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俳句手帖

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2020年8月から俳句はじめました🌱 俳号は加那屋こあ
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2021年2月の記事一覧

真新し名札を胸に二月逝く

しりとりに勝つて田楽五本喰い

加那屋こあ
2021.2.28

窓越しに面会を待つ桜かな

春の汽車急ぐ理由もない土曜

加那屋こあ
2021.2.27

菜種御供父と立ち寄る葛餅屋

鉢替えの指先湿り寒戻る

加那屋こあ
2021.2.25

鬣に梅一輪の神馬かな

厚揚げの焼こか炊こうか浅き春

加那屋こあ
2021.2.24

閉門の隙から覗く梅見かな

茹でたてのたまごつるりと春かもね

柏手と囀り包む沈丁花

加那屋こあ
2021.2.21

猫の恋終電帰り独身寮

寄居虫の夫婦喧嘩のふて寝かな

水戸行きの特急に乗り春ショール

加那屋こあ
2021.2.22

蕗の芽が好物と大人気分かな

誰知らぬ銅像見上げ下萌ゆる

加那屋こあ
2021.2.23

春水やハイカットで翔ぶ踏切板

楽屋口贔屓を待ちて春袷

加那屋こあ
2021.2.20

まつすぐに青天を衝く梅枝かな

白梅やコルドバレエの少女たち

白梅や爪の形は母に似て

鷹鳩と化し等間隔に並びおり

購買に教科書並び寒桜

袖折って着る父のシャツ揚雲雀

幸福は眼白一羽ほどの重さ

蘊蓄の多い店主や獺祭

縁石の角丸くなり雪割草

左手の指輪消えにし薄紅梅

昼風呂は魚氷に上る湯冷めかな

早引けの耳たぶ温し八朔柑

竪琴はダウランド弾く雨水かな

午前五時エンジン止まる雨水かな

加那屋こあ
2021.2.18

頭痛薬買い置き切れて春の雨

春の雨夕餉のおつけ味薄し

駆け出した干したズボンや春の風

加那屋こあ
2021.2.17

如月や三崎坂のカフェ巡り

草萌や工事車両のゲート開き

子規庵も鴎外荘も草萌ゆる

加那屋こあ
2021.2.16

旧姓で届く便りや春遅し

ばね仕掛け順に口あく浅蜊汁

土地の名は新田ばかり芝火かな

加那屋こあ
2021.2.15