見出し画像

「わかる」と「できる」の間の壁

研修などを行う時は受講者に説明も行いますが、気づいてもらうことを大事にしています。その時に「体感ゲーム」を使うのですが、今週はコミュニティーの仲間とゲームの検証を行いました。

やり方はわかるのにできない!

今回、養成講座で最初に習ったゲームをやってみました。
受講者としてやるのは7年ぶりでした。
研修では何度か提供しているゲームで、数人のチームで行う見た目はごくシンプルなゲームです。

どうやったら上手くできるかというやり方(理屈)はわかっています。
研修を提供した後にも、よく受講者さんに「こうやるといいんですよ」みたいなことは言っていました。

一緒にやっていた仲間も、ほとんどが理屈を知っています。

しかし!できないのです。


え、、、なんで??

もちろん初めてやるメンバーもいたのですが、思ってた以上にできないことに自分でも焦ってしまいました。

これって組織で起こっていること

実はこれは組織でも起こっていることなんです。
(だから体感ゲームなんですが)

組織の目的は「個人ではできないことを達成すること」です。

そこには様々な価値観や経験を持った人たちが集まっていますから、組織で成果を上げようとしたときに「チーム」で何かを成し遂げるという視点が必要になります。

知識のレベルでは研修などを通じて「知らない」⇒「知っている」にすることはできます。
しかし研修などをやっても意味がないと言われることがありますが、それは「知っている」ことを「やってみる」ことをしないからです。やってみて初めて「そういうことか・・・」と「わかる」ことができます。

ここまでは一人でもやろうと思えばできますが、先ほども書いたように組織の目的は「一人ではできないことを達成すること」なので、人それぞれの「わかる」がここでたくさん集まってきます。

「わかる」の中味がそれぞれ違うので、チームとして集まった時に
「できる」とならないのです。

戦略と実行の両方が大事な理由

ここまできて思い出したのは下記の本です。

優秀な次世代人材の方に、どんな仕事をしたいのか聞いてみると
「経営戦略をつくる仕事がしたい」と言われることがあります。

もちろん、「戦略」は大事ですし必要です。戦略がなければチームとしてどのように行動していけばいいかわからないのでバラバラです。しかしどんなに緻密な戦略を時間をかけて作ったとしても、必ずしも成果が上がっていることは少ないのではないでしょうか。

この本には

「戦略」が企業の未来に関する仮説であるとすれば、
その実行は顧客や協業の反応を通じて仮説を検証し、間違いを正し、更に質の高い仮説を立てる繰り返し・・・

戦略と実行/P52より

とありました。
だからこそ、それぞれの役割を全うするだけではなく、有機的に協力し合ってはじめて真価を発揮するとありました。
その根底にあるのがコミュニケーションであり、戦略と実行は行ったり来たりの試行錯誤を繰り返しながら、目標を達成していくとありました。
結局のところ「組織における人間のぶつかりあい」と表現されていました。

戦略をどんなにロジックを完璧にくみ上げても、論理で人を屈服させることはできず、100%納得させることはできません。相手の立場、価値観を理解して許容することも必要です。
また、実行する場合も「決まったことは実行する」という潔さが必要で、制約に対して「反対・抵抗」ではなく「創造」で乗り切るという気概が重要であると書かれていました。

必要なのは核となる目的で「どうしても譲れない線」をはっきりさせることです。
ここまでは合意できて、ここは意見が分かれる。こういう理由でこちらの道に進むという戦略仮説を立案して、実行をして新しい情報やうまくいかなかったことなど(経験)を反映させていき、仮説を修正していくことの繰り返しなのです。

「わかる」と「できる」の壁を越えるために

チームで「できる」になるためには、お互いの気持ちや考え方を共有することから始まります。目標達成するための「戦略」という仮説をベースに、組織が譲れない線を明確にしてメンバーで共有し、実行という試行錯誤を繰り返すことが必要です。

その根底を支えているのがコミュニケーションであり対話なのだと思いました。

私自身の目指すところは、根底を支えているコミュニケーションを、アクションラーニングやミーティングという「場」を設計して支えていくことだとあらためて学んだ一週間でした。


この記事が参加している募集

人事の仕事

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?