Naho Goto

2015年ライティング業を開始。2017年より編集の仕事もはじめました。ずっと続けてき…

Naho Goto

2015年ライティング業を開始。2017年より編集の仕事もはじめました。ずっと続けてきたピアノのことも少しずつ書き留めてみます。

マガジン

  • 思うこと

    自分の中で時事刻々と変化する「思うこと」。日々の徒然よりも少しだけ丁寧に書き留めています。

  • ライター手記

    「取材」を通じて未知の世界に踏み込めるライター業はおもしろくて楽しくて仕方がありません。 しかし、誰かの「人生」に触れ、多くの人に伝えることはとてもナイーブなこと。真摯に取り組みたいという想いを徒然と書いています。

  • ピアノのこと

    流れに身をまかせるようにして続けてきたピアノ。少しずつ過去を紐解き、ピアノを通して感じたことを書き留めています。

最近の記事

トリミングじゃなくて、新聞の切り抜き

実家から届く宅急便には、母厳選の地元紙の切り抜きが時折差し込まれている。 中でも好きなのが、五木寛之さんのコラム。 「ハッとする」と「ホッとする」の間くらいを感じられる言葉遣いがいい。 『相槌が消える時代』と読んで、ふと最近機会の増えたオンライン会議が脳裏に浮かぶ。五木氏の相槌論からは少々逸れるのだけど…… ほんの少しの時差が生じるオンライン。「はい」とか「へえ」とか、下手に相槌を打つと、話し手の言葉とかぶってしまう。でも、相槌を打たずに聞き入ると画面がフリーズしたみ

    • 人は「違い」を感じ、喜び、そして豊かになる。  『まゆ先生のカラフル音楽教室』

      子育て期、テレビや教材から流れる子ども向け音楽を我が子と聴きながら、ずっと考えていました。 ベートベンの交響曲にしても、大好きなバンドの演奏にしても、自分がどうしてその楽曲に魅力を感じたのかを“追求”できる人であってほしい。そして、自分の中から湧き上がる感情を音にのせ、表現する喜びを味わってもらいたい……。 ふと胸が熱くなる音楽を耳にしたとき、なぜ胸が熱くなるのかに気づけたら、そして、作曲者や演奏者が伝えようとする機微に共鳴できたら、やっぱりちょっと素敵じゃありませんか?

      • 老いて灯る、幼き日々

        中学生の頃、20歳はすごく大人に思えた。20歳になれば、見える景色が違うと思っていた。 20歳になると、自分の稚拙さを思い知らされ、30歳の方向を見つめては「オバサン」という言葉が頭をよぎっていた。 30歳。社会を知り、自分がなお成長過程にあることを自覚する。だけど、10年後は人生の後半戦に突入だな、と40を大台として眺めていた。 40歳は不惑のはずなのに、釈然としない焦燥感も生まれ、この先の生き方を本気で考える。でも、たくさんの曖昧さを抱え、それもまた楽し、と思うよう

        • 14才のレンゲ畑

          私には三つずつ離れた妹と弟がいる。 二人とも、天真爛漫でいつも楽しそう。 やっかみも含め、子どもの頃の私の目には、そんなふうに映っていた。 中学三年生の春、家族でサイクリングに出かけた。 列をなして走ったのは、レンゲ畑が広がるのどかな田舎道。 畑の間にのびる農道を指して、父が妹を促す。 言われるままに妹は、咲き誇るレンゲに包まれながら、カメラを構える父に向かって笑顔でポーズをとる。 次は弟。当然のようにかけていく姿が可愛らしい。 「よし、じゃあ行こうか」

