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醸造資材としての滓の利用

ワイン造りの過程で出てくる滓はタンクの中でワインと接触している時間を通してワインに多くの影響を与えています。時にワインを酸化から守り、時にブリオッシュのような独特な香りをワインに与えます。

シャンパーニュなどを飲むと、ベースワインを何年滓と共に熟成させている、2次発酵が終わってからデゴルジュマンまでに何年熟成させた、という情報を耳にすることがあります。こうした経験から、ワインを滓と一緒に熟成させる醸造手法自体は比較的よく知られています。一方で、この期間中の影響の全体はその知名度ほどには知られていません。

最近ではこの未知の領域にさらに新しい情報が加えられつつあります。熟成期間だけではなく、醸造期間中にも滓の影響を取り入れようとする動きが活発化してきているためです。

醸造期間中に滓を使うことはワイン造りの方法を変えるきっかけとなるのでしょうか。その影響の範囲と内容を見ていきます。

この記事はNagiと一緒に学ぶオンラインコミュニティ「醸造家の視ているワインの世界を覗く部」に投稿された記事の一部を再編集したものとなります。
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