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私の血液型はカワイイらしい

三男の血液型が判明した。

長男・次男を出産した病院は、「確定ではないのでいずれご自身でお調べ下さい」と断りはあったものの、退院までに血液型を教えてくれた。

引っ越しに伴い別の産院で産んだ三男は、「新生児の血液型は不確定なので、うちではお調べしません」と言われて、分からず仕舞いだった。

最初は気になっていた血液型も、日が経つうちに気にならなくなり、そのうち何かの話の延長上で尋ねられて「そういや知らん」と思い出すほど、知らなくても困らないものになっていた。

しかし、夏の終わりから鼻水をダラダラ流し、やたらくしゃみをするようになった三男を、多分アレルギーだから耳鼻科に連れて行くかとなった時、ついでに血液型を調べてもらおうと思った。

以前、長男も次男も耳鼻科でアレルギー検査をした時に、数百円払って血液型を調べてもらっている。血液型検査はそれだけを希望するより、何かの検査のついでの方が安く済む。二人とも大きな病気も怪我もせずに成長していたので、このチャンスを逃すまいとお願いして、不確定だった血液型は確定となった。

「あー、これはきてるね。バンバン反応してるねぇ」

先生は大きな目をさらに見開いて三男の鼻の中を覗きながら「完全にアレルギー」と言った。

「どうする?何に反応してるか調べる?」

「はい、お願いします。ついでに血液型も知りたいんですけど」

「じゃあ、採血してって。次は薬がなくなる頃にきてくれたらいいから」

「分かりました」

採血と言われてもそれが何か分かっていなかった三男は、看護師さんが準備した注射器を見てギョッとしていたが、暴れることもなく大人しく抜かれていく血を見つめていた。

帰りの車の中で「これで血液型が分かるよ。何型だろうね?」と聞くと、「ボク、新型だと思う」とトンチンカンなことを言い、それはウィルスなのか家電なのか、あんたはロボットなのかと散々突っ込んでいるうちに家に着いた。



そして2週間後。
アレルギーの原因はほこりとダニがダントツで、その治療法を説明してもらい、とりあえず今は前回と同じ薬でいきましょうと決まった後に、「あぁ、これ」と血液型カードを渡された。

A型 Rh(+)

「あっ、A型でしたか、、」

カードを受け取った私は、少し残念な気持ちになっていた。

私はO型
夫はA型
長男と次男もA型

みんなA型かぁ、、

なんとなく三男はO型だったらいいのになぁと思っていた。家族の中で私だけが女性で、私だけがO型というのは、別に大したことではないけれど、なんだが少しだけ疎外感を感じる。

「A型だって」

「ふうん」

三男は興味がなさそうに返事をした。今まで知らなくても困らなかった血液型だ。本人にとってはさほど重要なことではないだろう。

「お母さんとは違うよ」

「そうなの?お母さんから産まれたのに?」

「うん」

不思議そうに聞く三男に答えながら、確かに私が産んだのに不思議だなと思った。

お腹の中で十月十日、栄養を吸収して大きくなった我が子は、みんな私とは違う血液型だった。臍の緒でつながり、私の身体の一部として成長していったにも関わらず、同じ身体の中で二つの血液型が存在していたことになる。

さらに組み合わせによっては両親と異なる血液型になる場合もあり、それは医学的には解明されているのだろうけど、やはり不思議で神秘的だと感じた。

「お母さんだけO型」

「カワイイね」

小さい頃から「お母さんは女の子だからカワイイ」と言う三男は、私が家族の中でひとり違うのはカワイイと思ったらしい。

「なにそれ」

血液型がカワイイなんて初めて言われた。

やっぱりトンチンカンな三男からの「カワイイ」に私の心は温かくなり、ひとりだけ違うのもいいかもなぁと思った。






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