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内緒の関係 のん奥様のストーリー⑭

 たった120分という時間は、彼女と過ごすには短すぎたようだ。ついに訪れた別れの時間、俺は玄関でのんさんの手を離せないままでいた。
「私とっても幸せでした!ありがとう…っ?」
 それを言い終えたら帰ってしまうだろう。俺は彼女の言葉を遮るように、その小さな身体を抱きしめた。その腕に籠る力の強さから内心を悟ってくれたのか、のんさんもぽんぽんと俺の背中を撫でてくれた。
「また遊びに来てほしい。指名するから」
「楽しみにしてます。約束ですよ」
 誓いのキス、といっては流石にキザだが、俺達は名残惜しさを滲ませた口づけを交わした。たまにこうして彼女に会えるのなら、日々の寂しい生活にだって耐えられる気がする。胸の内に確かな温かさが残っているのを感じながら、俺は車に乗り込んで去っていくのんさんの背を見送っていたのだった。

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