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瞑想における身体の重要性「卵を立てるように」立つ、坐る (事例2)

【気分的な落ち込みがひどい状態が長く続いていた会社員で管理職のBさん】

うつかあるいは、男の更年期かと思い、ジムで筋トレをしたり、漢方薬を飲んでみたりしたのですが、私の場合、症状はさらにひどくなりました。メガネをかけると、目に何かが突き刺さる様な刺 激を感じて、かけられなくなってしまいました。見かねた妻が、『ジムに少林寺の 気功クラスがあるから行ってみたら』と 言うので、わらにもすがる思いで行ってみました。そのクラスでは、『卵を立てるように』姿勢(軸)を整えながら、無駄な力を抜いて呼吸法に没頭していく、というゆっくりとした体操のようなものをしていました。そこで名古屋先生が言われた通りに日常生活にも取り入れてみました。私は、会社まで6km の距離を歩いて通勤しています。その往復のとき『卵 を立てるように』姿勢(軸)に気をつけながら、呼吸法を毎日実践してみたのです。私の周りの人にこのような話をしても、『姿勢と呼吸ね。分かる分かる。』と反応する方がおられるのですが、『整う』というのは、『景色が変わる』といいますか、言葉での表現は難しいのですが、世界が全然違うような感覚です。 1、2か月経ったでしょうか。メガネの違和感も無くなり、気分的な落ち込みも 徐々に解消していきました。正直、信じられませんでした。現在は、妻と共にクラスに通い、体調も凄くいいです。」

解説)

「達磨のボディワーク」のような武術に関わる知恵は、肉体を整えることから 平常心にアプローチをかけている。肉体と心は切り離すことが出来ないので、心だけ何とかしようとしても無理がある。 しかし、現代人は、何とか出来ると思っている人が多いようである。姿勢を整えることは大変である。それこそ「卵を立てるように」じっくり取り組まなければ 心は整わないのである。
Bさんは、2年間毎週クラスに参加し 、姿勢の癖、動作の癖の指摘を素直に受け入れて、自ら癖を取り去る努力を怠らなかった。さらに、私からの「歩いている時も、スーパーのレジの待ち時間でも出来ますから日常に取り入れて下さい。」 というアドバイスを受け入れ、実践したことが改善に向かわせたのだと考えられる。現在、Bさんは、一歩進んで、対人関係のストレス対策、つまり、現場でストレスを無くしていく訓練を積んでいる。


次に、この2つの事例から調身と調息を振り返る。立つ、座るという感覚は、 あまりに当たり前すぎて普段は意識に登ってこない。しかし、重力に逆らって、 縦に真直ぐに立てるようになり、呼吸を楽しめるようになると、立つ、座るという感覚が涌き上がってくるような実感が得られるようになるのである。その実感は、体験された方々それぞれの独特な「言 葉」で表現される。 「生まれたまんまの自分軸」(Aさん)、 「景色が変わる」(Bさん)他、「楽に 立てる」「気持ちいい」「目の前が明るくなった」「どっしりした」「すっきりした」など、爽快感や至福感、自然との 一体感を表す言葉が多い。 これは、調身と調息をしながら、いつの間にか「調心」をしていたことの現れといえるのではないだろうか。

名古屋 勉  
達磨のボディワーク主宰 


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