れたフェリックス。そこで見たフィンガルの洞窟に霊感を受けて、序曲の開始主題をさらさら~っと書き、お姉さんのファニーに宛てた手紙に「僕がヘブリディーズ諸島にどんなにひどく感銘を受けたか分かってもらえるように、頭に思い浮かんだものを姉さんに届けようと思います」と書き添えて送ったそうです。
スタファ島という無人島にあるフィンガルの洞窟。ヘブリディーズ諸島というところは日本でいうと三陸海岸のような感じでしょうか。または東尋坊か・・・。
音楽のフレーズが描きあわらしているものは、洞窟に打ち寄せられる波、さざめく海など情景に満ちていて、中間部の美しいメロディはまるで太陽の輝きのようです。
メンデルスゾーンを嫌っていたワーグナーもこの作品を「一流の風景画のような作品」として絶賛したそうです。
旅行は人を詩人にします。美しい風景は人の心の中になにかを生み出します。それを音にしたり絵画にしたり写真に収めたり・・。
旅ってイイですね!皆さんもたまには現実生活を忘れて(笑)素敵な旅を楽しんでみたらいかがでしょうか!

2015.11

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