        トリミングじゃなくて、新聞の切り抜き

        マガジン

        • 思うこと
          6本
        • ライター手記
          10本
        • ピアノのこと
          2本

        記事

          年末年始は五感が忙しい

          新年の挨拶を雅に交わすのは束の間。賀状にしたためた「あけましておめでとうございます」は今日からメールの枕詞。挨拶しながら次のことを考え足がそちらに向いている。 あっという間に日常に戻りました。 帰宅し、玄関の戸を開けようとした時、鉄骨がぶつかり合う音が風にのって聞こえてきた。近所のマンションの建設工事が再開したんだな…… その時、つい先日同じように耳にした、除夜の鐘が脳裏をよぎった。 一年の終りを告げる鐘の音は、その年がどんなであっても、心に低く穏やかに響き、少しの間

          年末年始は五感が忙しい

          丁寧に振り返ることで、抱負が形作られる

          義実家のある九州で広い空と海と川と遠くの山々を眺めていると、自然とこの1年どんなことを考え感じ選択したかを振り返っていました。脳の中を浮遊していた数々の事象がゆっくりと沈殿し、形を成したように思います。 数年前からさまざまなことを同時に始め、しばらくは初挑戦の連続でした。思えば、ジェットスタートを切り走り続けていたようです。初挑戦とはいえ、40年の人生で醸成してきたカタチの無い何かを爆発させたような感覚でもあります。 身を置く組織や環境によって自分が表現できるコトや会得で

          丁寧に振り返ることで、抱負が形作られる

          「書きたいのに書けない」ときに手にしてほしい一冊

          書く仕事をスタートさせてからというもの、文章の指南書をたくさん手にしてきました。「書き方」を手引きする書籍は、大型書店にでも行けば本棚の一角を埋め尽くすほど存在しています。 ・もっと速く書くには? ・そもそも書き始めはどうすればいい? ・この文章で本当に伝わるのだろうか ・おもしろい文章を書けるようになりたい など、悩みは尽きません。 計り知れない量の文章を書いてきた作家やコラムニストがまとめた本からは、多くの知識や方法論が得られます。たとえ「自分がすでにやっている」

          「書きたいのに書けない」ときに手にしてほしい一冊

          ライターとして実らせたいこと

          感銘を受けたことを感じたままに書くのは、案外難しいのではないでしょうか。 母国語で書き表すことは誰にでもできることですが、「伝えたいこと」の本質を形にするのは、誰もが簡単にこなせることではない、と思っています。 すばらしい、よかった、うれしかった、楽しかった、大変だった…… こうした言葉は、時にまっすぐな表現として効果的であるかもしれませんが、真の感覚やその場の空気を伝えるには、どうしても「足りない」。 読んでいて、ふとその情景のなかにいる感覚になったり、その人が目の

          ライターとして実らせたいこと

          父と私とピアノ

          ※2018年9月にHP上で書いたものを転記しました。 父は、ピアノを弾かない。楽譜も読めない。好きな音楽は?と聞くと、谷村新司(だったはず)。 そんな父がピアノの発表会には欠かさず来て、いつも車で連れて帰ってくれた。 H先生(長年就いたピアノの先生)の発表会では、ありがた迷惑なことに演奏を録音したカセットテープがもらえる。 自分の演奏が気になって、帰りの車中で聴くのが恒例だった。 言わなきゃいいのに父は言う。 「お、今のところ、間違えただろ?」 「いや

          父と私とピアノ

          「ピアノは難しい」と誰が決めたのか

          ※2018年9月にHP上に書いたものを転記しました。 「実は、子どもの頃ピアノを習ってました。途中でやめちゃったから、今は全然弾けないけど」 私がピアノ講師をしていた頃、度々このような話を聞いてきました。 過去にピアノを習っていたのに「全く弾けない」になったのはなぜなのか。 子どもの時分に手ほどきを受けたのなら、もっと気軽に楽しめる存在になっていてもいいはずなのに。 小学校のプールで習ったクロールを十数年ぶりに泳いだり、学生時代に少しかじったビリヤー

          「ピアノは難しい」と誰が決めたのか

          寝かせる効能

          ※2018年10月にHP上で書いたものを転記しました。 文章を書いていると、どうしても「うまく書けない壁」にぶち当たります。5000字以上の文章だと、いくつもの壁が立ちはだかる。短文にさまざまな意図を織り込んで書かねばならぬときの壁は、さらに高く分厚い。 いくら考えても出てこないまま、たった一文のために、1時間近く頭を抱えたこともあります。 考え抜いたからといって名文が出てくるとは限りません。なんとか絞り出した文章を次の日に見ると、なんとも陳腐であるか、恥ずかしいほど稚

          寝かせる効能

          43歳、未経験でライターを目指した話_vol.4〈飛行中〉

          ※2018年8月にHP上で書いたものを転記しました。 さて、シリーズ最終回。ちゃんとまとめの回にたどりつけてホッとしています😌 ちょっと熱量高めな内容ですが、「Writing One's Life」に通じる想いを書きました。読んでいただけると幸いです。 ::::::::::::::::::::: ライターとして歩みながら、Loco編集部の編集者からは、伝えるべきことをわかりやすく書くための文章術を、丁寧に指導してもらいました。それ以外にも、自分に足りていないことを補いた

          43歳、未経験でライターを目指した話_vol.4〈飛行中〉

          43歳、未経験でライターを目指した話_vol.3 〈離陸〉

          ※2018年7月にHP上で書いたものを転記しました。 たとえその取材が初めてであっても、素材をきちんと集めて100%の記事を作らなくてはなりません。やり直しのきかない初取材の緊張感は、昨日のことのように思い出します。vol.2〈助走〉に続いて、今回はライターとして離陸した時のことと、上空から見えた景色について書きます。 ::::::::::::::::::::: 人生初の取材は、今思えば少々的外れなところに力が入っていたようです。「文章は書き直せるけど、現場での撮影と情

          43歳、未経験でライターを目指した話_vol.3 〈離陸〉

          43歳、未経験でライターを目指した話_vol.2 〈助走〉

          ※2018年7月にHP上で書いたものを転記しました。 ピアノ講師からライターという、決して王道ではないけれど、不可能でもなさそうな道のりについての話。vol.1〈きっかけ〉に続き、今回はプロとして飛び立つために「滑走路」を助走した時のことを書きます。 :::::::::::::::::::: ライターになりたくて、一つずつ知識を拾い集めていたその頃、ちょうど出会った『学びながらはたらくLocoライターになりませんか?』というキャッチコピー。現在私が所属している「合同会社

          43歳、未経験でライターを目指した話_vol.2 〈助走〉

          43歳、未経験でライターを目指した話_vol.1 〈きっかけ〉

          ※2018年6月にHP上で書いたものを転記しました。 私の以前の仕事は、ピアノ講師でした。出版やメディアに関わったこともなければ、企業の中で編集の仕事をしていたこともありません。ピアノ講師からライターという、決して王道ではないけれど、不可能でもなさそうな道のりについて書いてみました。 :::::::::::::::::::: 以前、数年間ブログを書いていたことがあります。気ままに子どもと暮らし全般をつづり、写真を撮り、感じたままに表現することが楽しくて、「ライターという

          43歳、未経験でライターを目指した話_vol.1 〈きっかけ〉

          自分で簡単にホームページを作れる昨今。でも、伝えたいことが伝わるページにするのは難しい

          ※2018年5月にHP上で書いたものを転記しました。 人は誰もが偏っている。住む場所、家族、出会う人、周りで起きる出来事、その時々に選ぶモノやコト。生きてきた環境が、その人なりの思考や価値観を育むもの。その思考で見聞きするから、得る知識も偏り、視野を広く持ちたくても、どうしたって偏る。 それがいけないのではなく、そういうものだということ。 偏っていることは、実に魅力的です。 インタビューをしている相手から「普通に○○していたら、■■することになって…」「なんとなく

          自分で簡単にホームページを作れる昨今。でも、伝えたいことが伝わるページにするのは難しい